タロット柊

考えること、感じることの記録

いちご

2021-09-26 18:36:35 | インナーガイド2021・9月

いちごは待っていた。

いつものようにビニールハウスの中で。

その美しさ、おいしさに、誰もが顔を輝せ、その素晴らしさを讃えることを。

子供も大人も笑顔になる。幸せになる。

こんないい仕事があるだろうか。

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いちご農家の若き3代目が、悩んでいる。

手塩にかけた自慢のいちご。

今年もいちご摘みを開くことができなかった。

期間限定のいちごカフェも、ジェラート作り体験も。

こんなに立派に実っているのに。

命の限り、実っているのに。

ああ、悩ましい。

 

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ふと見ると、

ビニールハウスに整然と並ぶ素焼きポット。

かわいらしいなと思って見ていると、

小さい葉っぱがぽわんと飛び出しぐんぐん成長し、

あれよあれよという間に、つやつやのいちごが実り出す。

 

そこからがまた面白い。

よくよく見ると、

一つ一つに、小さい名札が。

〇〇さんち行き。

△△先生宅行き。

☆☆お誕生会さま行き。

全てのポットにいちごが育ち、一つ一つに行き先のお名前が。

 

そして、広告の文字が・・・

 

素焼きポット回収サービス付き、

『お好きな場所でいちご摘みセット』。

お名前を付けてプレゼントにも。

いちごフォンデュ付きセットもございます。

 

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目を開ける。

「3代目、いちご、こっちから行きましょうか」

しばし沈黙の後、輝く瞳の3代目。

「いちごのポテンシャル、まだまだあるやん!」

 

頑張れ、3代目!


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