「新潮45」休刊に異議あり 2018/10/5

2018-10-05 | 文化 思索

<大波小波> 「新潮45」休刊に異議あり 
2018/10/5 夕刊
 1961年、嶋中事件が起きた。雑誌『中央公論』が掲載した深沢七郎の小説「風流夢譚」に皇室を揶揄する内容があり、これに怒った右翼団体が版元・中央公論社に抗議、遂に17歳の少年が嶋中社長宅で社長夫人とお手伝いさんを殺傷するに至った。社長は編集の非を認め、皇室と読者に詫び、編集長を更迭した。この黒い歴史を知らぬ出版人はいない。
 LGBT(性的少数者)を「生産性がない」とした杉田水脈論文を擁護する自社雑誌『新潮45』の特集について、新潮社の佐藤社長は非を認めた。が、世間の怒りは収まらず、数日後に休刊発表に至る。
 休刊という始末のつけ方に、私は逃げを感じた。侘びが足りないのではない。雑誌の自死以上の侘びはない。問題なのは、こうした前例が積み重なることで、日本の編集全体が萎縮しかねないことだ。私が社長なら、なぜ少数者を庇護することが社会にとって重要なのか、この機に考える一大キャンペーンを張れ、と号令するだろう。やみくもに異論を封殺ないし自己封印するのでなく、闊達に議論できる社会の方が健全ではないか。少数者の庇護が少数意見の封殺につながる--そんな皮肉な事態は、決してしょうじてはならない。  (休肝老人)

 ◎上記事は[中日新聞]からの書き写し(=来栖)
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