Action is my middle name ~かいなってぃーのMorrisseyブログ

かいなってぃーのMorrissey・The Smithsに関するよしなしごと。

『モリッシー自伝』を読むのがみるみる楽になる!?方法 Part 1

2021-09-02 16:33:52 | 『モリッシー自伝』

ここのところ立て続けに『モリッシー自伝』に関して、

「最初の子ども時代がきつくて。読み切れてないよ」

とか

「あの裁判が長くて!!」

という感想をいただきました。決まって、「イヤなところは抜かして読んでください。それでも意味わかりますよ」と答えています。というか、「イヤなところ」を抜かしたら読むところがないかもしれない・・・そしたら意味なんてわからない!?

いや、いいところもあるんです。それなのに、マンチェスターと裁判のせいでもったいないなあ、と思いました。学校と糞まず給食とマイク・ジョイスのせいだ!!…とイラッとしましたが、実は最初の子ども時代も、裁判も、実はボリュームとしては多くないんですよ。気が重いテーマなので延々と続くように思えるだけで…。

そこで今回は、1年前発刊時に、京カルチャーカルチャーさん主催のオンラインイベントでお話しさせていただいた時に使った資料で、「『モリッシー自伝』のつらさを少しでも軽くする方法」を紹介したいと思います(このパワポ資料、思いっきりデータをなくしており、先ほどカルカル店長横山さんに探して送ってもらいました。神様!!)

 

1)モリッシー自伝の内容構成比~「スミス裁判」は読み飛ばす

多すぎる!!(体感半分くらい)と思ったマンチェスター・学校時代の記述は約2割。まあそれでも、ファンが期待したザ・スミス時代の話より割合は多いのですがw 半分近くはモリッシーのソロになってからの話です。そのうち、スミス裁判はたったの9パーセント。ということは、あのネバーエンディング地獄の黙示録パートは全体の4パーセント弱もないんですよ。訳した私も信じられないです。人間の体内時計は、心地よいものの経過は速く、イヤなものの経過は激遅く感じるのでしょう。

ページにして、298ページから339ページなので、41ページです。ほぼ、マイク・ジョイスと裁判官、弁護士への恨み節なので、ここを丸ごと読み飛ばす(というと聞こえが悪いから後回し)ことをおすすめします。

 

上記、構成をページ建てにするとこんな感じです。216ページまでがスミス時代。217ページ以降がソロ期です。マンチェスター黙示録96ページまでも読み飛ばし(もしくは心がおだやかで余裕ありまくってヒマで死にそうな時に後回しし)てもいいかもしれません。

 

2 )「他はどうでもいい!スミスのとこ読みたい!」という人はここを読む

141ページから216ページまでが、スミスに関する記述です。ジョニーという素晴らしいギタリストに出会い、きらきらしています。自己肯定感も爆上がり。音楽の力を感じます。

  • 「私はジョニーに、バンド名はザ・スミスにしようと提案して、彼は了解してくれた~ザ・スミスという名前は、お決まりの連想ができなくて良いと思った。しかしそれでいて、どんなスタイルの音楽表現にもふさわしい感じがした。(P142)
  • 「スミスのサウンドはロケットのようで、急速に飛び上がるような進歩を遂げた。爆弾が破裂するようなドラム、激情的なギターコード、好戦的なベースライン。そして何よりも私の歌は、鷹のように自由に、望みのままにキャンパスに絵を描いた~『ハンド・イン・グローブ』と『スティル・イル』という曲は、4人の人生をひとつにつなげて固めた。(P143)
  • 「すべての曲は激しく強烈で、焦りを伴う何とも言えない刺激をもたらしてきた。ついに、ここに、すべてが揃った~私は『ミゼラブル・ライ』を、身体全部を使って力強く歌った。もう二度と自分の身体を、育ち過ぎた忘れな草のようには思わなかった。3つの楽器の音の基盤は、想像できる限り頑丈な特別奇襲隊のようだった。その頑丈さを伴った自分を、ライオンのように強く感じた(P143-144)

 

このあたり読むと、筆力もすごいし、希望にみなぎっています。それまでの「窒息死寸前マンチェスター記」は、このキラキラをさらに輝かせるための演出だったのか!?と思えるほどの落差で、もしかしたら必要だった・・・?と思えるほどw(なので、私はこの落差萌えを楽しみました) 

でも、スミスは終わるんです。あっ、という間に、あっけなく。それ以降、急に「イヤ」なこと言い出します。「別れても好きな人」なんかじゃない、ロス・インディオス&シルビアなんて甘い!!いきなりスミスを、「別れたから干上がった人」にしてしまいます。モリッシーにとってスミスはなんだったのか、モリッシーの自伝での言及をまとめたものを再掲します。

 

3)「結局おもしろいところはどこ!?そこだけ読みたい!」という人におすすめ(前半)

●最初の方、39ページから43ページ、どん底の子ども時代に「音楽」という救いと希望に出会ったあたりの記述は暗いマンチェスターや失業生活の中でも楽しいです!モリッシーという稀有な人物の人格形成にどれだけ音楽というものが重要だったかがよくわかります。同じ時代、同じマンチェスターに育った子どもでも、ここまで音楽に深入りする子もそんなにいないと思うのですが、なんでなんでしょうね?? 音楽がなければ本当に彼の魂は、暗いマンチェスターに土葬されていたと思います。

モリッシーがすごいのは、自分が「こっち側」として音楽の受け手の一般市民として生きるのではなく、「あっち側」に歌手として行こうとしていたことですね。モリッシーが今も歌ってるのは、「学校の仲間とバンドやって~たまたまデビューして~」じゃないんです。幼い頃から自分の宿命のように「歌手」の道を選んでいたのがわかります。以下、印象的な部分の引用です。

  • 「1965年以降、レコードのとりこになった。歌はすべてを変えてしまった」
  • 「突然、人生の他のすべてのものが疑問となった」
  • 「私も歌おうと思った。そうでなければ死んでしまう」
  • 「歌うことができたら自由になれる。どんな法律も私を止めることはできなかった」

 

●ティーンエイジャーとなり、61ページから112ページまでは、ライブ三昧です。その体験を時系列にし、読めるページをまとめたものです。

…217ページ以降のソロ期にも、胸アツな読みどころはあるのですが、長くなったのでパート2に続くことにします!

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