長らくお待たせしました幼馴染考察の④です。ラストはもちろん新一と蘭についてです。決して新蘭推奨ではないのでご注意を。
<新一と蘭の場合>
この二人の場合は一巻の第一話から完全に相手に対する恋愛感情も自覚済みかつ相手から自分への好意も知っているという完全無欠な状態です(ある意味これで「付き合ってない」と主張するのは、交際即結婚へと外堀が埋められた二十代後半以降の男女にしか許されないと思います)。
さて、連載開始時の新一の状態は現在の和葉に近かったように思います。そして幼馴染であるが故に踏み込めない一歩の前で戸惑っていたところ、思いがけなく一巻で蘭からの告白を聞いて一気に気持ちが燃え上がったというのが、現在の新一の心理状態だと推測できます。ですからこちらも何度か揺らぎを見せながらも「会いたい、待っていて欲しい」という態度を崩すことが出来ないのだろうと思います。
でも実はこの二人、蘭が新一への恋愛感情を自覚したきっかけは「ゴールデンアップル事件」の時にはっきりと描かれているのに対して、新一が蘭への気持ちを自覚した時も理由もまだ描かれていません。
ゴールデンアップル事件まで蘭にとって新一は兄弟というポジションに限りなく近い「幼馴染」にすぎませんでした。ところが変装したベル姐さんを助けることで新一の「揺るぎない正義感」といったものを確信する中で、新一を恋愛対象と認識しその好意を恋愛感情だと自覚したわけです。つまり、その瞬間を境に幼馴染から好きな男性へと認識が転化したといえます。
もちろん、子供の頃から過ごしてきた経験から来る好意は土壌としてあったのでしょうが、しかし蘭が新一を好きになるという過程には「幼馴染の必要性」というのはありませんでした。ですから蘭の新一への感情というのは非常に分かりやすくストレートに感じられます。新一を待つという蘭の決断にしても好きな男性を前にした行動としては共感できるところでしょうし、揺らぎつつも新一への気持ちを強く持ち続ける蘭の新一へ想いの深さがこの作品の核の一つになっているといってもいいでしょう。
ところが新一にはそれがありません。蘭に対する好意はもう嫌というほど示しているのに、その理由が分からない。
初代キッド登場事件の時は既に異性として意識をしだしているといえないことも無いですが、流石に恋愛感情というわけではないようなので6歳の時点ではまだ仲の良い幼馴染の範疇です。そして蘭が新一への認識を改めたゴールデンアップル事件の時には、新一は既に蘭を「好きな女性」として意識しているようです。つまり新一が蘭に恋愛感情を抱くようになったのは6歳から15歳までの9年間だったということになります。
この間に蘭のように何か決定的な事柄があったのか、それとも長い時間の中で蘭への気持ちが熟成されていったのかはわかりませんが、もし後者だとするならば単純に少年期の狭い世界の中で生まれる「初恋」現象からの発展ということになります。そうなるとこの気持ちはある種の「つり橋の上の恋」の様なものになるわけですが、新志(コ哀・新哀等も含めて)OPの二次創作の場で新一の気持ちの推移を表すときに「蘭への感情は家族愛に近いものだ」とい表現が使われるのを見ますが、これはそういったところかきているものかもしれません。
新一と蘭の場合は状況は遠距離恋愛に似ているんですが、いかんせん二人の間に「意思の確認」が無いため、とても不安定な状態になっていると言えます。むしろお互いの気持ちが縛りあうことで動けなくしているように見えるほどです。しかし考えて見るとこの状況の解消はとても簡単なことで、新一か蘭が告白してしまえば済む話です。現状では二人は会うことはかなわないのですが、それだけでずっと楽になると思うのですが(とくに蘭が)。
連載当初は元に戻る→告白という流れが自然だったのですが、連載の長期化に伴い告白と元に戻ることの関連性が薄れてきているため、もうそれはそれこれはこれということになっているんじゃないかな(苦笑)
以上のように蘭と新一の場合は確かに状況的には完璧に幼馴染ですし、新一の場合は「幼馴染としての恋」という面も強いのですが、蘭については少し違うように思います。そこが二人の距離感とキャラクターの差なのかもしれませんが、どちらにしても今後は新一(コナン)次第なんですよね。
長々と書いてきた「幼馴染考察」シリーズも今回で終了です。全くの独断と偏見で三組の幼馴染を考えてきたのですが、結局幼馴染というのは難儀な関係だという結論に落ち着きそうです。
読んでいただいてありがとうございました。
<新一と蘭の場合>
この二人の場合は一巻の第一話から完全に相手に対する恋愛感情も自覚済みかつ相手から自分への好意も知っているという完全無欠な状態です(ある意味これで「付き合ってない」と主張するのは、交際即結婚へと外堀が埋められた二十代後半以降の男女にしか許されないと思います)。
さて、連載開始時の新一の状態は現在の和葉に近かったように思います。そして幼馴染であるが故に踏み込めない一歩の前で戸惑っていたところ、思いがけなく一巻で蘭からの告白を聞いて一気に気持ちが燃え上がったというのが、現在の新一の心理状態だと推測できます。ですからこちらも何度か揺らぎを見せながらも「会いたい、待っていて欲しい」という態度を崩すことが出来ないのだろうと思います。
でも実はこの二人、蘭が新一への恋愛感情を自覚したきっかけは「ゴールデンアップル事件」の時にはっきりと描かれているのに対して、新一が蘭への気持ちを自覚した時も理由もまだ描かれていません。
ゴールデンアップル事件まで蘭にとって新一は兄弟というポジションに限りなく近い「幼馴染」にすぎませんでした。ところが変装したベル姐さんを助けることで新一の「揺るぎない正義感」といったものを確信する中で、新一を恋愛対象と認識しその好意を恋愛感情だと自覚したわけです。つまり、その瞬間を境に幼馴染から好きな男性へと認識が転化したといえます。
もちろん、子供の頃から過ごしてきた経験から来る好意は土壌としてあったのでしょうが、しかし蘭が新一を好きになるという過程には「幼馴染の必要性」というのはありませんでした。ですから蘭の新一への感情というのは非常に分かりやすくストレートに感じられます。新一を待つという蘭の決断にしても好きな男性を前にした行動としては共感できるところでしょうし、揺らぎつつも新一への気持ちを強く持ち続ける蘭の新一へ想いの深さがこの作品の核の一つになっているといってもいいでしょう。
ところが新一にはそれがありません。蘭に対する好意はもう嫌というほど示しているのに、その理由が分からない。
初代キッド登場事件の時は既に異性として意識をしだしているといえないことも無いですが、流石に恋愛感情というわけではないようなので6歳の時点ではまだ仲の良い幼馴染の範疇です。そして蘭が新一への認識を改めたゴールデンアップル事件の時には、新一は既に蘭を「好きな女性」として意識しているようです。つまり新一が蘭に恋愛感情を抱くようになったのは6歳から15歳までの9年間だったということになります。
この間に蘭のように何か決定的な事柄があったのか、それとも長い時間の中で蘭への気持ちが熟成されていったのかはわかりませんが、もし後者だとするならば単純に少年期の狭い世界の中で生まれる「初恋」現象からの発展ということになります。そうなるとこの気持ちはある種の「つり橋の上の恋」の様なものになるわけですが、新志(コ哀・新哀等も含めて)OPの二次創作の場で新一の気持ちの推移を表すときに「蘭への感情は家族愛に近いものだ」とい表現が使われるのを見ますが、これはそういったところかきているものかもしれません。
新一と蘭の場合は状況は遠距離恋愛に似ているんですが、いかんせん二人の間に「意思の確認」が無いため、とても不安定な状態になっていると言えます。むしろお互いの気持ちが縛りあうことで動けなくしているように見えるほどです。しかし考えて見るとこの状況の解消はとても簡単なことで、新一か蘭が告白してしまえば済む話です。現状では二人は会うことはかなわないのですが、それだけでずっと楽になると思うのですが(とくに蘭が)。
連載当初は元に戻る→告白という流れが自然だったのですが、連載の長期化に伴い告白と元に戻ることの関連性が薄れてきているため、もうそれはそれこれはこれということになっているんじゃないかな(苦笑)
以上のように蘭と新一の場合は確かに状況的には完璧に幼馴染ですし、新一の場合は「幼馴染としての恋」という面も強いのですが、蘭については少し違うように思います。そこが二人の距離感とキャラクターの差なのかもしれませんが、どちらにしても今後は新一(コナン)次第なんですよね。
長々と書いてきた「幼馴染考察」シリーズも今回で終了です。全くの独断と偏見で三組の幼馴染を考えてきたのですが、結局幼馴染というのは難儀な関係だという結論に落ち着きそうです。
読んでいただいてありがとうございました。
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