Action is my middle name ~かいなってぃーのMorrisseyブログ

かいなってぃーのMorrissey・The Smithsに関するよしなしごと。

The Hand That Rocks The Cradle

2024-10-25 19:24:08 | ザ・スミス歌詞/The Smiths
The Hand That Rocks The Cradle
“The Smiths”(1984)収録
 
ファーストの5曲目。レコードではA面最後。
この曲と"Suffer Little Children"が、モリッシーがマーと最初に完成させた2曲である。2人の最初のオリジナル曲で、初レコーディング曲。
 
モリッシーはマーと会う前にはすでにこの歌詞を完成させていた。音楽に乗せた詩の朗読のような歌。1982年、マーは初めてモリッシーのタイプ打ちの歌詞を見て感激し、パティ・スミスの『ホーセズ』収録の「キンバリー」をモデルにしたメロディーを提案。なぜなら「キンバリー」でも、赤ちゃん(パティの妹)のことを歌っていて、「片手で君を揺らした」という歌詞があるからだそうだ。マーの思考、単純だけど、結果的にナイスアイデア。パティの「キンバリー」の回転をゆっくりにして声をもっと、涅槃からのお経にした感じで、この歌詞にはもうこのメロディーしかない感じ。
 
赤ちゃんを歌った歌は、もっと明るかったり、希望にあふれていそうなものだが、この歌は少し怖い。「ゆりかごを揺らす」手は、果たしてこの世のものだろうか?
 
イメージとしては、アダムス・ファミリーの「ハンド」のような感じ??
  

君がすべてだから 死ぬまで君を愛してるから

私の命を捧げよう

と言ってるけど、この手の主は、すでに死んでると思う。死んだ誰かの、見えない手。

じゃなければ、なんでこの赤ちゃんのお母さんは、知らないのか。いろいろ不穏な歌詞。
でも、自分が死んでいることに気づいていないのかもしれない。

私にはかつて子供がいて、命を救われた
その子の名前さえ聞かなかった
ただその子の不思議な目を見て
そして言った、「二度と、二度と、二度とこんなことないから」

のくだりは、モリッシーの好きなオスカー・ワイルドの『わがままな大男』を彷彿とさせる。わがままな大男の心を溶かした、不思議な子供。いつも大男の庭で遊んでいたその男の子が姿を消して大男が心配していると、その子は現れる。

しかし、両方の手のひらと両足には釘の跡があった。憤る大男に、その男の子は「これは愛の傷なのだ」と言う。すると大男は、不思議な畏怖の念に襲われ、その小さな子の前にひざまずく。男の子は庭で遊ばせてくれたお礼に、大男を自分の庭、パラダイスに誘う。翌日、近所の子どもたちが庭にくると、 大男は木の下に体を横たえて死んでいて、 その亡骸は白い花にすっかり覆われていた。

そんな人知を超えた、そして霊的な何かと交信しているような、不思議な歌。マーのギターも永遠に鳴り響くかのよう。
 
最後に
 
愛がある限り
彼女のために最善を尽くした
私は彼女のために最善を尽くした
お母さん、お母さん…
 
と続くが、ここで「手」の主体は、揺らさている対象と混ざってきている気がする。赤ちゃんの母のために揺らしていたのに、自分の母への愛、献身に意識が推移していっている。ミイラ取りがミイラではないが、ゆりかご揺らしが「お母さん、お母さん…」と母を乞う、ゆりかごゆらされ赤ちゃんに赤ちゃん返り??
 
と、想像をかき立てれる、なんとも、不思議な次元変容を感じさせる歌であり、曲である。これが20代ヤングあんちゃんバンドの1曲目とは恐ろしい。
 
 
ゆりかごを揺らす手

泣かないで
幽霊も外の嵐も
この聖なる神殿に侵入することはない
君の心に侵入することもない
私の命を捧げよう
もし化け物が、からかい、苦しめ、惑わせるために
君の神聖な心にいたずらをしかけてきたら

揺らめく影が迫ってくる
誰もいない部屋にピアノが鳴り響く
今夜は包丁に血がつくだろう
闇が晴れて部屋が明るくなったら
まだそばにいるから
君がすべてだから
死ぬまで君を愛してるから

ゆりかごを揺らす手が私のものである限り
君の瞳は満たされている

天井の影が揺れ動く
箪笥が猛獣のようにそびえ立つ時
君の美しい瞳に悲しみが映る
ああ、汚れのない、美しい瞳よ
私の命を捧げよう
落ち着きのない霊たちが
君の神聖な心にいたずらをする
私にはかつて子供がいて、命を救われた
その子の名前さえ聞かなかった
ただその子の不思議な目を見て
そして言った、「二度と、二度と、二度とこんなことないから」

そして、あまりにもすぐに私は戻ってきた
蛾が炎に吸い寄せられるように
私の骨は石の上でガタガタと鳴る
私は誰のものでもないただの乞食
罪のように古い言葉が
手袋のように私にフィットする
私はここにいて、ここに留まるだろう
一緒に横たわり、共に祈る
ゆりかごを揺らす手が私のものである限り
君の瞳は満たされている
ゆりかごを揺らす手が 私のものである限り
私のものである限り

私の膝に登りなさい、坊や
まだ3歳だけどね、坊や
君は私のもの
君のお母さんは知らないだけだ
ああ、君のお母さんは…
愛がある限りある限り
彼女のために最善を尽くした
愛がある限り
愛がある限り
愛がある限り
彼女のために最善を尽くした
私は彼女のために最善を尽くした
お母さん、お母さん…

The Hand That Rocks The Cradle

Please don't cry
For the ghost and the storm outside
Will not invade this sacred shrine
Nor infiltrate your mind
My life down I shall lie
If the bogey man should try
To play tricks on your sacred mind
To tease, torment, and tantalize

Wavering shadows loom
A piano plays in an empty room
There'll be blood on the cleaver tonight
And when darkness lifts and the room is bright
I'll still be by your side
For you are all that matters
And I'll love you till the day I die
There never need be longing in your eyes
As long as the hand that rocks the cradle is mine

Ceiling shadows shimmy by
And when the wardrobe towers like a beast of prey
There's sadness in your beautiful eyes
Oh, your untouched, unsoiled, wondrous eyes
My life down I shall lie
Should restless spirits try
To play tricks on your sacred mind
I once had a child, and it saved my life
And I never even asked his name
I just looked into his wondrous eyes
And said, "Never, never, never again"

And all too soon I did return
Just like a moth to a flame
So rattle my bones all over the stones
I'm only a beggar man whom nobody owns
Oh, see how words as old as sin
Fit me like a glove
I'm here and here I'll stay
Together we lie, together we pray
There never need be longing in your eyes
As long as the hand that rocks the cradle is mine
As long as the hand that rocks the cradle is mine, mine

Climb up on my knee, sonny boy
Although you're only three, sonny boy
Oh, you're mine
And your mother, she just never knew, oh, your mother
Long as there's love
As long as there's love
I did my best for her
I did my best for her
As long as there's love
As long as there's love
I did my best for her
I did my best for her
Mother, mother


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