ハミなし頭絡で楽しい馬生活!日本ビットレスブライドル協会

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同業者批判はしたくないのだが・・・・

2020年11月18日 | 馬の医療や管理について

 なんだかな。我々小動物獣医師と大動物獣医師、「縦割り」になっちゃってる、のか、知識交換もないし、お互いの交流もないし、だからなんでしょうか?大動物診療をちょっと見ると、「あれが効く」「これが効いたのに」って、どこにエビデンスがあるんでしょーか?と言いたくなる事例ばかりで。。。。っていうか、もっと勉強してよ。

 例えば、疥癬。こんな動画ですが、出たのは最近なのか・・・・・・。

Mange 疥癬症

疥癬症とは、疥癬虫なるダニ(家にいるダニとは違います)が皮膚をほじって寄生する、もんだからめっちゃ痒い&刺激された皮膚にもトラブルが起きる、皮膚病としては重度レベルの疾患だと思う。これ、ついこないだまで(いや、今でも小鳥には時々見つかる)ペットショップから来た子犬や子猫にたかってて、困らされた。これの変形に耳疥癬という奴もいて、これは耳道内に似た種類のダニがたかる。ひどいフケがごっそりたまる&猛烈に痒がるという症状と、痂疲を鋭匙でほじって鏡検してダニを見つけて確定診断とする。鏡検の仕方なんですが、この動画にあるような「水」なんかで封入したら、ダニはさっさと泳いで逃げてっちゃいます。サンプルを取る皮膚を予めグリセリンで湿らせておいて、鋭匙でグリセリンごとがりっとやってサンプリングする。で、鋭匙にくっついた皮膚&グリセリンの固まりを更にグリセリンで封入して鏡検するとダニが逃げてかないから検出率が高い。
 で、治療法なんですが、なんかよく分からない薬とも呼べないような奴をこの方は紹介してますが、実は、昔からあるごく普通の外用薬が極めて有効です。それはクロタミトン軟膏。添付文書の効能効果には記されてないから知っている人は少ないが(従って、人医療では適用範囲外処方になってしまうんだろう)、今でも自分は鳥疥癬に使っている。クロタミトンにはステロイドが入ってるのもあるが、これを使うと却って広がってしまう。皮膚の免疫を抑えてしまうから。ので、入ってないシンプルな奴を塗りこんで治療する。毎日塗っていると1週間くらいで治癒します。殺ダニ効果があるそうで。

 「塗り込む・すり込む」治療を鳥疥癬にやっていただくと(人にうつらないよう、塗った直後の手洗いを忘れずに!)いいコミュニケーションにもなるみたいなんです。痒いとこをさすってもらえるから、気持ちいいんでしょうね。

 クロタミトン軟膏については、かつて犬疥癬治療で(大昔です。現在は犬猫用には疥癬に極めて有効な外用薬なんかいくらもあるから)往生させられた時に、手当たり次第に治療薬辞典等々(人医療の方です)調べまくって、たった一行書いてあった、それに気づいて処方を変えてみたらスカッと治るようになった。これについては、メーカーにも問い合わせてみたのだが(毒性等々)、疥癬は現在は知らないが、当時(20年くらい前の話ですよ)人医では精神病棟等に集団発生することがよくあって、その時に大量に塗る、軟膏ツボに入った薬を全部食べてしまった方もいたそうなんだけど、特に問題は起きませんでした、という言質を頂いて、そんなら舐めてもOKだべ、とやってみたらうまくいった。

 クロタミトンは今や、かゆみ止めとして化粧品にも含まれるような薬だから、使いやすいと思うんだけど。価格も安いし。

 但し、最も有効なのは。ダニなんだから、要はこんなダニをくっつけてよこす育成牛業者から牛を買わないことです。これに尽きる。こうやって飼育法の改善を促すのが早道と思うのに。このダニ、人にもうつる。甘く見すぎじゃないですかねえ。

 あと、ガンベ。糸状菌症に対するネットに出てる対処法がめちゃくちゃ。こんなんで治療と言えるのか?油を塗れとかさあ。ありえヘン。どういう根拠があるのよ?

 まだ、人間の水虫スプレーや水虫石鹸の方が有効でしょう。尤も、自分的にはナノソイを使うほうがいいですよ~~、と言いたくなりますけど。優秀な殺菌力&安全性で一押しなんだけどな。
 というか、この位の情報は今やいくらでも入手できるではないですか、そうした情報を提案して、そもそも疾患が発生しないで済む方策を考えて提供するべきだと思うのに。

 感じるのは、「動物の身になって考えてない」んじゃないか、という疑念。どーせ経済動物だから、みたいな小馬鹿にしてる感じがするのよ。どーせ金かけないんだろ、とか、どーせ治らないし、とか、どーせ治療を続けないんだろ、とか。仕事に「どーせ」は禁句。プロじゃない。



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