沙門空海 唐の国にて鬼と宴す 全4巻 夢枕獏 著
西暦804年、密を求め遣唐使として長安に入った若き留学僧・空海は、友人の橘逸勢らとともに朝廷をも揺るがす大事件に巻き込まれる…。日本初の世界人の活躍を描く中国歴史伝奇小説。
唐の国より密教を持ち帰り日本国にひろめた「空海」のお話です。
とにかく
面白い!!!
あとがきに著者本人が「ああ~なんという、ど傑作を書いてしまったのだろう」とあるのですが
まさに!
その通りの作品です。
17年の執筆期間を要した超大作なのですから
多少の手前味噌は、いたしかたありませんネ。
でも、最初はですね・・・
巻の一を手に取ったときは、何てものに手を着けてしまったんだろ~と
一瞬、腰が退けておりました・・・(苦笑)
しかし
最終巻の巻の四を読み進むうちに
だんだん寂しくなり、左のページが軽くなり始めると
え~~もう終わっちゃうんだぁ・・・と
物足りなさを感じるほどでした。
テンポ良く、読みやすい構成になっており
難しい人の名前も都市の名前もすんなり受け入れられたような気がしました。
なんといっても
私が好きなのは
空海と親友である橘逸勢(たちばなのはやなり)=空海と共に遣唐使として長安にやってきた儒学生
この
2人の小気味良い会話の数々。
まるで
陰陽師の晴明と博雅の会話のように
爽やかで面白い。
それから
かの世界三代美女に名を連ねる楊貴妃の話なども
興味深く大変面白いものでした。
改めて
空海の偉大さを垣間見た気がしました。
唐の国で、駆け足で密教の最高位である亜闇梨(あじゃり)の位を授かるという
下りでは、読みながら、少々興奮した覚えがあるくらいです(苦笑)
こんなに解かりやすく唐の国について空海について
書いている作品は他には、ないのではないでしょうか。
全4巻を図書館で借りて読んだのですが、単行本も発売されているとのこと。
『沙門空海 唐の国にて鬼と宴す』全4巻
夢枕 獏 著
徳間書店
2007年08月発売 新書
本体価格:819円(税込:859円)