東京府中市の税理士 金成祐行の日々の気付き

税理士法人の経営、強度行動障害の自閉症の息子との生活、悪戦苦闘の毎日で、日々気づいたことを書いていきたいと思います。

電子申告セミナー

2007-05-12 19:59:20 | 経営
6月に八王子、7月に山梨で、税理士先生対象に、「電子申告活用セミナー」の講師を務める予定です。

現在納税者の「電子申告」を税理士が代理して行うにあたり、納税者本人の電子署名を省略する法的根拠を調べていたのですが・・・・かなり回りくどい規定となっていますね。

「行政手続オンライン化法」第3条4項にて

「行政機関等は、当該処分通知等に関する他の法令の規定により署名等をすることとしているものについては、当該法令の規定にかかわらず、氏名又は名称を明らかにする措置であって主務省令で定めるものをもって当該署名等に代えることができる。」

と税法を含めた各法令における「署名等」の意義を明確化し、

「国税関係電子手続省令」第6条にて

「情報通信技術利用法第三条第四項 に規定する主務省令で定めるものは、電子情報処理組織を使用して行う申請等の情報に電子署名を行い、当該電子署名に係る電子証明書を当該申請等と併せて送信すること又は第四条第二項の規定により通知された識別符号及び暗証符号を入力して申請等を行うことをいう。」

として、「署名等」は「電子署名+電子証明書」でOKですよといい、
さらに、同法第5条1項にて、

「ただし、当該電子署名が国税庁長官が定める者に係るものである場合には、当該申請等の情報に当該者に係る電子署名を行うこと及び当該電子署名に係る電子証明書を送信することを要しない。」

として国税庁長官が定める者の電子署名をつけるなら、本人の電子署名はいりません!と規定し、

最終的に、平成18年12月27日の「国税庁告示第三十二号」にて

「ただし書に規定する国税庁長官が定める者は、次に掲げる者とする。
二 申請等を行おうとする者が、税理士法第二条第一項第二号に規定する税務書類の作成を委嘱し、当該委嘱を受けた者が電子情報処理組織を使用して当該申請等を行う場合における当該税務書類の作成を委嘱した者」


やっと、税理士さんが登場します。

驚くことに、この「行政手続オンライン化法」からの流れで、電子申告時の、法人税法
151条、161条の規定が無力化されているんですね!!びっくりです。


さて、勉強していて改めて確認できたこと。「
それは、「税理士が受託して納税者本人の電子証明を省略して申告する行為は「税務代理」に基づいているということ。

「代理」とは、民法上、代理人が、代理権の範囲内で、代理人自身の判断でいかなる法律行為をするか決め、意思表示をすることで、単なる本人の意思表示を伝達するだけの「代行」とは違うということ。

税理士が、税務申告について「税務代理」の権限を納税者から与えられているということは、納税者の信頼に答え(つまり、納税者が現行法制に基づいて税金を払いすぎることのないようにすること)かつ、税法に従った適正な納税義務が実現できるように、独立した公正な立場に立って、その税理士の専門知識に基づいた知識で、自らの意志で決定し、意志表示をして、申告業務を代理しているということになるのです。
(もちろん、税理士が意思表示をしたことについては、納税者本人に十分に説明し、ご納得いただくことは当然のこととして)

とすれば、本来、代理人たる税理士は、かなり重い責任を負い、税務代理をしなければならないのです。


すなわち、上記改正の趣旨は、電子申告による行政のスリム化から始まって、税理士に本来の税務代理・・・、税務代行ではなく、税務代理という大きな役割が与えられたということに他ならないのです。
納税者が自分で作った申告書をノーチェックで電子申告を行う、電子申告「代行」ではなく、税理士は電子申告「代理」をするのです。
今回、申告書に署名・押印を頂かず、「税務代理権限証書」のみに署名・押印を頂くという行為は、この代理人としての役割を、クッキリと印象づけます。

税理士が社会から必要とされ、大きく期待されている証拠の電子申告。
これからは、すべての税理士事務所が当たり前の「通常業務」として行わなければならないと思うのです。

コメント (1)
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