Action is my middle name ~かいなってぃーのMorrisseyブログ

かいなってぃーのMorrissey・The Smithsに関するよしなしごと。

Reel Around The Fountain

2024-10-25 14:15:41 | ザ・スミス歌詞/The Smiths
Reel Around The Fountain
“The Smiths”(1984)収録
 
ファーストの1曲目。この歌がスミスとの始まり、という人も多いのではないか。私もそうだ。このたゆたうようなメロディー声明のようなヴォイスに一発ノックアウトされた。13歳の私は日本語訳された歌詞カードを読んでもよくわからなかった。なんとなくエロティックなものは感じた。
 
「君が子どもを捕まえて年を取らせた」「噴水の周りを回ってパティオで叩いてくれ」などの歌詞から英国のタブロイド紙がこの歌を児童虐待の曲だと主張したため、BBCラジオは放送を拒否した。モリッシーは1986年にローリング・ストーンに対してこの曲は「無邪気さの喪失、他人と肉体関係を持つまでは、魂には子どものようなものがある」ということを歌っていたのだと、イラ立ちながら説明している。
 
それではこの歌の歌詞は、「他者と肉体関係を持ち、子どもの純粋さを喪失すること」がテーマなのかというと、そうは思えない。なぜならこの主人公が冒頭で語ろうとする物語とは、まだ起きていない物語。
 
控え目でない言い方をすれば「まだヤッていない」のである。
 
噴水の周りで、何も起きていない。言ってみれば「他者と肉体関係を持ち、子どもの純粋さを喪失することを夢見る」ことがテーマだ。
 
時制に気をつけて歌詞をよく見ると、この相手に関して人が「君」を「ほぼ死人」「ちょろい奴」と噂してたり、「ベッドで天国に連れてって」と主人公に絶対言わなかったのは過去のこと。その時主人公はどうだったか。それはわからないが肉体的には受け入れていない。
 
しかし、今、自分は“I'll take it now”“I wouldn't say no”と受け容れる準備ができたと言っている。これは覚醒であり準備完了の歌。山口百恵でいえば「青い果実」。
 
あなたが望むなら私何をされてもいいわ
いけない娘だと噂されてもいい
恋した時に からだの隅で
別の私が 眼を覚ますの
 
である。今、僕は眼を覚ました。こんな短いポップソングの中で時制は、過去現在未来と混在している。肉体関係を持ち、子どもの純粋=ヴァージニティを奪われることも辞さないほど「価値」を認めた相手に自分を奪い大人にしてくれという、渇望を歌っている。
 
なぜ噴水?「15分」の逢瀬?も気になるが、これは、アンジャッシュ渡部の多目的トイレ密会のような「お手軽」「ヤリ目」を意味しているのではないだろう。モリッシーは当代一の夢見る夢男であり、夢想ネタとなる美的ストックの量、着想の着火点の量が常人の域を超えている。
 
噴水、束の間の逢瀬、肉体的官能、そのネタ元は、フェリーニの『甘い生活』のこのシーンではないか。モリッシーが愛読し作詞のネタ元としても愛用していた、フェミニストの観点から映画を探求する“Popcorn Venus; women, movies & the American dream”(マージョリー・ローゼン)の中には女優アニタ・エクバーグが“reeling around the fountain”という言及があるそうだ。
 
La dolce Vita: Trevi Fountain.
 
偶然とは思えないと、“Mozipedia”のサイモン・ゴダードも書いている。モリッシーのクリエイティビティの噴水の周りを、我々もいつまでもまわり続ける。
 
 
噴水の周りをまわろう

物語を語る時が来た
君が子どもを捕まえて
年を取らせた話

物語を語る時が来た
君があの子を奪って
年を取らせた話
君のせいだ、彼は大人になった

噴水の周りをまわって
パティオで僕を叩いてくれ
今なら、受け入れるから

君と15分間一緒?
うーん、絶対断らないよ
ああ、みんなは君はほぼ死人って言ってたけど
間違って過ぎだったよね

君と一緒の15分
絶対断ったりしないから
ああ、みんな君はちょろいって言ってたけど
半分、合ってたかな
ああ、奴らは、半分は正しかった

物語を語る時が来た
君が子どもを捕まえて
年を取らせた話

物語を語る時が来た
君があの子を奪って
年を取らせた話
君のせいだ、彼は大人になった

噴水のまわりを回って
パティオで僕を叩いてくれ
今なら、受け入れるから

君と15分間一緒?
ああ、絶対断れないよ
みんなは君の価値がわかんないけど
ああ、僕にはわかるんだ

君と一緒の15分
拒むことなんてできない
みんなは君の価値なんてわかんないんだ
ああ、僕にはわかる
ああ、わかるんだ、僕には
ああ...

昨日の夜、君の夢を見て
ベッドから2回落ちたんだ
君は僕を捕まえて
蝶の標本みたいにピンで留められる
でも「君のベッドで天国に連れてって」
なんてこと、絶対に言わなかったよね
砂糖は2つでお願い
君は最高
でも僕もそうなんだ

ああ、噴水で会ってよ
パティオで押し倒して突いてくれ
ゆっくり受け入れるから
ああ...

君と15分間一緒?
ああ、絶対断れないよ
みんなは君の価値がわかんないけど
ああ、僕にはわかるんだ

君と一緒の15分
拒むことなんてできない
みんなは君の価値なんてわかんないんだ
ああ、僕にはわかる
わかるんだ、僕には
ああ...わかるんだ、僕には

 

Reel Around The Fountain

It's time the tale were told
Of how you took a child
And you made him old

It's time the tale were told
Of how you took a child
And you made him old
You made him old

Reel around the fountain
Slap me on the patio
I'll take it now
Oh...

Fifteen minutes with you
Well, I wouldn't say no
Oh, people said that you were virtually dead
And they were so wrong

Fifteen minutes with you
Oh, well, I wouldn't say no
Oh, people said that you were easily led
And they were half-right
Oh, they...oh, they were half-right, oh

It's time the tale were told
Of how you took a child
And you made him old
It's time that the tale were told
Of how you took a child
And you made him old
You made him old

Oh, reel around the fountain
Slap me on the patio
I'll take it now
Ah...oh...

Fifteen minutes with you
Oh, I wouldn't say no
Oh, people see no worth in you
Oh, but I do.
Fifteen minutes with you
Oh, I wouldn't say no
Oh, people see no worth in you
I do.
Oh, I...oh, I do
Oh...

I dreamt about you last night
And I fell out of bed twice
You can pin and mount me like a butterfly
But "take me to the haven of your bed"
Was something that you never said
Two lumps, please
You're the bee's knees
But so am I

Oh, meet me at the fountain
Shove me on the patio
I'll take it slowly
Oh...

Fifteen minutes with you
Oh, I wouldn't say no
Oh, people see no worth in you
Oh, but I do.
Fifteen minutes with you
Oh, no, I wouldn't say no
Oh, people see no worth in you
I do.
Oh, I...I do
Oh, I do
Oh, I do
Oh, I do


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