タロット柊

考えること、感じることの記録

指先

2021-09-20 22:34:21 | 考えること

皮膚感覚は、とても繊細だ。

特に指先の鋭敏さには、心底驚かされる。

昨日と同じ水仕事をしていても、

気温や空気の乾燥度などの変化を感知し、脳へ伝えてくれる。

 

台風が通り過ぎた昨日、

急に空気が乾燥し始めた。

いつものように洗い物をしようと水に手をつけたが、

ふと、ゴム手袋をはこうと思い立つ。

その後、慌てるにまかせて2回目以降はゴム手袋をせずに。

 

夜、一日の家事を終え、指先を見る。

小さなささくれができている。

今朝見たときは、確かに皮膚は皮膚としてひとつながりであったはずなのに、

どこかのタイミングで限界を超えたらしい。

 

朝、指先の微細な皮膚感覚を、確かに感知したはずだった。

けれども大したことではないとやり過ごし、ひとつながりの皮膚構造を変化させるに至った。

 

まじまじと指先を見つめ、遅ればせながら丁寧にクリームをぬる。

ふと思う。

どのような人にも、

どのような事柄にも、

それぞれに応じた強さとしなやかさを備えている。

けれども、どのような人にも、どのような事柄にも限界はある。

 

限界は、突然やってくるように思うが、

本当は、それよりいくらか前に、

最も繊細なセンサーを通じて、これから起こるだろう変化を予測している。

そして、その変化を感知し、行動を変えるよう、信号を送っているのかもしれない。

 

けれども、ほとんどの場合、

私たちは、意識のどこかで気付きながらもやり過ごし、行動を変えることはない。

そうして限界を超え、はっきりとした変化が目に見えて初めて、対処する。

そう、遅ればせながら。

 

鋭敏な指先が、何かを告げたとき、

それは自分への予言であり、

生命の持つ叡智の、ほんの一端に触れること。

 

そう考えると、

ささくれた指先に

「次こそは、ささくれる前に行動します」

と誓ってみたくなるのだった。


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