Action is my middle name ~かいなってぃーのMorrisseyブログ

かいなってぃーのMorrissey・The Smithsに関するよしなしごと。

「モリッシーがガン」報道…というか元気にヨーロッパ・ツアースタート

2014-10-08 23:51:38 | Morrissey Live

モリッシーは一昨日、2014年10月6日のポルトガル・リスボン公演

より、ヨーロッパツアーをスタートさせました。


昨日より日本でも、「モリッシーが癌」報道がなされており、

色々なところで心配!!のコメントを見ます、聞きます。

元々スペインの新聞「エル・ムンド」のインタビュー(10月6日)

では「すでに4回、癌組織を除去する治療を受けた」とコメント

しています。


そういえば、アイルランド誌“Hot Press”のインタビューで

 

「君が飲んでる薬はすべて、何らかのダメージを体に与える。

ガン治療のために飲む薬でさえも、ガンが体を滅ぼす前に君を殺す」


とコメントしていて、はて?ガンに詳しいのかな…と訳しながら思ったことを

思い出しました。。。

 

しかし!!!!

 

癌組織があった…ということはまだまだこれからも、

癌の危険はぬぐいきれているわけではないけれど、

完全なる「癌なう」ではない…!?今は大丈夫…!!?

と信じるに足る、

元気なお姿で舞台に現れました。


この姿だけで、すべてを物語る…

彼こそが「希望」…


スペイン紙インタビューでは、こんな風にも語っていました。


"If I die, then I die. And if I don't, then I don't.

Right now I feel good.

I am aware that in some of my recent photos

I look somewhat unhealthy,

but that's what illness can do.

I'm not going to worry about that,

I'll rest when I'm dead." 


「死んだら死ぬ、死ななきゃ死なない(あたりまえ~あたりまえ~♪)。

今は、調子がいいなう。最近の写真のいくつかを見ると、なんだか

げっそりしてる。でも病気だったらそうなってあたりまえじゃね?

心配なんてしてない。死んだら安らかにお陀仏」


モリッシーはいろんなことに文句を言うし、「現状で満足」

なんてしない人です。でも、自分自身の人生については

すべてを受け容れている。仏教にあるような、いい意味での

「諦念」を感じられるコメントです。「あ~あ」とあきらめているの

ではなく、「いざとなったら何物にもしがみつかない覚悟」に

彼の強さの原点を見た気がします。

人間にありがちな陳腐な恐怖、「失うこと」など、怖くないのです。

 

ファンとは、その応援している彼、彼女か、もしくは自分か

どっちかが今すぐにでもぶっ倒れて死ぬかもしれない…という覚悟で、

一瞬一瞬思い残すことなく愛するしかないのだ、という自分の思いも

強くしました。それしかできない、というかそれが最大の愛であり、

「どんな変なやり方であろうと、彼に(私の場合はモリッシー)

trueでいる」ということだと思います。

 

All of the rumors
Keeping me grounded
I never said, I never said that they were
Completely unfounded
And all those lies
Written lies, twisted lies
Well, they weren't lies
They weren't lies, they weren't lies

I never said, I never said
I could have mentioned your name
I could have dragged you in
Guilt by implication by association
I've always been true to you
In my own strange way
I've always been true to you
In my own sick way
I'll always stay true to you

-Speedway

 

 

百の悪い噂、マスコミ報道、邪推は、一見にしかず!!

この勢いと…みなぎる表現欲、恰幅の良さを見てください。


The Queen Is Dead 


最後は、今回のツアーも見どころ、ツッコミどころたくさん~

という話題。

 

バックドロップはこんな感じ…


バンドメンバーのTシャツはこんな感じ…

「F〇CK HARVEST」とはなんて直接的で扇情的な…


モリッシーのファッションはこんな感じ…

「体調が悪いからゆる~いスエットパンツをはいて楽にしている

のでは!?」というファンからの意見も見ましたが、これは

「ファッション最先端」のおつもりなのでは…

(参考:この秋はスエットを「おとなかわいく」着るのがトレンド)

 

新譜からは

Kiss Me A Lot

Neal Cassady Drops Dead

One Of Our Own

I'm Not A Man

を初ライブ演奏しました!


個人的には大好きなこれが嬉しい~

One Of Our Own 


Such love shown I'd never known... 

 

次のライブは、10月9日、10日のスペイン公演です!

次も、また何度でも、元気な姿を見られますように!!


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“I'm Not A Man”日本語訳 およびモリッシーとセクシュアリティー

2014-10-02 00:12:58 | Morrissey Lyrics

モリッシーの新譜“World Peace Is None Of Your Business”

を輸入盤で買った方々から、「この歌の歌詞が知りたい、日本語訳して!」

というリクエストをいくつか受けました。

今日は最近「モリッシーとジェンダー」について考えることも多いので

ツイッターのフォロワーさん川本直さんのリクエストにお応えして

“I'm Not A Man”を訳します。

それにしてもこんなに直接的に「性」に関して、モリッシーが歌うとは…

そのあたりのことは、歌詞の後で書きたいと思います。

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 

I'm Not A Man
 
Don Juan
Picaresque
Wife beater vest
Cold hand
Ice man
Warring cave man
Well if this is what it takes to describe...
I'm not a man

Wheeler, dealer
Mover, shaker
Casanova
Beefaroni
A-ho but lonely
Well if this is what it takes to describe...
I'm not a man
I'm not a man
I'm something much bigger and better than
A man

Wise-ass
Smart-ass
Workaholic
Thick-skinned
Two-fisted hombre, olé
Well if these are terms you'd use to describe...

Oh, I'm shaking
Look at me I'm quaking
True grit
True blue
Kill crazy
So very manly of you
You are the soldier
Who won't get much older
You are the slow Joe
Who signed up to go

Wolf down
Wolf down
T-bone steak
Wolf down
Cancer of the prostate

Ways to sit
And of course
Ways to stand
I'm not a man
I'm not a man
No big fat locker room
Hockey jock
Laughing
I'm not a man
I'd never kill or eat an animal
And I never would destroy this planet I'm on
Well, what do you think I am?
A man?
 
ドン・ファン
悪党
ランニング男
テクニシャン
殺し屋
DV男
うーん、男というものの特徴を言うとしたら
こんな感じにならざる得ないから…
僕は男ではない
 
やり手で商売上手
カリスマ的なリーダー
カサノヴァ
ビファロニ食い(牛肉とマカロニのトマトソース和え缶詰)
なんたる寂しさ
うーん、男というものの特徴を言うとしたら
こんな感じにならざる得ないから…
僕は男ではない
僕は男ではない
僕はもっと大きくてもっといい何かだ
男なんかより
 
知ったかぶり
うぬぼれ屋
ワーカホリック
無神経
血気盛んな奴
オーレ!
うーん、男というものの特徴を言うのに
こんな言葉ばっか使いたくなるんなら…
 
ああ、僕は震えてるよ
見てみてよ、 ぶるぶるいってるだろ
ガチ勇気
ガチ頑固
イカれた奴らは殺っちまえ
なんて男らしいんだろう
老け知らずの軍人だ
参加したがりののろま男
 
はやく食べろ
はやく飲み込め
Tボーンステーキ
はやく平らげろ
前立腺がんに一直線
 
座り方
そしてもちろん立ち方も
僕は男ではない
僕は男ではない
でかいギトギト運動部部室にはいない
馬乗りになったり
馬鹿笑いしたりしない
僕は男ではない
けっして動物を殺したり食べたりしない
そして僕のいるこの地球を滅ぼしたりはしない
ねえ、僕をなんだと思う?
僕は男かな?
 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
 
この歌を聞いてすぐに思い出したのは、2003年2月、アメリカのティーン向け
 
「戦争とは、僕が思うに、男性のヘテロセクシャリティのもっとも負の側面を表して
いるものだよ。もし、もっとたくさんの男性がホモセクシャルだったとしたら、
戦争は起こらないだろう。なぜなら、ホモセクシャルの男性は、他の男性を決して
殺そうとはしないから。ヘテロセクシャルの男性が他の男性を殺すことを好んでいる
のに対してね。彼らはそれで勲章すらもらうんだから。女性は、他の女性を殺すため
に戦争に行ったりしない。戦争や軍隊や核兵器といったものは、本質的にヘテロセク
シャルの趣味みたいなものなんだよ」
 
私はこのインタビューを読んだ時驚きました。
 
90年代、モリッシーは「マチズモ」への憧憬が強いと思っていた時があったからです。
彼のファッションや、憧れている男性性イメージから、「人は自分が持っていなかった
ものに憧れるんだな」と勝手に思っていたのです。
 
恥ずかしながら昔は、モリッシーはホモセクシャルなのだと思いたがっていた
「元祖腐女子」でもありましたし、ホモセクシャルの中にも(男女問わず)マチズモの
求道者はたくさんいることからこんがらがっていました。
 
でもわかってきました。「なんとかセクシャル」でおさまる人ではないということが。
 
2013年10月には、自伝におけるジェイク・ウォルターズとの2年間の交際に関する
「モリッシー=ホモセクシャル」であるという世間の人々の短絡的解釈について
True-to-youに次のようなコメントを掲載しました。
 
「残念ながら、私はホモセクシュアルではない。厳密に言うと、ヒューマ
セクシュアルということになる。僕はヒューマン(人間)に惹かれる。
しかしそれは、滅多にあることではないが」
 
もっと言えば2000年代になってから私は色々なインタビューからの断片的理解から
モリッシーを恋愛感情を持たない「アセクシャル」(無性愛者)かと思っていました。
それにしてはなんであんな歌作れるんだろ?歌えるんだろ?という疑問は
ありました。
 
それが、「ヒューマセクシャル」というモリッシーの造語により色々クリアに
なり、腑に落ちました。モリッシーはよく人間嫌いと言われており、嫌いな人も
たくさんいます。でも、ステージを目にし、歌を耳にしたファンは彼の「愛」を
知っています。彼には愛しかない。そしてその対象は、人間。
 
モリッシーを知らない人が冗談まじりに
「オカマのおじさんが駄々をこねて歌っている」と言っているのを聞いた
ことがありますが、まったく違う。生物学的な男?女?オカマ?おじさん?
性差というものが、まったく関係ないステージで歌っている。
 
改めて“I'm Not A Man”を聞きながら、
そもそもジェンダーとは、「性差」という項目でとらえるのではなく、
そのような区分を作り上げる力学であるという見方である…という文章
をどこかで読んだのを思い出しました。「男」というこの世の中のマチズモに
裏打ちされた陳腐な区分に、モリッシーは耐えられないのでしょう。
 
今回、この“I'm Not A Man”の日本語訳をリクエストしてくださった
川本直さんの著作『男の娘たち』をちょうど昨日読んだのですがこの歌
にオーバーラップしながら「なるほど」と思うインタビュー引用がけっこう
ありました。
 
 
「性別についてはもう考えていない~最後に辿り着いたのは、何かを
決めつけることじゃないということ。(かつて自認していた)
MtX(Male to X:男性から性別を越境するものの
性自認を男性や女性に規定しない人のこと)というカテゴリー自体
を捨てた。全部そういうものはイデオロギーだと思う。音楽のジャンル
みたいなものだよ」(モカさん)
 
「(いつも女装しており)男と両立することはできない。女装していない時も
女らしくすることを心がけているの。だから、自分は一般的には認知され
ていない新しい性だと思う」(芹那さん)
 
…他にもこの本について色々書きたいことはあるのですが…長く
なり過ぎw
 
一番に驚いたのは、「男の娘たち」の「性」の選び方。確信的な自己
プロデュース力。「なれなかったから女の子になりたい」「自分に欠落した
性を埋めたい」という悲壮感や飢餓感(のみ)でやっていることでは
ない(もちろん苦労もあると思いますが!!)
 
…そこにモリッシーも嫌う「マチズモ一辺倒主義世界」への復讐も
見えて「ざまあ」感もあり、本当に読んでいて気持ちよかったです。
 
キャンディ・ダーリン、ミセス・シャフルウィック・・・
モリッシーはジェンダーを超え、自分で自分の道を見つけ誰の目も
気にせず突き進んでいる
人が好きですね。
 
自伝では、ニューヨーク・ドールズのジェリー・ノーランは、
自分が最初に恋に落ちた「女性」であると述べていました…
 
終わらな過ぎるので、ここでモリッシーがライブ前にかける
トランスジェンダー・パフォーマー、リプシンカを貼って終わります。
モリッシーのライブ前にかかる映像ではちょうどこう
言っていました。
 

あたし!あたし!
学もないし才能もない
でも見て!スターよ!
見て!この生き方を見て!
だって初めてなの
これがあたしの人生!
大好き もう全部好き!
あんたに奪わせやしない
あたしでいるのが好きなの
あたしがいやなら今すぐ出てって
出てって!出てって!出てって!出てって!

Lypsinka Has A Glamour Fit

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