ダニー食堂

右往左往の日々。

指紋採取 前編

2008-10-21 | 移民局より入荷しました
郵便で通知が届いたの。

この日の12時に来て下さいね。もし無理な場合はリスケするからここに希望日時を書いて郵送してね。

行くわよー。子ナシ仕事ナシですから時間はあるわよ。
第一、リスケするにしても郵送じゃ間に合わないじゃない。
どうして電話で受け付けないのかしら、お馬鹿さんね。

車を運転しないものだからググって公共交通手段を見つけて。
ダニーが留守中でも大丈夫。
船乗りの妻たるもの、夫を頼ってちゃぁ留守は守れないわ。
バスを乗り継いで1時間強ね。

10時にアパートを出発。
1時間に2本のバスもいい感じに来て順調、順調。

日本と違ってバス停に名前がないもんだから、降りたい場所の通りの名前と景色を熟知してないと「次、降ります」ボタンを押せない。

幸い、このバスの終点が目的地だったからで安心して乗っていたものの見知らぬ土地。気が付けば乗る人も降りる人も乗客は皆メキシコ人とおぼしき人種だけで、鏡越しに運転手をみたらやっぱりメキシコ人らしくて近くに座ってるおばちゃんと英語以外でお話してるし。しかも「次はどこどこ」ってさっきまで英語でアナウンスしてたのにもう違うし。

「明らかに東洋人で見るからにスペイン語理解しないあたしが乗ってるんですけどー」

少数派は無視って訳ね、失礼しちゃうわ。
でもここじゃそもそもアタシは外人、腹を立てるのも可笑しな話だわって思い直して「ゾッチやローザはきっとこのエリアに住んでるのかも知れない」なんて考えながら窓の外を眺めてたの。第一、このバスの終点で降りればいいんだもの、余裕だわ。

「おい、どこまで行くんだい?」って運転手が英語で叫んだから「きっとアタシに聞いてるのね」って前方見たら乗客みんなこっち向いてるし。
ぎょっとしながらも、終点の地名を言ったら「あー、そこなら終点。安心して座ってな」って言うから「えぇ、存じてますとも」と心の中で思いながらも「良かった、少し心配してたの。ありがとう」って返答したの。  
運転手の近くに座ってたおばちゃんも「そこは終点だから。もうすぐで着くわ」って繰り返すわけ。
「だからー、さっきの会話その至近距離で聞いてなかったわけ?」ってちょっとイラっとしながらも「そうみたいね。ありがとう」って笑顔で対応。
そんなあたしの心中を察して敢えてそうしたのかは分からないけど、後ろに座ってたおニイチャンが「どこまで行くの?それ見せてみな」ってググッタ時に印刷しておいたやつを指差すわけ。
「ここ、ここ。このバスの終点」って教えてあげながら紙を渡したにも関わらず、そのオニイちゃんたら気難しい顔しながらじっくり眺めて「うーん、そうだね。終点だね」って。

・・・・・・・いやになっちゃう。

終点に到着してさぁ、次は乗り換え。
あたしの乗るバスは・・・・・あ、これね。

今度はドキドキ途中下車。
運転手に予め下車地を伝えて乗り込む。

無事到着ぅ。
11時10分、ちょっと早いけど待ってるくらいが丁度いいわ。
あたし完璧。

あっ、パスポート忘れた・・・・・


ばかばかばかばか、さっきのメキシコ人だってこんなに馬鹿じゃないわ。
あたし最低。
ダニーがいないとすぐこうなんだから。
でも1時間も掛けて来たんだもん、ダメ元で聞いてみよう。
ひょっとしたら日本の運転免許証で身分が証明されるかもしれない。

即、却下

受付のおニイちゃんが「これには12時って書いてあるけど、15時までに戻ってこれれば今日中の受付OKだから」って言ってくれたから救われた。

ゆるゆるのアメリカ。
この日を逃したら、次はいつやってくるか分かったもんじゃないわ。
何としてでも今日中に済ませなきゃ。

小走りでバス停へ。