中日春秋
2023年6月16日
「百花斉放(ひゃっかせいほう)」は全ての花が一斉に咲きそろう意から、多様な文化・芸術活動が自由に行われることをいう。中国建国の父で共産党を率いた毛沢東は一九五六年、「百花斉放・百家争鳴」と唱えて芸術や学問分野などで自由な議論を促した
▼「いちいち党員の顔色をうかがわなければ仕事ができない」(新聞編集長)といった党批判まで出ると一転、知識人弾圧を始めた。最初から危険分子をあぶりだす狙いで「百花斉放−」と唱えた可能性が強いらしい。天児慧(あまこさとし)氏の著書『中華人民共和国史』に教わった
▼先日、中国の大学統一入試の作文で「百花斉放」が出題された。「花が一輪咲いても春ではなく、いろんな花が咲いて(百花斉放)こそ春満開」などの文章を使い、自分の考えを八百字以上でまとめよ−
▼花が一輪、で始まる文は習近平国家主席が以前、国際関係について語った言葉で、自国の価値観で他国に干渉する米国をやゆしたとされる。出題では習氏の言葉と明示されたという。ネット上で「政治思想を問うのか」と疑問の声が出たのもむべなるかなと思える
▼毛は「百花斉放−」を唱えた際、いかなる政府も欠点については批判を受けるべきだとして、こう語ったという。「言う者に罪無し」
▼入試で好ましからざる文を書いた受験生の場合、「罪有り」と咎(とが)められるかはともかく「点無し」の憂き目にはあう気がする。
2023年6月16日
「百花斉放(ひゃっかせいほう)」は全ての花が一斉に咲きそろう意から、多様な文化・芸術活動が自由に行われることをいう。中国建国の父で共産党を率いた毛沢東は一九五六年、「百花斉放・百家争鳴」と唱えて芸術や学問分野などで自由な議論を促した
▼「いちいち党員の顔色をうかがわなければ仕事ができない」(新聞編集長)といった党批判まで出ると一転、知識人弾圧を始めた。最初から危険分子をあぶりだす狙いで「百花斉放−」と唱えた可能性が強いらしい。天児慧(あまこさとし)氏の著書『中華人民共和国史』に教わった
▼先日、中国の大学統一入試の作文で「百花斉放」が出題された。「花が一輪咲いても春ではなく、いろんな花が咲いて(百花斉放)こそ春満開」などの文章を使い、自分の考えを八百字以上でまとめよ−
▼花が一輪、で始まる文は習近平国家主席が以前、国際関係について語った言葉で、自国の価値観で他国に干渉する米国をやゆしたとされる。出題では習氏の言葉と明示されたという。ネット上で「政治思想を問うのか」と疑問の声が出たのもむべなるかなと思える
▼毛は「百花斉放−」を唱えた際、いかなる政府も欠点については批判を受けるべきだとして、こう語ったという。「言う者に罪無し」
▼入試で好ましからざる文を書いた受験生の場合、「罪有り」と咎(とが)められるかはともかく「点無し」の憂き目にはあう気がする。
◎上記事は[中日新聞]からの転載・引用です