退院してから、1年半が過ぎた。
この間、一度、症状の悪化により、
再び死と手を結ぶかに思えたけれど、
そうはならなかった。
ひとまず、インナーガイドと名付けた正体不明の光について、
ぼんやりと、言葉が見つかり始めたころだった。
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退院後、仕事を再開した当初から、
光はその中身を開き始めた。
そこには恐ろしくたくさんの情報が入っているようだった。
まるで、細胞のひとつひとつに入っているDNAのように、
限りなく小さな空間に、無限とも思える情報が折りたたまれているようだった。
その情報を読んだり見たりするには、鍵が必要らしいということも、すぐに分かった。
しかも、どうやら、
一つの情報は、一つの鍵でしか開かず、
その鍵は、全ての人が一つずつ持っているようだった。
つまり、私一人で得れるのは、一つの情報だけ。
この1年半、見続けた光の中身。
その驚くべき情報量は、ただただ私を圧倒し続ける。
世界中の人に出会うことができたら、
読み終わることになるのかもしれないが、
そんなことはないだろうから、
今日、出会うことができた方の鍵を使わせてもらって、
情報を見、読む。
ただ、見たり読んだりできるのは、
もちろん、その方の情報だ(と思っているが定かではない)。
さらに驚くのは、
鍵は、私たちと共に日々変化するということ!
結局、目の前に座るのが同じ方であっても、前回と同じ、などということはないのだ!
つまり、
生きている限り、
同じものを見たり読んだりすることはないということだ!(もちろん私自身も!)
なので、びっくりすほど、面白い。
面白くもあり、哀しくもある。
楽しくもあり、怖くもある。
美しくもあり、残酷でもある。
どこまでも淡々として、それでも、心震わされずにはいられない、私たちの何か。
もう一度、死を意識したことで、
ぼんやりとしていた言葉が、
急に鮮明に浮かび上がり始めた。
時がきたのだろう。
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