いろいろと思うところもあったベルツリー編ですが、何とか行間を読むことで納得したい自分がいる今日この頃です。
というわけで志保さん復活祭り第二章は志保さん復活補完祭りの様相を呈しつつまだ続けたいと思います。
それでは以下はベルツリー号のラストの怪盗キッドサイドです。
824話:sideキッド
「そう言えばホームで列車を待っている時から妙な気配が溢れていると思ったぜ」
キッドはそうひとりごちると、少し癖のある赤みがかった茶髪のカツラを装着した。
いつものちびっこ名探偵が乗ってくるところまでは想定の内だったものの、男のふりをしているのにどう見たって女の骨格をしてる帽子を目深に被り顔に火傷の跡を張り付けた客や、最近毛利探偵事務所を探りまわっている不穏な気配を隠しきれていない色黒男に嫌な予感はしていたが、時折抑えきれない押し殺した殺気が溢れる見るからに怪しい眼鏡の男と一緒に昔一度だけ会ったことのある名探偵の母親いるのを発見した時は思わず天を仰ぎ見たものだった。
「ヤバいことになってるとは思ってたけど、しかしここまで追い込まれてたとはな」
不穏な空気の真ん中にいた大きなマスクを付けた茶髪の少女の姿を思い描く。工藤新一を小さくした秘薬を作り、自らも同じ薬で子供の姿になった天才化学者に対する興味は強まるばかりだ。たった一人の姉を組織の手によって殺されながら、大切なものを守ろうとする姿に勝手な親近感を越える何かを持っていることを最近はようやく自覚しつつある。それが何かはまだはっきりとは分からないが、しかし気が付けばすでに視線が彼女を追いかけることを止めることはできなくなっていた。
ホームで少年探偵団の少女に見せる優しげな笑顔、先ほど殺人現場から去る不安に押しつぶされそうな中でなお心配かけないと気丈に振る舞う姿、そして何かを決心したような瞳、まだまだ彼女について知らないことがたくさんあり過ぎて好奇心が疼くばかりで…。
「麒麟の角の時にスタンガンで気絶させたのは名探偵より彼女に興味があったからって言ったらアイツ怒るだろうなあ」
化学者独特の名探偵とは違う思考アプローチで確実に自分の犯行のアプローチを追いかけてきた時の事を思い出すだけで、今でもワクワク感が湧き上がる。彼女への関心が興味の域を超えたのはきっとそう…
「あの時からだな…」
懐かしく思い出すのはあるカラクリ屋敷の屋根の上での邂逅ともいえる出会いだった。子供たちを守った自分の行動に面白うに一言
『ずいぶん、ハートフルな泥棒さんね』
そう言った深緑の瞳は今まで手にしたどのビッグジュエルよりも美しく感じた。
「だから、今回のこれはオメーじゃなくて彼女のためのだ」
だからと言って彼がかってに「借り」だと思ってくれるなら否定をする義理はもちろんない、そうニヤッと笑ってキッドは手の中のスマフォを操作して「灰原」の番号を呼び出した。
「……はい」
数度、コールを繰り返したのち緊張で震える声が聞こえた。小さく笑みを浮かべ、キッドは静かに切り出した。
「こんにちは、お嬢さん。ハートフルな泥棒です♪」
というわけで志保さん復活祭り第二章は志保さん復活補完祭りの様相を呈しつつまだ続けたいと思います。
それでは以下はベルツリー号のラストの怪盗キッドサイドです。
824話:sideキッド
「そう言えばホームで列車を待っている時から妙な気配が溢れていると思ったぜ」
キッドはそうひとりごちると、少し癖のある赤みがかった茶髪のカツラを装着した。
いつものちびっこ名探偵が乗ってくるところまでは想定の内だったものの、男のふりをしているのにどう見たって女の骨格をしてる帽子を目深に被り顔に火傷の跡を張り付けた客や、最近毛利探偵事務所を探りまわっている不穏な気配を隠しきれていない色黒男に嫌な予感はしていたが、時折抑えきれない押し殺した殺気が溢れる見るからに怪しい眼鏡の男と一緒に昔一度だけ会ったことのある名探偵の母親いるのを発見した時は思わず天を仰ぎ見たものだった。
「ヤバいことになってるとは思ってたけど、しかしここまで追い込まれてたとはな」
不穏な空気の真ん中にいた大きなマスクを付けた茶髪の少女の姿を思い描く。工藤新一を小さくした秘薬を作り、自らも同じ薬で子供の姿になった天才化学者に対する興味は強まるばかりだ。たった一人の姉を組織の手によって殺されながら、大切なものを守ろうとする姿に勝手な親近感を越える何かを持っていることを最近はようやく自覚しつつある。それが何かはまだはっきりとは分からないが、しかし気が付けばすでに視線が彼女を追いかけることを止めることはできなくなっていた。
ホームで少年探偵団の少女に見せる優しげな笑顔、先ほど殺人現場から去る不安に押しつぶされそうな中でなお心配かけないと気丈に振る舞う姿、そして何かを決心したような瞳、まだまだ彼女について知らないことがたくさんあり過ぎて好奇心が疼くばかりで…。
「麒麟の角の時にスタンガンで気絶させたのは名探偵より彼女に興味があったからって言ったらアイツ怒るだろうなあ」
化学者独特の名探偵とは違う思考アプローチで確実に自分の犯行のアプローチを追いかけてきた時の事を思い出すだけで、今でもワクワク感が湧き上がる。彼女への関心が興味の域を超えたのはきっとそう…
「あの時からだな…」
懐かしく思い出すのはあるカラクリ屋敷の屋根の上での邂逅ともいえる出会いだった。子供たちを守った自分の行動に面白うに一言
『ずいぶん、ハートフルな泥棒さんね』
そう言った深緑の瞳は今まで手にしたどのビッグジュエルよりも美しく感じた。
「だから、今回のこれはオメーじゃなくて彼女のためのだ」
だからと言って彼がかってに「借り」だと思ってくれるなら否定をする義理はもちろんない、そうニヤッと笑ってキッドは手の中のスマフォを操作して「灰原」の番号を呼び出した。
「……はい」
数度、コールを繰り返したのち緊張で震える声が聞こえた。小さく笑みを浮かべ、キッドは静かに切り出した。
「こんにちは、お嬢さん。ハートフルな泥棒です♪」
うまいなぁ!!納得しちゃったよ。
ラストもステキです。
キッドが実はあの時の事を深く覚えてるって白状してるみたい。
キ哀っていうの?
キ哀だっキ哀だっキ哀だーっって叫んでるおじさんもいるもんね~(笑)
私は拍手小ネタくらいしか書いたことはありませんが、哀ちゃんとキッドはいろんな二次サイトさんが書かれてますが、相性が良いというか素晴らしい作品が多いです。
いちおうキッドの時はキ哀、快斗との時は快哀と区別されてます。