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『空中ブランコ』 奥田英朗

2024年04月17日 21時20分39秒 | ■読書
奥田英朗の連作短篇集『空中ブランコ』を読みました。
『イン・ザ・プール』に続き、奥田英朗の作品です。

-----story-------------
直木賞受賞の大ベストセラー、ついに文庫化!

伊良部総合病院地下の神経科には、跳べなくなったサーカスの空中ブランコ乗り、尖端恐怖症のやくざなど、今日も悩める患者たちが訪れる。
だが色白でデブの担当医・伊良部一郎には妙な性癖が…。
この男、泣く子も黙るトンデモ精神科医か、はたまた病める者は癒やされる名医か!?
直木賞受賞、絶好調の大人気シリーズ第2弾。
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2004年(平成16年)に刊行された精神科医・伊良部シリーズの第2作で、第131回直木賞受賞作です。

 ■空中ブランコ
 ■ハリネズミ
 ■義父のヅラ(『教授のヅラ』を加筆改題)
 ■ホットコーナー
 ■女流作家

ジャンプがうまくいかないサーカス団の団員、先端恐怖症のヤクザ……精神科医伊良部のもとには今日もおかしな患者たちが訪れる、、、

直木賞を受賞した絶好調シリーズ第2弾!

破天荒な精神科医・伊良部一郎が患者たちの問題を奇抜な発言や行動で解決に導くコメディタッチの物語の第2作……今回の患者は、飛べないサーカスの空中ブランコのフライヤー、尖端恐怖症の暴力団・紀尾井一家の若頭、破壊衝動がある伊良部の医学部時代の同級生の精神科医、一塁へ送球することが怖くなってしまったプロ野球選手のベテラン三塁手、以前書いたネタじゃないかと不安なって書けなくなった都会派作家 と、今回も一筋縄ではいかぬ人物ばかり、、、

本シリーズを読んでいると怪しい名医・伊良部の独特な魅力?に引き込まれていく感じです……次は、どんな患者に、どのように接するのか、気になって仕方がないんですよねー 中毒性のあるシリーズですね、、、

『義父のヅラ』の義父で学部長のカツラを剥いでしまいたくなる衝動と、それを治療しようとする伊良部の行動が、特に面白かったですねー 笑っちゃいました……伊良部のユニークなアプローチと、その暴走治療?により患者たちが心の平安を得る過程が愉しめました。

次も精神科医・伊良部シリーズを読もうと思います……やめられない魅力があるシリーズですね。



以下、主な登場人物です。

伊良部 一郎(いらぶ いちろう)
 伊良部総合病院神経科の医師。当病院副理事。
 注射が好きで、患者にはとりあえず注射を打つ。デブで色白。
 公平の制止を無視し、「自分は身軽だから」と空中ブランコに挑戦するなど大胆な性格である。
 学生時代は老け顔で、同級生の中には講師と勘違いする者もいた。
 医学部の厄災と言われ厄介者扱いされており、大学卒業後は小児科の医師になったが、
 患者の子どもと同じレベルで喧嘩をすることにクレームが殺到し、神経科に転科した。
 大学卒業自体、秋篠宮殿下のご成婚特赦説や医師国家試験合格にフリーメーソン関与説が出るなど、成績には疑惑が残る。

マユミ
 神経科の看護師。Fカップで、露出の多い服装を好む。
 一郎と共に往診に訪れた際は、ヒョウ柄のホットパンツを履いていた。

山下 公平(やました こうへい)
 「空中ブランコ」主人公。
 サーカスの空中ブランコ乗り。フライヤー歴7年で、空中ブランコ担当団員のリーダー。
 両親共にサーカス団員だった。失敗を重ねるようになり、妻と団員に勧められ精神科を訪れる。
 ジャンプの失敗はパートナーによる嫌がらせだと思っている。

猪野 誠司(いの せいじ)
 「ハリネズミ」主人公。
 渋谷界隈をシマとするヤクザ・紀尾井一家の若頭。かつては「渋谷のイノシシ」と呼ばれたこともある。
 箸も使えないほどの尖端恐怖症で、食事にはスプーンを使う。内縁の妻に勧められ、神経科を受診。

池山 達郎(いけやま たつろう)
 「義父のヅラ」主人公。
 大学講師で、付属病院勤務の神経科の医師。
 医学部学部長に義父(妻の父)が就任し、前途洋々。一郎とは医学部時代の同級生。
 非常ボタンを押し逃げしたい衝動や、整然としたものを破壊したい衝動に駆られる強迫神経症。
 義父が一目でそれと分かるカツラを着けており、見る度に剥ぎ取りたい衝動に駆られることに悩んでいる。

坂東 真一(ばんどう しんいち)
 「ホットコーナー」主人公。
 プロ野球選手。プロ入り10年目のベテラン三塁手。
 ある練習試合で若手のイケメンルーキーに変われと野次を飛ばされ、暴投して以来、
 一塁へまともな送球ができなくなるイップスの状況に陥る。
 右肩が痛いと偽って、現在は故障者として一軍から外れている。

星山 愛子(ほしやま あいこ)
 「女流作家」主人公。
 都会の男女の心の機微を描かせたら当代一とも言われる小説家。
 新作執筆中に、以前も書いた内容ではないかと不安になる。
 丹念に取材を重ねて上梓した渾身の力作がセールス的に失敗したことから、
 周囲から求められる作風と真に自身が創作したいものとのギャップに、内心秘かに悩んでいる。
 かつて患っていた心因性嘔吐症は完治したが、2年振りに症状がぶり返し、神経科に。

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