池田小事件16年“最後の教諭”の責務 当時から唯一在籍続ける佐々木靖校長
2017/6/7(水) 12:37配信 産経新聞
平成13年に児童8人が犠牲となった大阪教育大付属池田小事件で、今春、当時を知る教諭は校内で佐々木靖校長(55)ただ一人となった。児童も事件後に生まれた世代だ。記憶を風化させず、子供たちにどう教訓を伝えていくのか-。発生から8日で16年。佐々木校長は、自らが背負う責務を感じながら「あの日」を迎える。(猿渡友希)
当時、5年生の担任だった。体育の授業を終えた午前10時過ぎ、児童らが泣きながら運動場へ走ってきた。「包丁!」「おっちゃん!」。ただ事でないと感じ、倉庫にあった金属バットを手に取った。校舎へ向かうと、児童2人が血を流して倒れていた。1人はすでに意識がなかった。
救急車で次々と搬送される児童、周囲を飛ぶ何台もの報道関係のヘリコプター…。安全なはずだった学校で起きた凄惨(せいさん)な事件は、現実の出来事とは思えなかった。以来、あの日を思い出さない日はない。
事件後、校舎は改築され、防犯カメラの設置や警備員も常駐された。ただ、「子供たちを守るという強い思いが先生になければだめだ」との考えから安全教育に力を入れてきた。
不審者への対応訓練を年に複数回実施し、訓練用のDVDも作った。DVDは他校にも配っている。副校長当時の21年度には、全国で初めて「安全科」の授業を設けた。
あの日が近づくと、新任教諭とともに遺族宅を訪問している。仏壇に置かれた生前の児童の写真を見て遺族と直接話すことで、何かを感じ取ってくれていると思っている。
今春の異動に伴い、事件を直接経験した教諭は自分だけとなった。あの日を知る“最後の一人”となり、最近は「事件の記憶や教訓を風化させないとは、どういうことなのか」を考えるようになった。
今月5日、朝礼で全校児童らを前に事件について話した。亡くなった児童8人の写真が校長室に飾られていることを教え、「いつでも写真を見に来ていいよ」と伝えた。休み時間に早速、児童数人が校長室に姿を見せた。
事件を直接知らない児童も、6年かけて命の大切さや安全について学んでほしいと思う。「いつか、事件を知る先生が学校からいなくなっても、あの日の教訓を学んだ先生や児童らが次代へと伝え続けてくれるはず」。そう信じ、全力で取り組む。最後の日まで。
最終更新:6/7(水) 17:34
◎上記事は[Yahoo!JAPAN ニュース]からの転載・引用です
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◇ 池田小事件(2001/6/8)から15年 安全な学校守る自覚と責任を 戸塚健大君の母が保護者を前に講演 2016/6/8
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◇ 6月8日、池田小事件15年のこの日に、無差別殺傷事件について考える…映画「葛城事件」篠田博之 2016/6/8
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◇ 付属池田小事件(2001/6/8)から14年 ・・・(宅間守死刑囚 2004年9月14日 刑執行 状況要旨)
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◇ 大阪教育大付属池田小学校児童殺傷事件 宅間守 『殺人者はいかに誕生したか』長谷川博一著
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◇ 宮崎勤、宅間守、小林薫らが残した難題 死刑囚を最も知る男が見た「死刑の穴」(日刊サイゾー2008/12/13)
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◇ 千葉大生・寺内樺風容疑者と大阪池田小事件・宅間守元死刑囚(=04年刑執行)の意外な接点 女子中生誘拐事件で千葉大生を襲い始めた風評被害
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