(続き: ライブ本編の話し①)
(photo by TST)
そして、来るぞ、来るぞ、と思ったら本当に来た、本当に言った
「オオサカッ、ワイルッ(ド)!!!」
今回は、「お約束」ギャグなので、もう自信たっぷり、よりワイルドに
堂々と叫ぶモリッシー。こちらもウケる気満々で大熱狂。
興奮して緊張して、それでも厳粛だった時間がぶちはじけた。
以下、曲順とともに、衝動的に思ったことをひと言ずつ。
1 Suedehead
思い返せば1988年から、何度も何度も聞いているこのイントロが
こんなに胸にしみたことはない・・・
“Why do you come here?”と歌われると、
「そんな理由知っとるやんけ!!」と思いつつ涙が止まらなかった。
ホワイ、ホワイと繰り返される度に、もうその理由も答えもないからここに
いるんだと思って泣いた。
…それで終わるなり「アリガト」だからずっこける。
気が狂うほど、かわいい。
2 How Soon Is Now?
(The Smiths song)
2曲目にこんな目玉持ってくるんだ、ゴリゴリやる気だ!!と
思った。好き過ぎるイントロ。ジョニー・マーが「いとしのレイラ」みたいな
強力なイントロにしたい、始まるなり誰もが「あっ!」てわかるものに
したい、と昔語っていたが、その目論見は成功し続けている。
ただ、スミスの時はこれを歌いながらも足元ガタガタ、痛々しいほど
だったのが今はさらっと「愛されたい、人間だもの」と歌う。でも
どんどん高まっていき、最後は「死にたい!!」に行きついて
銅鑼で地獄の釜の蓋が開きギターに背中押される感じ。
このスミスの時以上の、毎回トップスピードの
疾走感はもう、クセになる。
そして「大阪にまた戻ってきてここで歌うことをお許しくださり、
ありがとうございます」とやけに礼儀正しく礼を言うモリッシー。
許してもやらない時はやらず、たとえ許されなくてもやる時
はやるくせに、何を言ってるんだ!と思う。
好きだけど、腹立たしい、なのにぐっとくるからタチが悪い。
3 I'm Throwing My Arms Around Paris
横浜キャンセルが決まった時、この失恋ソングが頭の中を
一日ぐるぐる。
「君の笑顔の喪失」。
愛とは常にそんな喪失感に突き動かされる、
感情である以上に「行動」だと思う。
…それでしみいっている時に終わるなり「ドウモ」だから
また気が抜ける。パリなのに、ピサのドゥオモ広場か!w
この辺まで幸せすぎて、もうよくわかんなかったが、はっと
「君こそたったひとりのひとだよ、デブくん」って言いながら
モリッシー指さして失礼かも…とか冷静になるw
でもみんな指してるからいいか、そしてモリッシーの
「へヘイ」から「オーヘイへヘイ」のドスが増していて、
とても楽しい。
5 What She Said
(The Smiths song)
こ、これも目玉ソングですけど、こんなしょっぱなに持って
くるんだ!!と驚いた。
たったの約3分半で世界が変わる歌。イントロだけで、
この世の理屈かぶっとぶ歌。スミスの時の危うさがない
分、ものすごく確信的で恐ろしい。最近のアレンジでは
“Asleep”のアウトロにつなげていくが、もうそんくらい
からモリッシーの巻き舌の「ラララララリエ~」が声なんだか
楽器の音なんだか、はたまたこの世のものだかわから
ない。この曲のパンチもすごくて、ジョニー・マーさん、
ほんといい仕事と思うけど、モリッシーの声があって
この歌なのだといつも思ってるの改めて確認した。
6 Ganglord
29日にやらなかったので、こうやって聞くと、その重みと
貴重さが身にしみた。心から愛おしい。
イントロは、風吹きすさぶ荒野から
ギャングの親分(Ganglord)が現れるみたいだ。
(待ち構える敵がそして、「サインください!」と群がる
…なわけはない笑)
そしてバックドロップに映しだされる、警官たちの横暴。
この世の「無慈悲」を救うのは、陳腐な正義感や秩序
なんかではない、そんなものじゃもう足りない。
「ゲットー!ゲットー!」という繰り返しで、もはや
どこにも行き場所も救いもないからどうするのかと
問われている気がした。
わたし、とかく「重いモリ曲好き」と言われるが、
重いメロディーが好き、という以上にお仕着せな
予定調和を許さない男前な考え方の提示に弱い
のであります。
7 Speedway
そして、この歌こそ、お仕着せ排除男前ソングの最骨頂だと
思うのです。モリッシーのマニフェストソング。
しか~し、今回はグスタボのスペイン語「ヨンカリヘ~」タイム
に気がぬけてしまう。。しかし、3回目になって、なんか好きにw
グスタボも、どんどん歌がうまくなっておる!こぶし使いとか。
ツイッターでMukinkoさんが「ヨンカリヘ」ではなく
“Yo nunca dije”→「イョ ヌンカ ディへ」だと教えてくれた。
=“I never said”なんですね。
(ありがとうございます!)
こちら↓ではスペイン語字幕が見れることも。
「ここからテキストを起こして、翻訳ツールで音声を読み込めば
書き起こしできる」=グスタボさんとシングアロングできる
とのこと!! 早速やろうw 次までには練習しとくので、
グスタボタイム、終わらないでほしい。
※その後まきさんより、こちらでスペイン語歌詞
見られるとのこと!↓
http://lyricstranslate.com/en/speedway-speedway.html
メンバーがパート取り替えあっても、「余興」みたくならず
にこりともせず真面目にやってるのと、
これ終わった後に、グスタボさんがモリッシーにちゃんとお辞儀
して「歌わせてもらってありがとうございました」
「よかよか、タンバリンでわしも伴奏がんばったばい」
みたいな「引き継ぎタイム」があるのもすごく好き。
8 Kiss Me a Lot
これは始まるなり、夢の中に分け入って行き、その中で
顔中体中キスされて、最後のアウトロで夢から覚めていく
みたいなのが好き。ジェシーのラテンフレイバーあふれる
楽曲は、明るいだけでなく哀調もあるうえ、そこにモリッシー
が歌乗せるとなんかもう兵器みたいに力強くなる。
一緒に手拍子してるとこっちまで、怖いものなにもない
みたいな気になる。
私はこの歌、心の底から、単純に楽しい。
9 Istanbul
そしてすぐ重いのぶっこんでくるからすごいセットリストだ。
2016年8月からのツアーのセトリは自分なりにいろいろ
研究?したつもりだが、今日のはすごい。想定をはるかに
上回る、とぞくぞくしながら次の曲を待った。
一曲一曲すべてが始まると嬉しくて嬉しくてたまらなかった。
大好きな“Istanbul”。WPINOYBの中でも3本の指
に入る。生で聞く迫力は本当に言葉にできない。
自分が、探している父親なのか、探されている子どもなのか、
どっちなんだかもはやわからないけど、とにかく会えない(泣)。
探し回って、探し回って。
目の前にいるのに、すぐそばにいても、会えない。
やっと会える時は木の棺の中で横たわって死んでいる…
切なさでも不幸でもなく、単なる事実を深く厳しくでも
やさしい声で歌うモリッシーを見ていた。
ずっとずっと見ていたいと思いながら見ていた。
10 Ouija Board, Ouija Board
あの子の好きなウィジャボード♪
また喜んでいるだろうな、と思うと自分も嬉しくなった。
前回の来日時には、モリッシーが“Hear my voice”と
歌う姿が司祭のようだと書いた。
今回は、それを凌駕しているように思えた。
司祭のような媒介者ではなく、
その向こうにある、もうなんだかわからない
「かたまり」そのもののように見えた。
この歌は実に細かく、
モリッシーの「歌」という表現を、存分に見せるポイント
だらけなので、まだまだ歌い続けるのではないかと思った。
…てか、思ったことをひと言ずつのはずが、まったく
終わらね~w
長くなったので続く。