大島の空の下で

伊豆大島在住の中年のおっさんのブログです.日々の出来事を綴っていきます.一部は mixiとマルチポスティングしています.

コスモクリーナー

2011-04-09 02:28:35 | Weblog
放射能と放射線と放射性物質の呼び分けがいい加減なような気がしてなりません.危機感をあおる表紙でブーイングを浴びたアエラ(3/28号)の副題も「放射能がくる」でした.かつてあの「科学朝日」を出版していた会社でさえこの混用はどうしたことなのでしょう.
ところで米ソやフランスが盛大に大気圏内核実験を強行していた1960年代は放射能という言葉とともに「死の灰」という言葉がかなり使われていた記憶があります.
剣呑な呼び方ですが放射性物質を放射線を出す活性力(放射能)と混同するよりはましな表現だった気もします.
核実験のニュースが流れるたびに死の灰を含んだ雨に当たるとハゲるというまことしやかなデマが流れ子供こころに怖かった思い出があります.福島第一原発の事故以来本邦国民の核エネルギーに関する知識は急速に高まっているような気がしますが60年代はまだ全国民がナイーブでした.まして鄙では…当時水道施設の貧弱だった当地(伊豆大島)では屋根に降った雨水を導水して井戸に溜め常用している家庭が大半だったので放射能ろ過器なる珍妙な商品がバカ売れしたのです.それは円筒形の郵便ポストを3分の一程度の高さに縮小した形状の白い樹脂製のタンクで上部に水投入口,下部に小さな蛇口がついていました.内部にはなにやら効能のありそうなフィルター(単なる金網?)があってその上に砂だか小石だかを入れて使用するようになっていました.何のことは無いキャンプサイトで使用する生水のろ過器と同じ原理のものですが死の灰を除去するという効能を信じて多くの島民が競って自宅の井戸脇に設置したものです.今だったらイオン交換膜とかなんとかもう少しマシな説明が必要でしょうが素朴な島人たちは難なくだまされたのでした.今思えば死の灰という粉状の物質をイメージする言葉が砂やメッシュでろ過できるという実にだましやすい錯覚を生んでいたのだと思います.その後この商品のインチキさが知れ渡るとろ過器は無用の長物と化しましたが一部は漁船に積み込む水タンクとして使用されトモに白い円筒物をくくりつけた漁船が70年代までよく見られました.
さて60年代の核実験による放射性降下物は今回の原発事故前の平常値の1000倍以上だったということですが現在の値はどの程度なのでしょうか.そろそろコスモクリーナー(?)が大ヒットバカ売れとなるのか注意してみようと思います.


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