kamacci映画日記 VB-III

広島の映画館で観た映画ブログです。傾向としてイジワル型。美術展も観ています。

広島県立美術館特別展「永田萌 夢みるチカラ展」

2012年12月08日 | 展覧会
永田萌 夢みるチカラ展
会場:広島県立美術館
会期:12月5日(水)~1月14日(月・祝)

県立美術館のウェブレポーター3回目、今回は「永田萌-夢みるチカラ展」。こんなメルヘンメルヘンの世界、ワタシには大丈夫だろうか?

永田萌といっても誰かすぐには分からないのだが、イラストを見たら、確かに見覚えがある。出品作のほとんどが近年のものだが、1970年・80年代に描かれたものはどこかで目にしたのだろう。パルナスのCMのような懐かしさ。

描かれるテーマは妖精や花々がメインで、人物の9割が背中から何かが出ているといって過言ではない。「背負うものは背嚢とライフル」というのが世界観のワタシは、白鳥の中のカラスぐらいの違和感がある。

ワタシにとっての妖精といえば、コナン・ドイルの妖精写真事件くらいでしか馴染みが無い。(昔は「聖戦士ダンバイン」とか見てたけどね。)
ここで描かれる妖精の背中にあるのは基本的に昆虫系の羽根なのだが、そういえば日本にはこういった妖精がいなかった。日本では古来、空を飛ぶ人といえば羽衣だ。もっと言えば、他の動物のパーツが人間に付くことも少なかったように思う。牛頭馬頭などもないことはないが、西洋ではケンタウロスにミノタウロスに始まり、メデューサや天使にいたるまで、半獣半人の架空の生物は一般的だ。この違いはどこから来たのか、興味深かった。って、発想が脱線している。閑話休題

永田萌は「カラーインクの魔術師」と称されるほど、作品の色使いが美しい。
ワタシ自身、色使いのセンスが悪く、昔から何か作っても着色で失敗した経験が多い。そういったことは普段着るものにも反映されており、基本はモノトーン。逆にウチの奥さんは色づかいのセンスがあるので、ここぞと言うときには嫌々ながらアドバイスを求めている。

何が違うのかと思うのだが、ワタシは色の関係が直感的に把握できないような気がする。色使いの上手な人の話を聞くと、「この配色がいいなと思ったら、色をメモしている。」というが、そもそもそういう発想自体がワタシは思いつかない。

そんなことを意識しながら鑑賞すると、得るものも多い。色目はあざやかなのだが、嫌みがないというのか、目に優しいというのか、しっくりとくるあざやかさ。天気が良くて空気が澄んだ朝方の色あざやかな自然と同じような感覚だな。
それに自然な奥行き。はっきりとした発色と輪郭にも関わらず、落ち着いた背景が主題を盛り立てているといった感じ。

ワタシも迷彩色とかジャーマン・グレーとか、カーキとか、サンドブラウンのものばかり見ておらず、もうちょっとこういった色使いの考えられた絵画を目にすれば、少しは色の感覚が体得できるかな?

さて、絵本作家の活動もしているということで、印刷物へのプロセスの展示も楽しみにしていたのだが、今回の展示会ではそちら方面の展示は手薄。絵画そのものの展示として成立しており、テキストなどを配するために描き手としてどのような配慮がなされたのかを感じ取ることはできなかった。

絵本原画の展示で室内に絵本本体の備え付けがなかったのは、残念なところ。ひろしま美術館などでは必ず絵本本体が設置され、制作プロセスと完成品が見比べられるようになっており、これが鑑賞の手引きとなっている。一応、会場内には絵本コーナーがあるのだが、絵画が最終的にどのような製品として世に出たのか、そこの差異は実物を前にして確認したかった。

ところで、来週には浮世絵のウェブレポーターデイ。こちらはまさにグラフィックデザインとメディアとして鑑賞するのが楽しみ。

広島県立美術館公式ホームページ
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