☆映画の旅の途中☆

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『そこのみにて光輝く』(2014)

2015年06月14日 | 邦画(1990年以降)
『そこのみにて光輝く』(2014)

監督:呉美保
出演者:綾野剛
池脇千鶴
菅田将暉
高橋和也
火野正平
伊佐山ひろ子
田村泰二郎

【作品概要】
『海炭市叙景』の原作者、佐藤泰志の三島由紀夫賞候補となった小説を基に、北海道函館を舞台に生きる場所のない男女の出会いを描くラブストーリー。仕事を失った男がバラックに住む女と出会い、家族のために必死な彼女をいちずに愛し続ける姿を描く。(Yahoo!映画より)

【感想レビュー】
やっと観た感が強いですが…。
先日WOWOWで観ました。

確かに評判通り名作でした

隅から隅まで。

特に池脇千鶴さんが…‼もう、もう本当に素晴らしかったです…‼

日本の現代社会における暗部がテーマの作品。

こういうテーマを取扱った作品は、特に…その生き方みたいなのが肉体に表れていなきゃリアリティがないと思うのだけど、この作品はそこが絶妙でした。
名の通った俳優さんばかりなのに、凄い

歯…がガタガタだったり…。
栄養が偏った、そして中性脂肪過多の食生活で身体のラインがだらしなかったり…。

そういうのが、ぜーーーーんぶ、池脇さんの身体のぷよぷよ感にリアリティが宿っていて、本当に素晴らしいのです…‼

菅田将暉さんも歯が汚れているメイクしてましたしねぇ、凄い


綾野剛さん演じる達夫と池脇千鶴さん演じる千夏が、海で立ち泳ぎして抱き合いながらキスするシーンで、千夏が水を脚で掻くところが映るのだけど、そこは本当にたまらない。
千夏がほんのひととき、どんなしがらみからも解放されて、自分の背負っている痛みを爆発させるシーンだから…。
どんな痛みも引き受けてきた千夏が、能動的になる、その心情があのシーンに表れていて、グッときました。

しかしこの映画、役柄のうんぬんもあるけど、池脇千鶴さんと菅田将暉さんが素晴らしかったです

伏線の張り方も丁寧で、映画がスーッと流れていく感じ。

達夫と千夏の海辺での構図も、あるシーンは千夏が後ろで、あるシーンは達夫が後ろにいて。お互いに、愛…ではないのかもしれないけど、愛…なのかもしれないけど、惹きつけ合うものがある…というのが表れていて良かった。。

若い世代に貧困が連鎖していくという現代日本における暗部を垣間見た…。