■100個から10個へ
今夜の『神はサイコロを振らない』。
若い頃は100個したいことがあったけど、例えば今はそれが10個かな」とヤッチ(小林聡美)。
「10個??」とあきれるアッチ(ともさかりえ)に、ヤッチは言うんだよね、ちょっと大人な表情で。「10個しかできないかな、と思うようになったのは、自分がどういう人間かがわかったから。だから100個が10個になっても、私は悪いことだとは思わない」って。
それはとても深い言葉ではあるし、つまり賢く大人になるっていうのは、そういうことなのかもしれない。いつまでも100個の可能性を追っていて、夢ばかりで何も現実にできないままに生きている人もいるかもしれないけど、どこかでみんなが少しずつあきらめはじめるのかもしれないし。
もっと老いていったら、そうやってあきらめたり捨てたりすることに抵抗もなくなるのかもしれないけど、ヤッチはまだ30代だし、そういう自分を半分受け入れ、半分では悲しいと思っているんだろう。
残された日々を生きる人を前にして、少しずつ変わっていく人たちがいる。ヤッチの弟(武田真治)は、真剣な目で挫折して捨てたはずのピアノを見つめていた。人とのかかわりなんてもったことのなさそうな教授(大杉蓮)がヤッチの存在にパニックになったりする。
明日がないとしたら、人は今日をどんなふうに生きるのか。それって、昔からいろいろ言われているけど、私の永久課題だな。
今日の一言としては、冒頭のヤッチの言葉と、「テツ(山本太郎)はいつも直球勝負で、ヤッチは変化球だから」というアッチの言葉。あの二人をこれ以上的確な表現で形容することは不可能だろうね。
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