前回の続きです。
もうライブから12 日経ちました。先週のモリッシーナイトからも1週間。
ライブでもモリッシーナイトでも、想像以上に何人もから「ブログ読んでます」「絶対やめないで」「50過ぎの男が、毎晩読んでオイオイ泣いてます」「過去記事全部読みました」「韓国人なんで、英語に翻訳して読んでます」と言ってもらって嬉しかったけど、ほんとごめんなさい、ブログは人のためならず、我が為に書いている。終わっても終わらないでザワザワしている気持ちを供養するために書いている。でも決して成仏しないエモーションだから、供養じゃないかも…?
だからいろいろ、純情愛情過剰に異常です!うちの母まで、「モリッシーのブログがGoogleの検索の下に出てくるから読んだ。よく見たらあんたのだった」と言ってきて気まずいw でも前回の2016年の来日時のブログを読んだ人から「1週間以上経っても、1カ月経っても来日ひきずったブログ書いてたよね」と言われたので、なんだフツーじゃんと安心する(フツーではない)。2016年のこういうのとか→モリッシー 来日 いろんな人の、いろんな好きな言葉たち
後半のセットリストに沿って、今回で(一応)ライブ曲解説は終わらせます!…と思ってたのに今書いたらすでに長くて終わらないこと判明。
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13. Speedway
私は、本当にこの曲が好きで好きで好きで。前奏が始まっただけでどうしようかと思いました。絶対やるってわかってたのに。絶対やっても、予想をはるかにうわまわることもわかっていました。
マイクコードをバンバン振りまわし、全身で歌う。ライブでも何回も観ましたが、年々強さマシマシになっている。モリッシーナイトで1994年のアルバム“Vauxhall and I”収録の原曲をかけましたが、リマスター盤で音は良くても、どうにもこうにも物足りない。やっぱり「今」のSpeedwayが段違いにかっこいい。
(Photo by ツネグラム・サム)
2012年、
モリッシーの病気
と題したブログで、この曲の歌詞のことを書きました。当時モリッシー来日を控え、ROでモリッシーの一問一答インタビューが掲載されていて、失礼なことにタイトルは
「モリッシー、あなたが罹っている病気とは何ですか?」
(今なら許されなさそう・・・)
「たとえば、「スティル・イル」で歌われる、あなたをさいなんでいる「病気」と、「スピードウェイ」で歌われるあなたが自分自身で受け止め、これからも
引き受けていこうと決意している「病気」は、同じ類のものなのでしょうか」
という質問に対してモリッシーは
「それは違うんだ。「スピードウェイ」で言っている病気とは、私がメディアでいつも強いられてきた壊れたポジションについて触れているわけで……どこにも居場所がなくて、ありきたりではないと思われた人はそれゆえに狂っていると判断されてしまうことがどういうものなのかということなんだ」
と言っています。それは昨今のモリッシーがインタビューで
「業界は私のような人間を特に好まないので、よくそれが不利に働くこともよくある。音楽誌は私のような人間を特に好きではない。私が人々の中にいる者だと知っているからだ。そして私が金が注入されただけの人間ではないことを知っているからだ。私には何も注入されていないと請け負えるが。だから、私のような人間をどうしたらいいのかわからないし、おかしいと思っている。考えているのは歌のことばかりだ。一日中、一晩中、声、歌、それだけを考えている。私は捕われている、身を捧げている、どう言ってくれても構わない。でもこれが、私の人生だ」
と言っていることにも通じている。年をとったから丸くなったとか、昔の青い歌はこっぱずかしくて歌えないとかなくて、より確信マシマシなのでこの歌のリアル感がヤバ過ぎるのでしょう。
バックドロップは作家で過激フェミニストのジャーメイン・グリア。
2018年に発売したBack On The Chain GangのEPのジャケットの写真の彼女です。
12月4日、日本直後のメルボルンのライブでモリッシーは観客に「メルボルン生まれで一番重要な女性は誰か」聞いています。観客が「カイリー!」と答えると「ジャーメイン・グリア」と答えていました。それだけ尊敬しているのでしょう。
Morrissey live in Melbourne,Moz asks who is the most important Woman born and raised in Melbourne?
メディアもふたりの類似性、親和性はよくわかっていて(笑)、ガーディアンは「これジャーメイン・グリアが言ったかモリッシーが言ったか、どっちどっちクイズ」なんてやってます。ふたりのことを「家族行事で会っておしゃべりに付き合わされたくない、気まずい親戚的存在」とかひどい(笑)。むしろ法事で会いたい!!
「誰かが人を人種差別主義者と呼ぶとき、彼らが言っていることは次のようなことだ:『うーん、こいつの言うことは実際に一理あって、私はそれにどう答えていいかわからない。だから、私があなたを偏屈扱いしてごまかしておけば、こいつの言うことがどれほど啓発的であったかなかったことにできるだろう』」
とか、どっちが言ってもおかしくないとガーディアンにまで思われていることを知ると(正解はモリッシー)、モリッシーがこの自分のテーマソング、決意表明とも言える“Speedway”にジャーメイン・グリアの写真を使う、敬意を表している意味がわかります。
ライブで、いつもは「フォエバッ!!」と歌うブレイクが、もう聴き取り不能な雄たけび、暗暗転後、バンドが一列に並び、親分と子分、荒野の決戦みたい。私は2度目の握手を死闘(自分との闘い:五十肩腕伸ばし)の上つかみ、もう一生「True to you」不可避な自分を呪…ではなく、寿いだのでした。
あと5曲あるのにいったん出かける&長すぎるから続く・・・