御存知ロビンソンクルーソーの物語の全訳です.小さな活字の文庫本で340ページほどあります.プロットは誰でも知っているように無人島に漂着したロビンソンクルーソーが残された難破船の物資を活用して住居,衣類,食物といった生活の基盤を単独で作り上げ,後に上陸してきた原住民の捕虜だった若者を救出しフライデーと名づけ共同生活を始める.数年後島に迷い込んできた祖国の船に救出され,28年に及ぶ無人島生活に別れを告げるというお話し.元祖サバイバル小説ですが,読み始めてみると孤島で遭難という絶望的状況と,たった一人の生き残りであるという僥倖を神の試練と福音としてうけとるクリスチャンの心理描写をはじめ,ディティールまでリアルに書き込まれた無人島生活の描写は興味深く読めて,冒険物語としての側面はもちろん,レッキとした大人向けの文学と感じました.今回は1951年発行の旧仮名遣いの混じる編集の本で読みましたが,なかなか味わいのある読書となりました.
ダニエル・デフォー著 吉田健一訳
ダニエル・デフォー著 吉田健一訳
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