☆映画の旅の途中☆

色んな映画をどんどん観る旅

『反撥』(1965)

2014年07月08日 | 西洋/中東/アジア/他(クラシック)
『反撥』(1965)

監督:ロマン・ポランスキー
カトリーヌ・ドヌーヴ
イヴォンヌ・フルノー

【作品概要】
ロンドンのアパートで姉ヘレンと暮らすキャロルは、姉が妻子持ちの男マイケルを毎晩のように部屋に泊めることに強い嫌悪感を抱いていた。神経質で潔癖性のキャロルは、男性恐怖症になると同時に男に犯される夢を見るようになり、徐々に精神的に壊れて行く。
第15回ベルリン国際映画祭において銀熊賞 (審査員グランプリ)を受賞した。(Wikipediaより)

【感想レビュー】
不気味っ!!!!
怖い…
でも、素晴らしく面白い作品でした!
(ネタバレに気を付けて書きます)

主人公キャロルを演じるドヌーヴの、冒頭の眼のアップからして、尋常ではありません

キャロルの精神は徐々に破壊してゆき、幻覚を見始めるのですが
それが幻覚なのか現実なのか、判別出来ない瞬間があります。
でもそのうち、頼む、もうむしろ幻覚であってくれ…と願いながらラストを待つことに…。しかしながら、最後の最後まで、どちらに転ぶのか分からないので、その緊張感たりや半端ないのです。
キャロルの心象風景は痛く、抑圧された強い怒りと憎しみを感じさせます。ジリジリとしながら観ました。

『ローズマリーの赤ちゃん』を、昨年の特集上映で観た時も衝撃的で、ラストのラストまで、どちらに転ぶのか分からない面白さがありましたデジタルリマスターだったので、鮮やかなカラーがとても印象に残っています。

『反撥』は、モノクロ映像だけれど、ロンドンの街並みやそこを歩くキャロルがスタイリッシュに映し出されます。音楽も格好良いです

それにしても、真に怖いというのはこういう事を言うのだなぁと思いました。
キャロルの部屋の窓からは、修道院の庭で群れる修道女達の姿が見え、楽しげな声が聴こえてきます。
本来、自由なはずのキャロルが心身ともに解放される事のない様子と実にに対照的なのです。

人の心に巣食う魔物。
それを人から無理矢理に受けてしまったとしたら…。
そして、それを抱えながら生きていかねばならなかったら…。

ホラー映画やサイコ・スリラーを描く事で、人間を描く事ができるというのが、何となく解ってきたように思いました…