吉澤兄一のブログ

お江戸のど真ん中、平河町から、市井のトピックスを日記風につづりたいと思います。

汗しての価値創造より「お金の運用」でのそれを子供に教える銀行。

2006年08月20日 | Weblog
 個人金融資産総額が1500兆円を越えた日本。外資ファンドも大手銀行グループも「プライベート・バンキング」と言って、その運用の囲い込みにあの手この手だ。スパーリッチの大きくまとまった資金の運用や管理を受け、その手数料収入をいただくことが効率的という訳だ。マス・マジョリティ(一般大衆)からは、黙って稼ぐATM手数料がいいからだ。
 年間100人から500人ぐらい生まれるというIPO長者(新規株式公開による金融資産長者)を含む5億円以上の金融資産を持つ6万人とも10万人とも言われているスパーリッチ層のほとんどは、外資系ファンドも含む銀行グループのプライベート・バンキングの上顧客であり、ターゲット(標的顧客)だ。なかでも、20から30億円の金融資産の管理や運用を銀行グループに委託しているスパーリッチ層は、1万人とも2万人ともいわれている。これらの上顧客には、節税や相続税関係の相談や手続きなどもサポートするファイナンシャル・プランナー(FP)が、金融資産の運用アドバイスも含め何人も配置されている。
 このようなスパーリッチやIPO長者の裾野を広げようといわゆるマス・アフルーエント(大衆富裕層)といわれる金融資産1億円以上のプチ富裕層の顧客シェア獲り競争が激しい。72万人とも100万人ともいわれる世帯数があり、おおよそ100兆円から200兆円あると言われている。つづいて狙われているのが、2007年より(60歳)定年になる団塊の世代の退職金だ。平均2000万円としても約250万人といわれている団塊サラリーマンの退職金総額は、約50兆円にもなるのだ。
 これらの金融資産が、1500兆円といわれる個人金融資産に加わっていくのだから、このような個人資産の管理、運用をと目を光らせる銀行グループの関心はわかりますが、最近はこのような市場の将来を見据えての金の卵「子供たち」への教育的介入だ。「株のがっこう」「キッズ マネー アカデミー」「キッズ マネーキャンプ」など「子供たち」への”長者になる秘訣は、お金を上手に運用すること”だ、”汗してコツコツ貯めること”より”汗しないで頭を使って「お金」を運用すること”が「ヒルズ族」のようなリッチャーになる近道だと教え、そのように指向する人々に育ってもらおうとする構想(企て)なのだ。
 ひと昔前の小学校で流行った子供貯金や子供銀行および小遣い(家計)の上手な使い方や株式(投資)ゲームなどでは、”靴の上から足をかいている”ようだと言うのだろう。いくら「金融や金銭の取り扱い」が仕事の銀行とは言え、世界や日本という国の法人なのだ。銀行。
 これからの価値創造の労働や知のあり様を考えた国づくりや人づくりを考える社会的責任をシェアリングしてもらいたい銀行なのだが、それでも「子供たち」に子供のうちから”お金の運用”を教えることが、まずは大切だというなら、その本質を教えて欲しいと思うのです。
コメント (2)
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