あれもこれも

灰原中心二次創作サイトの創作人によるあれこれ日記。何かありましたら「拍手」からどうぞ。お礼は名探偵コナンの小ネタ三種類。

思春期ですから

2017-01-29 00:28:25 | コナン小話
成長した探偵団の話を書いてると、彼らの関係性はどうなっていくのかな、と色々妄想が膨らみます。大人になっていく探偵団にそのうちコナンはからかわれるようになるんでしょうね。


というわけで以下はそんな成長探偵団小話です。


ある日の昼休み。早々に昼食を食べ終え、窓際の席で日光を浴びながら微睡んでいたコナンは、傍に気配を感じて身を起こした。
立っていたのは灰原哀。先ほど堪能した弁当を作ってくれた愛しい恋人でもある。いつも昼休みを歩美と部室で過ごす哀が、教室にいるのは珍しいことである。コナンが視線で促すと
「工藤くん。放課後、時間ある?」
と、こちらはいつも通りの単刀直入な問いが帰ってきた。しかし残念ながら昨日、深夜になってようやく解決した事件について捜査一課から呼ばれていた。
「悪りぃ、警視庁行かなきゃいけねーんだ」
しかし滅多に無い哀からの誘いであり、未練からつい聞かずもがなの疑問を口にしてしまった。
「何かあったのか?」
「博士から映画のチケットをもらったのよ。たまには一緒にどうかと思ったのだけど」
ここしばらく事件にかかりきりであったことから答えを予想をしていたのか、哀は「気にしないで」と微笑えんだ。そして少し考えるような素振りをして
「いいわ、円谷君を誘うから」
と手をふって去ろうとする哀を押しとどめた。
「…ちょっと待て。誰を誘うって?」
「円谷くんだけど?」
怪訝な顔の哀にさらに、苛立った声で問いを重ねた。
「なんで歩美じゃないんだ?」
「サスペンスホラーなのよ。彼女、怖い話は苦手でしょ………」
「ほ、ホラーだって!?だったらなおさら光彦はダメだ」
哀の答えに思わず声をあげたのは、条件反射といっても過言ではなかった。
「どうして?」
「ば、バーロー!だからホラーだぞ!?」
「何がダメなの?」
『中学生男子が女子とホラー映画に行く理由なんて一つしかないではないか!』そんなコナンの内心には全く気づかずキョトンとした哀の表情に、しどろもどろに答えを返すしかない。
「何ってオメー、ホラー映画って言ったら、なあ?」
「はあ?何言ってるの?」
要領を得ないコナンの様子に苛立ちを見せ始める哀に
(オメーも精神年齢大人の女なんだから気づけよ!)
と半ば八つ当たり気味な心の叫びももちろん哀には届かない。八方ふさがりにため息をついたところで、
「僕はホラー映画も好きなので喜んでエスコートさせていただきますよ、灰原さん」
と涼しげな声がかけられた。
「み、光彦?聞いてたのか?」
少し残ったソバカスが愛敬を添えた聡明な顔立ちが悪戯っぽく微笑んでいた。
「ええ、あれだけ僕の名前を呼ばれたら気になりますよ。……コナン君がどんな不適切なことを考えているかは知りませんが、僕は君のような破廉恥な思考は持ち合わせてませんよ」
反射的に光彦に言い返そうとしたコナンは傍から発せられる不穏なオーラに顔を向けると、哀の視線に射抜かれてギシリと固まる。
「『不適切な』って………江戸川くん、あなた………」
「い、いや、違うんだ!オレはそんなこと考えてねー………」
「どうだか。行きましょう、円谷くん」
「はい」
ブリザードも生暖かいほどの冷たい声を残して光彦を伴って教室を去っていく哀の後ろで目配せをする光彦に
「ちくしょー光彦、覚えてろよ………」
とコナンは三流の犯人の様に呟くとがっくりと席についたのだった。
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