2009年までに裁判員制度が導入される。最近の公判を見ていると、早くも制度の問題が見え隠れするが、本日中日新聞は福井支社から以下のような苦境を伝えていた。概略を記す。
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公判準備 検察と差 都市部と開き 被告に不利益の恐れ
「検察との差は歴然としている」。事前に争点を絞って短期間に集中審理する公判前整理手続きを適用し、6月1日に福井地裁で開かれた殺人未遂事件の初公判。担当した北川稔弁護士は閉廷後、率直に話した。
冒頭陳述で検察側は、プロジェクターを使って犯行現場の見取り図や関係者の人間関係を説明。検事のほかに、事務官がパソコンの操作を手伝った。対する弁護側はただ一人。弁護側の冒陳は、事前に準備した紙を読み上げるという、これまでと同じやり方だった。
前波弁護士は「市民から選ばれる裁判員はプレゼンのうまさに引っ張られる可能性がある」と警戒する。弁護士は組織的な対応ができないため負担が大きい。特に地方では弁護士の絶対数が少ないので、国選事件が回ってくるペースも速い。多くの事件を抱え、裁判の準備に充てられる時間も検察側と大きな差が生まれる。
弁護士が地裁の支部管内に一人、もしくは一人もいない「ゼロワン地域」も全国に43箇所ある。
現状では大部分の新人弁護士が東京、大阪、名古屋などの大都市で開業する。裁判員制度をはじめ弁護士の仕事は増える一方で「ますます格差が広がるおそれがある」と懸念する。