道路の砂埃を巻き上げて、一陣の風が吹き抜けていく。
桜が咲き出すこの時期、私のところでは、完全にうらら
かな春の気候には、なかなかならない。日中暖かでも、
夜はまだ冷たい空気があたり一面を覆ってしまう。
万葉の歌人たちは、野の花々に、自分の想いを託し、詠い
上げることがなんとうまかったことか。どれほど、真似を
しようと思っても、きっと到達はできないであろう。
思はじと言ひてしものを朱華色(はねずいろ)の
変(うつろ)ひやすきわが心かも
大伴坂上郎女
〈もうあなたのことは思うまいと口にしたわたしだった
けれど。はねず色と同じで、ほんとうに移ろいやすい心よ。
また恋しくなってしまって…〉
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