こんにちは、ジョンがる隊長です。(>_<)
今日は次期投入予定のCrystalEP(仮想アース)のお話!
昨今何かと話題の多い「仮想アース」だが、KOJOの現行製品であるForce barEPは、同シリーズの中でも最も人気の高いモデルのひとつだ。
今度製品投入するCrystalEPは、Force barEPの後継機種に該当する。
CrystalEP(プロトタイプ1)
もしかすると別な機会にブログで触れていたかも知れないが、製品説明の前に「仮想アース」なるものについて今一度解説する。
ここまで詳しく書いたことはないので、「仮想アース」なるものに懐疑的な方、効果があるから使ってはいるが、いったい何故?という方々に是非一読いただきたい。
「仮想アース」という言葉はここ数年前から耳にするようになったと記憶するが、実際にこの言葉を発したり耳にしたりすると、何だか眉唾っぽく聞こえるのは隊長だけだろうか・・・。
多かれ少なかれそのように思っている人はいると思える。
「仮想アース」ってオカルト?
うろ覚えだが、確かオヤイデ電気で取扱始めたエントレック社製のSilver Tellus(シルバーテルス)が、国内で販売される仮想アースとして、最初ではなかっただろうか。
現在は生産が終了しているようだが、木製の箱で出来ており、これで音質改善できるというのだから魔法の木箱に見えた。
しかもケーブル1本で!
正直「ホントかよ~」と思ったほどだ。
でも、電源周りのアクセサリを手掛けるKOJOとしては、以前から「アースに関するアクセサリを出せたらなぁ!」という意識はあったので渡りに船的なところもあった。
なので、KOJOも「仮想アース」というジャンルでは先駆者的存在なのだ!(笑)
※エントレック社から近々後継機種が発売されるらしい!(プチ情報)
エントレック製「仮想アース」の詳細については、オヤイデ電気のサイトで確認してもらいたいが、確か金や銀、銅、マグネシウムなどの粉体?砂状のも?が入っているという説明を見た気がする。
恐らくだが、種々の金属の配合率で音質的な調整を行っているのだと思えるが、最終的には後述するKOJOの「仮想アース」の原理と共通するものになると個人的には考えている。(エントレックさん間違っていたらごめんなさい)
他メーカについては大概にして、KOJOの「仮想アース」はどうなの?
まぁ~もう少しお待ちください。
仮想アース!? 実はずぅ~と昔からやっていた!
先ほど「仮想アース」という言葉に対し、少し抵抗があるようなことを記載したが、実はこのオーディオ業界では、「仮想アース」という呼び方をしなかっただけで、古くから実際にやっているところ(部位)があるのだ。
お気づきだろうか・・・
答えを言ってしまうと、それはアナログプレーヤになる。
アナログプレーヤからの信号配線(フォノケーブル)を考えたとき、大方のそれは、RCA/キャノンコネクタの他にアースケーブルが出ている。
※掲載をご了承いただいた「SAEC」、「Zonotone」さんに感謝!
果たしてこのアースケーブル!接続先はどこにされているだろうか。
そう、プリアンプやフォノイコライザのGND端子に接続しているのではないだろうか。
プリアンプやフォノイコライザのGND
実はこれ、プリアンプやフォノイコライザの筐体を(仮想)アースとして利用していたのである。
プリアンプやフォノイコライザに付いているGND端子は、筐体と接続されており、GND端子にアースケーブルを接続するということは、イコール筐体に接続していることなのである。
このアースケーブル、前述のGND端子に接続せずに放っておくと何が起こるだろう!アナログをやっている方であればご存知と思うが、盛大なハム音がスピーカから聞こえてくるのである。
ハム音がスピーカから出てしまう~!(;^_^A
ハム音が出てしまう原理を少し説明しよう。アナログプレーヤから出力される信号レベルは、オーディオシステムの中で最も微弱な信号(数mV程度)である。
つまりアナログプレーヤの出力インピーダンスは、CDプレーヤなどと違い非常に高く、外来ノイズの影響を受けやすいのである。(インピーダンス=抵抗値が高いということは、微弱な電流が流れただけで電圧に変換されてしますのだ)
この外来ノイズの中には、空中を飛んでいる50/60Hzの周波数(電波)がある。これすなわち商用電源の周波数である。
この電波が、もしピックアップ部分に入り込んできていたらどうなるだろうか?
もうお解りになった人もいると思うが、これがハム音としてスピーカから聞こえてくる要因である。
では、なぜ前述のアースケーブルをプリアンプやフォノイコライザのGND端子(筐体)に接続することで解消されるのだろうか?
金属筐体がハム音を抑える!
アナログプレーヤの出力信号は微弱な上にアース(今の場合安定した電位)から浮いているのだが、「浮いている」という言い回しは非常に的確で、世の中のもの、浮いているとなると、言葉のイメージ通りフラフラしているのである。
プリアンプやフォノイコライザの筐体は一般的に金属でできている。これはインピーダンス的に言えばおおよそゼロΩで、電気的に安定なのである。
ここにアースケーブルを接続することは、電位的に安定した状態(フラフラしていない状態)の上で、オーディオ信号を送り込むことができるため、ハムノイズが解消されるのである。
金属なら何でも良いの? 小さいものでも良いの?
ここでふと思う方もいるだろう。
前述のことが本当ならば、「プリアンプやフォノイコライザの筐体に限らず、金属だったらなんでも効果あるの?」と・・・。また、「サイズはどうなの?」、「小さくても良いの?」
実に良いところにお気づきだ!
実際、金属(導電性の高いもの)なら何でも良いのである。もしアナログプレーヤを設置しているラックが金属製なら、それに接続してみるのも良いだろう。
あるいは、使用していないオーディオ機材は無いだろうか?ただ遊ばせているならその筐体に接続してみても良い。
ただし、接続箇所が塗装処理やアルマイト処理など非絶縁物を介在しては何の効果もないので、塗装を剥ぐなりのことはしてあげなくてはならない。
サイズに関してだが、これはより大きな金属の塊に接続した方が安定するのである。
例えで言うと、地震が起きたとき皆さんはどういった衝動に駆られるだろうか。机の下など隠れる場所があれば潜り込むかも知れないが、隊長は取り敢えず近くのガッチリ固定された動かないものにしがみつくような気がする。
何も地震と一緒にぐらぐら揺れ動いているものにしがみついたりはしないだろう。それはやっぱり大きいもの(動かないもの)の方が安心できるからだ。
ちょっと乱暴だが、フォノケーブルのアース線も揺れ(フラフラ)が少ないもの(大きい金属)に接続した方が安心(安定)なのである。つまりは、インピーダンスがより小さいからである。
外来ノイズの影響としてもっと顕著な話もしておこう。
アナログプレーヤはレコードの溝をトレースして音楽信号をピックアップしているわけだが、アンプがこのピックアップ部分(カートリッジ)に近い場所に設置されたりしていると、アンプ内部のトランスから漏れ出るリーケージインダクタンス(漏れ磁束)の影響を受け、これまた50/60Hzのハム音が飛び込んでくることがある。
アンプは本来オーディオ信号だけを増幅してくれれば良いのだが、ピックアップ部分に飛び込んで来たハムノイズも一緒に増幅してくれるのである。
結果、スピーカから盛大な音として認識されることになる。
よって、アンプをレコードプレーヤの近傍に設置するのはNGなのである。もしそのようなシステム配置をされているようなら、直ちにレイアウト変更されることを勧める。
この場合、単に電波として飛び交う商用電源の周波数成分と違い、エネルギー的にも強力なため、前述のGND端子にアース線を接続していたとしても解消されないことが多いだろう。
余談になるが、そういった意味ではフォノケーブルに電源ケーブルが沿う形で引き回されているのも避けたいところだ。
電源ケーブルを流れる商用の周波数成分が、フォノケーブルに乗り移らないとも限らないのだ。フォノケーブルにシールドされた製品があるも乗り移りを抑制するためだからだ。
せめてケーブル同士が直交する引き回しとしたい。
いよいよKOJO TECHNOLOGYの仮想アースについてだ!
KOJOの仮想アースは前述の内容を踏まえて検討設計されているが、単に金属の塊を準備して、「はい、これが仮想アースです。」「皆さんこれにオーディオ機材を接続してください。」と言ってもあまりにも芸が無さすぎるというものである。
これは前述のエントレック製の「仮想アース」においても垣間見ることができる。
そう、異金属のブレンド、ハイブリッドである。
エントレックでは、粉体?砂状?のものを利用していると思われるが、KOJOは薄い異金属プレートの積層でハイブリッド化を行っている。
これは音質調整のために行っているのだが、KOJOの「仮想アース」は、銅、真鍮、ステン、アルミ、スチールのブレンドだ。
CrystalEP(プロトタイプ1)異金属積層
ここに金やシルバーのプレートを使い始めると、途端に高価なものになってしまうため、ここは我慢のしどころ。一般的な部材を使用しつつも、高いパファーマンスを引き出すというコンセプトを掲げたCrystalシリーズ!屈するわけにはいかないのだ。
表面積を稼げ!目指せ地球!
オーディオ機材を取り巻くノイズは、いまやハムノイズだけではない。
オーディオ機材もデジタル化が進み、機器内に使用される電源もスイッチング化が進んでいる。一昔前は「スイッチング!?ダメダメ」、「そんなものノイズが多くて使えんよ」だったが、今やヨーロッパ系の機材はどんどんスイッチング電源を内蔵するものが出てきている。これらは勿論、各メーカが苦労されて相応のノイズ対策は施されているものだが、一生付き合っていかなければならない課題でもある。
こうした機材(デジタル機材やスイッチング電源内蔵装置)は、高い周波数成分のノイズを含んでおり聴感上聞こえるものではないにしても、「何だかノイジーだ」、「なんかざわついて、ノイズフロアが高いような気がする」など、ユーザにとっては邪魔なものでしかないのである。
皆さん、「表皮効果」という言葉をご存じだろうか。そう、電源ケーブルや信号ケーブル、スピーカケーブルをかじっている方ならおわかりだろう。
導体に流れる電流は、高周波になればなるほど導体の表面を流れたがるという性質だ!
KOJOの「仮想アース」はこの性質を積極的に利用するもので、先ほど金属は大きい方が良いと言ったばかりだが、使用する金属は大きい(塊である)必要はないのである。むしろ塊より表面積を大きくすることの方が重要なのである。
このことは高周波成分を多く含んだノイズに対し、インピーダンスを低減することが可能で、非常に効率的で高い効果が得られるのである。
もしこの表面積が地球規模サイズだったら、地球に接地するよりそれに接地した方がより安定するんだろうなぁ~。目指せ!地球規模仮想アース・・・。
ラジエターみたい!
車やバイクのラジエターを想像してみよう。あれはクーリングをするために使用されているものだが、その原理はいたって単純。とにかく空気に触れる面積を大きくし、効率的に熱を逃がしてやるというものだ。
ラジエターのクシャクシャの蛇腹状になった構造は、まさに表面積を確保するためものなのである。
今度製品化するCrystalEPは、この原理に着目し、積層する一枚一枚に0.5mm程度の隙間を設けた構造とすることで、表面積を増大させている。しかも異金属をブレンドすることで音質的な調整を行っているのである。
まだプロトタイプ(PP1)における確認だが、なかなか良い感じで素性の良さが伺える。
自作仮想アースはどうよ!
この類、自作されてみたりされたい方も結構いるのではないかだろうか。
隊長なりのアドバイスになるが、以下のことをお考えになって実施されてみてはいかがだろうか。
メーカの人間がこんなことを教えてしまって良いのだろうか・・・。
ものが売れなくなるのでは!(メーカなりのノウハウが十分にあるので大丈夫です)
1.とにかく表面積を稼ぐ構造とする
2.実際の大地アースを模写(ミニチュア化)することでは、金属体よりインピーダンスは下がらない
「1.」に関しては前出でご説明差し上げた通りだ。是非参考にされて欲しい。
「2.」に関しては、ネット上でたまにお見掛けするのだが、個人的(前述の技術的見解)には、どうやっても金属の塊の方が良いように思えるのだ。
以下は、たまに見かける果実酒を作る際に使用する瓶などに細工する場合だ。
恐らく効果としては木炭等の中に入れ込んだ一枚の金属プレートや網状になったシートの効果分しか見込めないものと考えている。
音質的な効果として炭などの役目はあると考えるが、S/Nの向上、ノイズ感の低減といった意味では、期待するほどの効果が得られないように思えるのである。それは金属体に比べてインピーダンスが高いからである。
大地アースの工事で行う炭を敷き詰めるといった行為は、地中に埋める銅板や棒状のものとの接触抵抗を低減させるためのものであって、金属以上のインピーダンス低減は難しいのである。実際、第三種とされる接地工事においても100Ωである。
実施されるならば、金属プレートを何枚も入れるとか、網状のものをたくさん使って丸め込んだりするのが良いと考える。
お知り合いや近所に、板金加工屋さんとかがある場合は、廃材を頂戴するというのも良さそうだ。
あるいは機械加工屋さんがいらっしゃる場合は、切削の際に出る金属くずなどを頂戴するのもありだ。
いずれも、冷却のため油分を使っての加工が行われているはずなので、脱脂処理は行ってもらう必要がある。
他の手法として、これはよくイベント等で「仮想アース」の種明かしをした際に話すのだが、DIY等で売っているであろう銅やアルミ箔の薄いシートを、オーディオルームの床一面に敷き詰め、ワニ口クリップ等で構わないので、接続したい機材とそのシートを繋いであげるのだ。
見た目や実用性に欠けるため、絨毯を敷かれているオーディオルーム等だったら、その下に敷いてあげると良いと思う。
<番外編> 仮想アースではないが・・・
水道管にアース接続で接地だ!
稀に耳にするのが、「水道管にアース線つないで接地だ!」だ。
でも騙されてはいかん!
相当昔の水道管(金属製)ならまだしも、最近の住宅事情では、蛇口の後ろは直ぐ塩ビだぞ!
接地したことにはならないことご承知ください。
<最後に>
一戸建てのご自宅ならまだしも、アパート、マンションなどの集合住宅にお住いの方は、概ね大地アースなどの工事は無理!そんなときに活躍できるのが「仮想アース」だ。
専用のアース工事がなされている場合においても、効果が出ているとのお話も聞こえてきている。(全てにおいて効果が出るとは言えませんのでご理解ください)
是非これを機に「仮想アース」をご検討いただきたい。
本ブログを読んでいただいたことで、少しでも、一人でも「仮想アース」に対する疑い(笑)が晴れたなら幸いだ!
ジョンがる隊長