大島の空の下で

伊豆大島在住の中年のおっさんのブログです.日々の出来事を綴っていきます.一部は mixiとマルチポスティングしています.

ビッチマグネット

2010-02-18 23:20:35 | Weblog
今期の芥川賞は1999年上期以来の該当作無しだそうで各誌の文芸欄ではそのこと自体が話題になっているようです. 1970-80年代には3度に1度は該当作無しが普通だったような気がするのですが同賞はこの10年間は大安売り状態だったということでしょうか.
ということで今月の文藝春秋は受賞作ではなく舞城王太郎氏の「ビッチマグネット」を掲載しています.同賞に次点はないものの選考委員の池澤夏樹氏他何名かが強く押した作品です.
なぜかビッチとばかり付き合うことになってしまう弟を持つ女性の18歳から10年間の成長をクレバーなモノローグで綴った物語です. 芥川賞受賞作はたくさんの暗喩が組み込まれた作品が多く謎解きのような読み方になりがちなのですが,本作品はすなおにストーリーを読みすすむことができ,久しぶりに物語りを楽しむことに集中できる小説だったと思います.作品中の弟の口調が同年代の愚息とまったく同じでエピソードも本当にありそうなことばかり.そんなところも面白く読めた理由かもしれません.作中人物と同年代のお子さんをお持ちの方にお薦めしたい作品でした.

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