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主夫の徒然なるままに

「禁断の中国史 百田 尚樹 」読んでみた

 北方謙三の『水滸伝』『楊令伝』『岳飛伝』全51巻を読み終えて、国家の残虐さを改めて知ったつもりでいた。現実の中国は、日本に紹介された中国古典翻訳にない恐ろしい世界であることをこの本で知ることになる。中国のウイグル族への弾圧、ホロドモール と言われる旧ソ連のウクライナへの300万人以上のスターリンによる人為的な飢餓など権力者によるおぞましい事実は、あまりにも日本人に知らされていない。

 

 さて、この本では、「読むのが怖い!」と思わせる事実が続々と登場するが、大阪弁の軽いタッチの文章なのでスラスラと読んでしまう。時に気持ち悪くなるほどにスラスラと。

第1章 虐殺 - 中国史は虐殺史

第2章 刑罰 - 最も残虐な処刑方法 凌遅刑=肉を百回切って殺す

第3章 食人 ー 読むのに覚悟が必要

第4章 宦官 ー 遣隋使や遣唐使では、凌遅刑や宦官を日本に取り入れず

第5章 科挙 ー 壮大な無駄

第6章 纏足 ー みるのもおぞましい普通の足の半分の姿

第7章 謀略 ー 騙される方がバカだ。現代の日本も大いに騙されてる。

第8章 共産党の暗黒史 ー 虐殺に寄る虐殺、数十万、数百万、数千万の虐殺の積み重ね

 読むだけで気分の悪くなるところの多い本だが、現実はもっと恐ろしい。だが、この「禁断の中国史」は、中国古典を楽しんでいる人が、避けて通れない一冊だと思う。

 ところで、元塾講師として「科挙の無駄」が特に印象に残る。科挙のような形の入試制度を日本も持っているが、古典のみの勉強を10年以上、20年以上も勉強する無意味な科挙制度を日本は取り入れなかった。そのため江戸時代から西洋の学問を取り入れ、明治以降も急速に近代的科学的学問を吸収することができた。逆に言えば、無駄な古典ばかりを勉強する制度が、中国や朝鮮の近代化を遅らせ、植民地化を容易にした原因だとも述べている。

 同じようなことかどうかはわからないが、日本がこの30年停滞している原因のひとつが、東大理3を最高とする風潮、医者であることが最高の職業であるという幻想。TVドラマも医者をヒーローとするものが多いが、優秀な人材がみな医者を目指すのはどうかと思う。優秀な人材が、もっと日本を発展させる人材であってほしい。もともと東大は、日本の官吏を育てるための学校であると聞いている。優秀な人材の誰もかれもが医者を目指すのは、「科挙」と同じ歩みに近いのではないかと考え込んでしまう。

 次は、百田尚樹の韓国についての本を読んでみよう。




<主夫の作る夕食>
やまかけごはん と ほっけ









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