ヘッドホンが「耳」となり 骨伝導技術 難聴の人「会話や音楽 聞こえた」

2022-05-26 | 社会

 骨伝導ヘッドホンで音のある世界に 弥富の病院名誉院長が開発協力 
 中日新聞 夕刊 2022年5月26日
 冒頭画像;最新式の骨伝導ヘッドホンを装着し、海南病院の山本直人名誉院長(右)と会話する高齢女性=愛知県弥富市で
 特殊な骨伝導の技術を使い、難聴になったお年寄りらも音が聞き取れるヘッドホンを、東京のベンチャー企業が五月に発売した。愛知県弥富市にある海南病院の山本直人名誉院長が製品化に協力。会話や音楽を楽しんでもらうほか、介護、医療現場での活用も期待している。(伊勢村優樹、写真も)
 開発したのは聴覚サポート製品を手掛ける「FILLTUNE(フィルチューン)」。二十八日まで名古屋市千種区の吹上ホールで開かれている福祉・医療・健康の総合展「ウェルフェア」に出展し、ヘッドホンを紹介している。
 商品名は「FILLTUNE CLEAR(クリア)」で、ヘッドホンに付いた小さなマイクで拾った音を内部で振動に変え、側頭部に当てた左右のパッドで音として伝える。この技術開発は、障害者の自立を支援する国の事業にも採択された。
 臨床試験では、加齢や騒音が原因となる「感音性難聴」の患者の六割で、きれいに聞き取れる効果があった。
 これまでの骨伝導補聴器などでは音が伝わりにくかったが、今回の製品では従来の骨伝導よりも百倍以上、細かく、力強い振動を伝える新技術を採用し、音が伝わるようになった。
 海南病院の通所リハビリテーション施設では3月、視聴会を実施。普段は耳元で大きな声を出してもらわないと聞こえない女性(89)は「周囲の会話が大きすぎるくらい聞き取れた」と笑みを浮かべた。近距離無線通信「ブルートゥース」でスマートフォンなどと接続し、音楽再生のほか、通話も可能。女性は懐かしの名曲のリズムに乗って体を動かし、楽しんでいた。
 同病院では山本名誉院長の主導で、2016年から前身の機器を導入し、使用感の報告や、医療現場での使い方の助言をしてきた。医師からも、患者との意思疎通が円満になり「的確な治療ができる」「小さな声で問診ができ、プライバシーを守れる」と好評だったという。
 65歳以上の半数近くが軽度も含めて難聴と言われる中、フィルチューンの磯部純一CEO(最高経営責任者)は「耳が聞こえにくくなってからの人生も機器があることで、友達や家族と会話でき、笑顔が増えたら」と期待。山本名誉院長も「補聴器には限界があり、画期的な機器。音が聞こえないと症状が悪化する認知症の対策にも有効」と評価する。
 本体はオープン価格で、詳細は同社ホームページで。開催中のウェルフェアでは「脳能プロジェクト」のブースに並び、視聴もできる。

 ◎上記事は[中日新聞]からの転載・引用及び書き写し(来栖)です
――――――


コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。