白内障と眼内レンズ 田中恭一
紙つぶて 2018.10.9 中日新聞夕刊
10月10日は「目の愛護デー」です。ここでは白内障と眼内レンズについて触れてみます。眼病の克服および視力の確保に向けた眼科医療の分野は、IPS細胞を使った角膜再生医療に代表されるように、著しい進歩があります。そうした中で、眼鏡やコンタクトレンズなど視力矯正に役立っている医療機器の進歩も目を見張るものがあります。白内障の手術時に水晶体の代わりに挿入する眼内レンズもその一つです。
私も昨年と今年に両眼の白内障の手術を受け自社製の眼内レンズを挿入いたしましたが、実は日本製の眼内レンズ第一号は弊社メニコン製(当時は東洋コンタクトレンズ)なのです。
1956年に信州大学の早野三郎助教授(後の岐阜大学学長)と共同研究を開始し、日本で初めての眼内レンズを開発し、85年厚生省の製造承認を取得しました。その後、世界のメーカーとの切磋琢磨の中、自らも参画し進化させてきました。そして現時点で最高と思う眼内レンズが今自分の目にあり体感し、感慨ひとしおです。
白内障は、主に加齢に伴い多くの方が発症され、65歳以上の白内障の方のうち約半数が手術を受け、そのほとんどが眼内レンズを挿入されます。手術もレンズも著しい進歩を遂げた今、眼内レンズによって安全に明るい視界の暮らしを取り戻せるようになるのです。
(メニコン創業者会長)
◎上記事は[中日新聞]からの書き写し(=来栖)