隠者は、その名の通り、隠れた存在だ。
けれども、
一方で手にランタンを持ち、行く道を照らす、先導者でもある。
人は、心も体も元気な時は、隠者の存在に気付かない。
それを必要としてないからだ。
けれども、悲しみや苦しみに出会ったとき、
目の前がかげり、自分の進むべき道が分からなくなってしまう。
暗闇で、一歩も進めなくなってしまったとき、
ふと、遠くに小さな明かりが揺れていることに気付く。
じっと見つめていると、
まるで自分を呼んでいるようにも見える。
その明かりは、小さいが、まるで命そのもののようだ。
思わず立ち上がり、明かりに向かって手探りで進む。
それは、長い時間をかけた歩みだった。
やがて明かりに近づくと、
ランタンを持っている人物が見えてきた。
なぜだか、見たことがあるような気がする。
あの服、あの様子・・・
あっと、思わず声が出た。
隠者は、
自分だったのだ。
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今日、あなたは隠者に別れを告げる。
長い時間をかけ、
自らの命の光を守った隠者は、
その役目を終えるのだ。
隠者の存在を知ったあなたは、
前よりずっと素晴らしい。
なぜなら、
その導きを得て、
自らを救い、成長させたのだから。
そして願わくば
暗闇にいる誰かの、小さな明かりとなって、
命の希望を照らしてほしい。
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