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『半生の記』 松本清張

2020年02月17日 23時25分00秒 | ■読書
「松本清張」が作家デビュー前までを回顧した自叙伝『半生の記』を読みました。


表象詩人溺れ谷新装版 遠い接近に続き、「松本清張」作品です。

-----story-------------
著者を育んだ故郷・小倉の記憶、そして父母のこと、兵役や仕事のことなど……。
いかにして「作家・松本清張」は生れたのか?
文壇デビュー以前の回顧録。

日本が破滅に向って急速に傾斜していった時代、金も学問も希望すらもなく、ひたすら貧困とたたかっていた孤独な青年、「松本清張」
印刷所の版下工として深夜までインクにまみれ、新聞社に勤めてからも箒の仲買人までしながら一家八人の生活を必死で支えたその時代が、今日の「松本文学」を培ったのだった――。
本書は、社会派推理小説の第一人者である著者が若き日を回想して綴る魂の記録である。
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表象詩人新装版 遠い接近等、「松本清張」の実体験が色濃く反映された作品を読んで、「松本清張」の自叙伝である本作品を読みたくなったんですよね、、、

貧しく孤独な生い立ち、失意の青春時代、金も学問も希望もなく印刷所の版下工としてインクにまみれていた若き日、旧日本軍における召集・軍隊生活… 作家としてデビューするまでの苦闘の日々を、切々と告白した文章が心に響いてくる印象的な作品でしたね。

 ■父の故郷
 ■白い絵本
 ■臭う町
 ■途上
 ■見習い時代
 ■彷徨
 ■暗い活字
 ■山路
 ■紙の塵
 ■朝鮮での風景
 ■終戦前後
 ■鵲(かささぎ)
 ■焚火と山の町
 ■針金と竹
 ■泥砂(でいさ)
 ■絵具
 ■あとがき


どこかで見たことのある場面だな… と思わせる部分が何か所かあり、これまでに読んだ「松本清張」作品の題材には、実体験が活かされている部分があるんだな と改めて感じましたね、、、

親の愛と束縛、そして、絶望するような極貧と虚しさの中で家族を養うために、小学校を出てから働きづめの毎日… 想像を絶するような苦労を重ね、40歳を過ぎてから作家として成功した人生を辿ることで、「松本清張」の凄さを感じました。

自分だったら挫折していただろうなぁ… ここまでのハングリー精神は持てなかったと思います。

『焚火と山の町』で、戦後間もない広島を訪ねた際の記載があり、比治山公園や宇品、広島駅近辺のヤミ屋・猿猴橋、八丁堀・福屋デパート等々が紹介されていました… この部分は食い入るように読んじゃいましたね、、、

本人も広島市(現在の南区京橋町)出身らしいですし、母親が東広島市の志和出身ということもあり、広島には親近感や郷愁の気持ちがあったのかもしれませんね。






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