早朝、面白い夢を見た。
いつも外国で暮らしていて留守がちなご近所の親子が帰ってきていて、
娘さんが、私に家に来いという。
伺うと、
とても華やかで、でもちょっとミステリアスな雰囲気のお母さんが出てきて、
「あなた、これ、売ってみない?」
と、ミカン箱二つ分ぐらいの大きさの透明の箱を指さして言う。
中には、見たこともない機械が入っていて、ピカピカに磨かれ光っている。
私はなんだかむっとして、
「なんで売らなくちゃいけないんですか」と怒って家を出た。
自分でも、なんであんなに腹が立つのか分からなったが、なんて失礼な人だろうと思ったのだ。
プンプンと怒りながら家に帰っていると、娘さんが後ろから追いかけてきて私に言う。
「あなた、これが、欲しいんでしょ」
と、プルタブのような形をした、小さなゴールドの金属を見せる。
「なんでそんなものがいるんですか!」と、さらに腹が立つ。
「私が欲しいのは本物なんです!偽物はいらないんです!」と、イライラしながら言うと、
娘さんは笑って答える。
「これが欲しいなら欲しいって、言ったらいいのに」
ほんの一瞬、私は間違ったことを言ったのではないかと後悔がよぎり、目が覚めた。
私は何を偽物と思い、何を本物と思ったのだろうか。
私は、一体何を、欲しがっているのだろうか。
あのピカピカに光る機械の意味は?
プルタブのようなゴールの金属は何だったのだろう。
答えは恐らく逆位置の魔術師にあるだろう。
私が欲しいのは、本物の力だ。
タロットをめくるにふさわしい能力だ。
ピカピカに磨かれた機械は、目立ちすぎて好まない。
まして、それを自分が売れるとは思えない。
手のひらに収まるぐらいの、
必要なときに使え、そうではないときにはしまえるような、そんな力が欲しいのだ。
でも、それは恐らく間違いだ。
大きさや、見た目にとらわれ、大事なことを見落としている。
ピカピカに磨かれた機械と、ゴールドの金属は、結局同じことだ。
自分の持つものを、相手がどう思っているかは、こちらが決められない。
けれども、それを使うと決めたらなら、
完全に、魔術師にならなければいけない。
魔術師は、ピカピカに磨かれた機械であり、小さなゴールドの金属だ。
ある目的のためだけに使われる、力の通り道だ。
それを自由自在に使い分け、妨げず、こだわらない。
それを分かりながら、
執着のような固定観念でものを見る自分を変えられない。
魔術師になる覚悟はあるか。
自分の能力を捧げきる覚悟はあるか。
逆位置の魔術師は何度も問いかけ、決意を促す。
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