十九世紀のドイツの指導者ビスマルクは「鉄血宰相」と呼ばれた

2022-04-21 | 国際

中日春秋
2022年4月20日
 十九世紀のドイツの指導者ビスマルクは「鉄血宰相」と呼ばれた
▼分裂状態のドイツの統一には軍備増強が必要と、プロイセン首相時代に議会で「現下の大問題は言論や多数決によってではなく、鉄と血によってのみ解決される」と訴えたことに由来する。鉄は兵器、血は兵士を意味する
▼議会の反対の中で意志を貫き、オーストリアやフランスとの戦争に勝利。ドイツ統一を果たした。そのドイツに学び、官営八幡製鉄所を建設して富国強兵を急いだ日本でも「鉄は国家なり」という言葉が定着した
▼ウクライナ南東部マリウポリの製鉄所にウクライナの戦闘員が立てこもり、ロシア軍が包囲したという。鉄の重要性を象徴するような戦闘。構内に身を隠す場所が多いのだろうか、市民約千人が避難しているとの報道もあり、心配だ
▼マリウポリを含むドンバス地域は重工業地帯で、帝政ロシアやソ連時代も国の礎。だから今のロシアも固執するのだろう。ドンバスの全面掌握を目指し攻撃を激化させた
▼飯田洋介氏の著書「ビスマルク」(中公新書)によると、この政治家は自身に逆らう官吏を処分し、自由主義を嫌って新聞を規制した。専制的なロシアの現大統領と似ている気も。ただ、フランスに勝った後の外交は巧みとされ、復讐(ふくしゅう)を狙うこの国を孤立化させるべく周辺国と同盟や条約を結んだ。武力のみに頼った人ではない。

 ◎上記事は[中日新聞]からの転載・引用です


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