タロット柊

考えること、感じることの記録

寿命

2021-09-23 20:21:38 | インナーガイド2021・9月

病室のベッドに横たわっている。

目を開けると、

白い着物に黒い羽織をふんわりとまとった『寿命』が、

空から降りてきたように、宙に浮いている。

両手を広げながら、

こちらに向かってくる。

ちょっと笑ってしまうのが、

真っ白なお面の真ん中に

縦書きで『寿命』と書いてあるのだ。

 

 

ああ、と思う。

そうなのか、と思う。

『寿命』は、こんなにも優しいものなのかと思う。

 

たとえ『寿命』を拒否しようと、

ただただ、うなずいて、

どこまでも優しく、その腕に抱える。

何も言わない。

表情も分からない(お面なのだから当然だけど)。

 

やっと、やっと楽になれるのか、と思う。

よく頑張ったと思う。

こうやって、ゆけるのかと思う。

そう思ったら、

心から安心した。

 

ただ、任せて、静かに目を閉じる。

何もかも穏やかだ。

 

*****************

 

目を開ける。

私の前に座る方も、

私も泣いていた。

何も言わないが、

ただ、涙した。


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