『礒部組現場情報』の最重要コンテンツとなりつつある(とわたしだけが勝手に思っている)『トシ子さんの疑問に答える』。礒部組事務員の「トシ子さん」と、ブログ管理人(わたし)との土木用語に関する問答集である。
といっても、「トシ子さん」なる女性が実在の人物であるとも、また、彼女とわたしのあいだで繰り広げられる珍妙な会話が本当にあったものかどうかも、ひと言も書いていない。ブログ読者約500人のうち、いったいどれぐらいの人があの会話を現実のものととらえているのかはわからないが、実際のところは、虚実脚色がないまぜになったようなものである。それ以上のネタバラシは、するだけ野暮というものだ。
きのう、その「トシ子さん」が、「いったい私をいくつだと思ってるんですか?」と口をとがらせクレームをつけてきた。つづいた言葉は「言っときますけど、私、”松竹梅”のCMなんか見たことないですから。あの3人ともリアルで知りませんから」。
経緯はこうだ。
「林道とは?」という「トシ子さん」の質問に答えるなか、わたしの脳裏に少年時代に見たあるテレビコマーシャルがひらめいた。
******
「しからば問う、裕次郎、男とは?」
「子どもよ」
「女とは?」
「宝よ」
「喜びとは?」
「のむことよ」
♪よろこび~のさーけ~しょーちくーばい~♪
******
という、石原裕次郎と宇野重吉の宝酒造「松竹梅」のCMだ。
調べてみると1970年放映だという。一世を風靡した(はずだ)そのコマーシャルは、渡哲也によってひきつがれ、50周年となる2020年にデジタル編集による裕次郎と渡の共演で幕を閉じた。
それをふまえて、「林道とは?」というごくごくマジメなネタのあいまに挟むオチャラケの小ネタとして、これをちりばめた。
とはいえ、ちゃらんぽらんのように見えて、情報発信における「裏とり」の必要性は重々承知しているわたしのことだ。その年代については調査済み、渡哲也と石原裕次郎のデジタル共演がいつ放映されたかは、調べてからアップロードしている。その上で、さすがに宇野・石原の原典は知らないだろうが、石原・渡のそれは知っているだろうとアタリをつけて書いた。
だが、あにはからんや、肝心の「トシ子さん」本人はご存知なく、「失礼しちゃうわ」的反応、つまりクレームをあびせてきた。
そして・・・
という展開を思いついたが、『現場情報』のネタとして投稿するのは思いとどまった。
さしたる理由はない。ちょっとばかりしつこいかな、と感じただけだ。
ことほど左様、なにが本当でなにが虚構なのか、どこまでが事実でどこからが脚色なのか。
虚実がないまぜとなった情報発信ってどうなんだ?
と思いつつ、それも時と場合次第、「現場」に関する事実さえ曲げなければあんなのもアリだろうと、おやじの情報発信修業は、あらたなバリエーションを加えながらつづいていく。あてはない。道は無窮なりだ。
(ちなみに最後の言葉、単に使ってみたかっただけで、それほど大層なことでもないのだけれど)