◆小沢一郎氏裁判 12回公判 NHK全/(1)秘書との関係は~(11)秘書の裁量2012-01-10
◆小沢一郎氏裁判 13回公判/4、5億円の現金を手元に置くのは以前からそうしていました/使い勝手がいい2012-01-11 からの続き
小沢氏裁判(17)供述の“変遷”
1月11日 17時23分
(指定弁護士)確認書の日付は平成17年1月7日だが、あなたは調書中の供述で「確認書の日付は平成17年1月7日となっているが、記憶では代金を支払ってから、そんなに遠くないときに作成したと思います」と供述していますが?
(小沢元代表)記憶にありません。とにかく確認書がないと秘書から聞かされ「それは作っておきなさい」といったもので、いつやったかという明確な記憶はありません。
(指定弁護士)事情聴取の際にその記憶はありました?
(小沢元代表)あったと思います。
(指定弁護士)自分の記憶通り検察官に話しましたか?
(小沢元代表)ですから何年も前、何十年も前の記憶はありません。しかし、検察官との問答のときは「そうだったかなあ」と思って話したこともあったと思います。
(指定弁護士)1月23日の調書では、確認書を公表直前に作成したとの問いに「そうではない」と答えた記憶はありますか?
(小沢元代表)ありません。
(指定弁護士)やりとりは覚えていないですか?
(小沢元代表)はい。
(指定弁護士)このような供述の変更をしたことを記憶していますか?
(小沢元代表)ありません。私の記憶に残っていることは、公表しようという時期については分からないが、確認書がないと知らされた時点で、とにかく早く作れ、と言って確認書が出来たとの記憶。
(指定弁護士)質問を変えます。収支報告書のことを尋ねているが、収支報告書は形だけ整っていればいいと考えていましたか?
(小沢元代表)収支報告書が大事ではなく形だけのものと言っているわけではない。最終的に国民の閲覧に供するものであり、きちんとしたものを作成するのは当然だが、中身の作業を見れば普通の人であればできることであるし、秘書がきちんとできる能力を備えていたと思うので任せていた。私の関心事はもっともっと大事なことに集中するということです。
(指定弁護士)正確でなければいけないとは強く思っていたということですが、その思いは秘書も持っていた?
(小沢元代表)はい。そう思います。
(指定弁護士)これは「週刊文春」から、あなた宛の取材のお願いに対して、池田さんの名前で回答したものです。この書面はご存じですか?
(小沢元代表)文春と特定して来ているということは分かりません。いろいろな週刊誌やTVなど、何かの折には来ると聞いています。
(指定弁護士)事前に目を通して意見を言ったりは?
(小沢元代表)ないと思います。
(指定弁護士)池田さんは、この原稿をあなたが見て電話で訂正を指示されたかと聞かれて「確かにそうだったと記憶しています」と答えていますが?
(小沢元代表)文春のこの問い合わせに対し、池田に対して電話で何かを指示した記憶はありません。ただ、当時は事務所費公開の前後の不動産の所有について、マスコミを中心に騒がれていた時期だったので、これらの問い合わせがたくさんきていると聞いていました。一度や二度は、最初のころは趣旨で聞いたことはありましたが、正確な記憶があるわけではありません。
(指定弁護士)回答の第2項で「金融機関からの借り入れで預金を担保に」と答えていますが、あなた個人の金が提供されたことが記載されていないが、4億円の提供を隠す意思があったのですか?
(小沢元代表)それはちょっと邪推だと思います。石川が担当のときは石川に、池田のときは池田に問い合わせに応じて作成し、顧問弁護士に相談して作成された回答書です。池田はそういうことを理解して回答したと思います。
小沢氏裁判(18)情報公開の姿勢
1月11日 17時51分
(指定弁護士)あなたが石川さんに提供した4億円は公表していませんよね?
(小沢元代表)はい。していません。
(指定弁護士)石川さんが4億円を口座に入金する際に多数口にわけて入金したと証言したことは聞いていますか?
(小沢元代表)聞いたと思います。
(指定弁護士)その理由として、政治家が多額の資金を持っていることが露見してしまうことへの警戒感があったと言ったこともご存じですか?
(小沢元代表)先ほども申し上げたとおり、自分が仕えている議員に少しでもマイナスがないよう、言われなき誹謗中傷がされないように今回の件というわけではありませんが、あらゆる仕事でそうしたことを心がけてやることは、少しもおかしくないことだと思います。
(指定弁護士)私はおかしいかどうか聞いているのではなくて、石川議員がそう証言したことは知っているのですよね?
(小沢元代表)ですから、入金したという趣旨の話は聞いたと思います。
(指定弁護士)現金で返却されたことを公表していないのも事実ですよね?
(小沢元代表)と、思います。
(指定弁護士)資産公開でも、定期預金でも、個人の資産でも、どちらの形でもいいのですが、4億円については公開していませんよね?
(小沢元代表)それは何に対しての?国会に対してのものですか?
(指定弁護士)はい。
(小沢元代表)確か定期預金でなければ報告しなくていいということになっていたと思います。
(指定弁護士)メディアへの回答書でも4億円は触れていませんよね?
(小沢元代表)はい。
(指定弁護士)回答書では、小沢議員の資産を担保にする必要もないと否定していますけども?
(小沢元代表)池田が作った回答書も、これは推測にすぎませんが、定期預金もあとで知ったことですが、私の名義ではなかったから、そのようにしたのではないでしょうか。いずれにしろ分かりません。彼が考えたものです。
(指定弁護士)いずれも、巨額の資金を持っていることが公にならないように一貫して説明してるのではないですか?
(小沢元代表)メディアへの回答書と関連づけて、そのような言い方をされるのは腑に落ちません。だいたい、自分の預金がいくらあると世間に発表する人はいないですし、秘書の場合、同じ不動産を購入したりするケースは他にも散見されるのに私の場合はたたかれる、という世間の状況を知っているわけです。ですから、ふだんからの心がけで、マスコミに揚げ足を取られることが少しでもないように心がけるのは、ごく当たり前のことです。
(指定弁護士)平成16年の収支報告書は、今も見ていないんですよね。
(小沢元代表)はい。
(指定弁護士)池田さんが、公判で4億円は平成16年の収支報告書に記載されていないと思っていたと証言したのは記憶にありませんか?
(小沢元代表)そういう報告書や記載の内容については覚えていません。
(指定弁護士)あなたが今まで16年分の収支報告書をご覧になっていないということを前提とすると、池田さんが4億円は16年の報告書に記載されていないと思っていたと証言しているのはご存じでしょうか?
(小沢元代表)そういう報告書や記載の関係は覚えておりません。
(指定弁護士)第三者が見ても4億円を出さない、第三者が見ても気づかれないようにしたという方針は、あなたが指示したのではないでしょうか?
(小沢元代表)ことばは悪いですが言いがかり、邪推だと思います。そのようなことを指示した覚えはありません。
(指定弁護士)石川さんが登記を遅らせたことについて、代表選を意識したということをおっしゃっていたと思うが、それで記載を17年にすることは、あなたから見て合理性はあるんでしょうか?
(小沢元代表)担当者の石川ができるだけということで、彼の判断でやったことなので、私は彼の行為をどうこう批判する気持ちはありません。
小沢氏裁判(19)収支報告見ない
1月11日 18時23分
(指定弁護士)あなたは陸山会の収支報告書の内容について秘書から一切報告を受けていないと?
(小沢元代表)はい。
(指定弁護士)その理由としては、信頼が成り立つことが前提で、秘書を信頼した以上、すべてを任せる、また収支報告書についても収入と支出を記載するだけで単純な作業だからということでよろしいのでしょうか?
(小沢元代表)はい、主な理由はその2つだと思います。
(指定弁護士)あなたはご自身の信条として、仕事のうえで一般的に他人を信頼して行動すると?
(小沢元代表)はい。
(指定弁護士)石川秘書についても信頼していたということですか?
(小沢元代表)もちろんです。
(指定弁護士)それについては、特段の理由というのはあるんでしょうか?
(小沢元代表)特別の理由ではないですが、いわゆる書生という形でやっているのは昔は数多くあらゆる分野であったでしょうが、今日ではたぶん私のところだけではないかと思っていますが、彼はたしか学生のときから私のそばでいろいろと面倒を見てくれたのがほかの者よりも長かったと思います。どの秘書もそうですが、長い間に互いに知り合い、その中で信頼関係がより深まったと思います。
(指定弁護士)池田さんについても同様か?
(小沢元代表)はい。同じようなケースだったと思います。
(指定弁護士)2人の収支報告書の処理に間違いはなかったですか?
(小沢元代表)2人は法律に沿って正しく処理していると思います。
(指定弁護士)収支報告書を見ていないということだが、見ていないのにどうしてそう言えるのですか?
(小沢元代表)根本は、私の秘書を信じているということです。付随的には報告書の内容は複雑で難しいものではなく、誰でもできる程度のものだからです。
(指定弁護士)収支報告書の作成について、石川と池田に任せているということだったが、収支報告書の作成を信頼して任せていたとしても収支報告書は政治家の1年の動向を把握するためにも、あなたにとって大切な資料ではないか?
(小沢元代表)私が申し上げているのは、収支報告書が大事じゃないと言っているわけではありません。何度も申し上げています。正確に記載し、最終的に国民の閲覧に供する大事なものだと、そのことについては否定していません。
(指定弁護士)陸山会の代表者や岩手県の支部の代表者、ほかに代表者を務めている団体が3つあり、それらの政治団体の収支を把握することは大事なことじゃないですか?
(小沢元代表)運営がスムーズにいっていることが分かればそれでいいと思っています。あとは、何度も申し上げていますが、読み書きそろばんができれば収支報告書は作成できます。ですから秘書に任せておけばいいと。
(指定弁護士)秘書に任せることじゃなくて、政治団体の動向、支出がどうかとかを知ることは、あなたにとって大事じゃないですか?
(小沢元代表)それについては、年末に政治活動のために運営がうまくいっているかどうかのやりとりはしていたと思います。
(指定弁護士)年末に収入や支出の数字を確認するんですか?
(小沢元代表)数字とは言っていません。うまくいっているかどうかと。
(指定弁護士)寄付についても数字は確認するんですか?
(小沢元代表)それはほとんどありません。うまくいっているかどうかというやりとりで分かり合える、それは当たり前の政治家と秘書の関係だと思います。
(指定弁護士)収支報告書というのは、収入と支出の記載だけだから簡単な作業だとあなたは言っていますね?
(小沢元代表)はい。専門家の先生もそう証言されたと思います。
(指定弁護士)政治団体には寄付の額に制限があるのは知っていますよね?
(小沢元代表)はい。
(指定弁護士)寄付を受けていいかどうか判断がつかないこともあるんじゃないですか?
(小沢元代表)ハンドブックを見たり、総務省に聞けば分かることだと思います。もし仮にどうしたらいいかなということがあっても、役所に聞けば分かります。
小沢氏裁判(20)個人口座は
1月11日 18時45分
(指定弁護士)銀行から借り入れた4億円についておたずねします。あなたを主体にして10月29日に4億円を借りて、その後、平成17年に2億円を返して、平成18年に2億円を返していますが、そのことは理解していますか?
(小沢元代表)いいえ。金融機関との具体的な取り引きについては秘書に任せていますから、秘書の裁量の範囲内でやれというだけです。どういう話になっているかは分かりません。
(指定弁護士)銀行の4億円について、利息分が個人口座から出たんだと分かったと言っていたと思うが?
(小沢元代表)はい、そうなります。
(指定弁護士)利息分は上乗せして陸山会に振り込まれたと理解?
(小沢元代表)いえ、そういう理解でやったわけではない。その話は最近聞いた。利息も私の個人口座から払われていると聞きました。
(指定弁護士)誰から?
(小沢元代表)覚えておりません。相当たってから何かの拍子に聞いたということだと思います。
(指定弁護士)裁判になってから?
(小沢元代表)なってからかその前か、そんなに古い話ではありません。
(指定弁護士)あなたの口座から利息が払われていたことはどうなった?
(小沢元代表)笑い話でみたいに聞いたが、個人の口座で払われているようだよと聞いて「えー」となりました。後日返還されたという話だったが、いつ返されたのかは分かりません。
(指定弁護士)どこに振り込まれたのですか?
(小沢元代表)たぶん個人の口座ではないかと。
(指定弁護士)個人口座を見たりしないのですか?
(小沢元代表)ほとんどしません。秘書が手続きでやっていたりするので。利子が個人口座から出ているとは知らなかったので、あとで人から聞いて「払われていたよ」と。それなら、そうなのかなと思いました。
(指定弁護士)収支報告書には「平成17年10月31日返済」とあるが、その日?
(小沢元代表)だろうとしか言えません。先生のお話を聞いて。
(指定弁護士)あなたの個人口座にはこの日確かに返還されているが、あなたは知っていたのでは?
(小沢元代表)知っていません。私は最初から知らないと申し上げているのではないでしょうか。つい最近になって聞いた話です。
(指定弁護士)平成17年10月31日に返還したと収支報告書には記載されているが、平成19年3月に実際に戻っているのでは?
(小沢元代表)私は分からないということです。
(指定弁護士)陸山会の平成17年分の収支報告書には、平成17年10月31日に返還したことになっていますが?
(小沢元代表)私はまったく知らない。
(指定弁護士)いつ返したのかということは、いつ聞いたのか?
(小沢元代表)いつ返したのかの話は聞いておりません。あまり適切ではないことば遣いでしたが、笑い話のように聞かされたので。
小沢氏裁判(21)4億円の返還
1月11日 20時3分
(指定弁護士)平成17年10月に銀行からの2億円の借入を継続していることはご存じないですか?
(小沢元代表)明確な記憶はありません。
(指定弁護士)この2億円についての証言は、聞いていますか?
(小沢元代表)まったく聞いていません。
(指定弁護士)通帳の写しを示します。3月9日に平成17年分の利息支払いがされていて、個人口座から返還されていますが、それについては知りませんか?
(小沢元代表)知りません。
(指定弁護士)平成19年3月は、本件のことで小沢事務所として、いろいろ対応している時期ではありませんでしたか?
(小沢元代表)年月日を言われても分かりませんので。
(指定弁護士)事務所費の問題や確認書の件で、平成19年2月20日に記者発表をしていますね?そして2月に週刊文春に説明しています。石川に渡した4億円の返済を受けたのは5月です。つまり、平成19年の2月~5月は、小沢事務所ぐるみで、いろいろ対応していた時期ではありませんか?
(小沢元代表)事務所費の公開は私1人が行ったことですが、このときにはいろいろ事務所費の問題が起きていて、陸山会の不動産もいろいろ指摘されていたときだと思います。私は一切を公表したほうがいいと思って、池田に「領収書はそろっているか」と聞いたら「そろっている」との返事だった。じゃあ、やましいことはないので公開しようと決めたのです。
(指定弁護士)あなたも加わって4億円の返還を決めたことはなかったのですか?
(小沢元代表)事務所費の問題は、確かいろいろな政治家でも騒ぎになった頃で、私は「ちゃんと領収書その他はそろっているのか、大丈夫か」と聞いたら「ちゃんとあります」という返事だったので、じゃあ公開しようと決めたんです。
(指定弁護士)池田さんは「小沢先生から、利息がもったいないので半年で返還したらどうか」と言われたと証言していますが?
(小沢元代表)先ほども2億円のことについて聞かれましたが、その記憶がないし、今の指摘の内容は聞いていません。
(指定弁護士)あなたの口座からの金で返還されていますが?
(小沢元代表)私の口座で利息を払ったこと自体、私は知りませんので。
(指定弁護士)個人口座には講演料、TV出演料など入っていますよね。こうした口座から、どうして必要経費を出していいと秘書におっしゃってたんですか?通帳や印鑑も渡して。
(小沢元代表)今、通帳は自分で持っていますが、いつごろからか分かりませんが、秘書の判断で通帳や実印を使っていいと。たぶん当選してからずっとそんな感じだったと思います。
(指定弁護士)利息が銀行の口座から払われるのは、あなたの意に沿った行動なんですか?
(小沢元代表)意に沿ったという意味が分かりません。そのこと自体知らなかったので。なんと答えていいか分かりませんが、陸山会との取り引きですので、そう言われれば陸山会から払ってしかるべきものではないかと思います。
(指定弁護士)マンションに現金を保管しているのは緊急のときに使用できるからということですが、4億数千万円全額を手元に置く必要はないのでは?
(小沢元代表)それはそのとおりですけど、できるだけ結果として手元に置いておきました。
(指定弁護士)あなたは、きのう政治団体から政治資金が流出しないために不動産を購入されたといったんですよね?
(小沢元代表)それも一つの理由であります。
(指定弁護士)私のほうで計算すると、石川さんが担当するようになってから5団体の六十数%が不動産に支出されているが、これはあなたの考えですか?
(小沢元代表)手当として出せば人件費が増大するし、賃料の支出も増える。ローンを組めるならそっちのほうがいいだろうという結論になったと思います。
(指定弁護士)陸山会は、あなたの後援会ですよね?あなたが政治活動をやめたときはどうする予定ですか?
(小沢元代表)今、辞めたときのことは答えようがありませんが、第一線を引いたあとには若い人たちのためにできることを全力で支援したいと考えています。
小沢氏裁判(22)法律を巡って
NHKニュース1月11日 20時3分
(指定弁護士)政治資金規正法についてお聞きします。法律があることはご存じですか?
(小沢元代表)はい。
(指定弁護士)政治団体の代表者は、相当の注意を払うことが前提とされている。代表者は会計責任者の選任について、相当な注意を払うべきだとされているが、あなたは相当な注意を払ったのですか?
(小沢元代表)逐条まで読んでいるわけではありませんけど、質問に対するお答えとしては、秘書がそれぞれ能力があると思っていますが、たまたま会計責任者というものでなくて、さらにその業務をやる者たちもしっかりやってくれるものと信じて頼んでいます。池田は学生のころから私のそばにいましたし、大久保は地元で政治活動をやって私のところに来た人。これらについてはずっと見ているので、人物、間違いないと評価しておりました。
(指定弁護士)次に秘書との関係について。秘書の裁量で行わせ、報告や了承はなかったということか?
(小沢元代表)はい。
(指定弁護士)大久保さんは被告人供述で、土地の売買が行われ石川さんが報告をしたと言っていて、あなたの供述と食い違っている。聞いたことがありますか?
(小沢元代表)それは聞いておりませんから何と言ったか分からないが、聞いてないと思います。
(指定弁護士)4億円、現金で石川さんに渡した4億円について聞きます。いざというとき、緊急に対応できるためだった?
(小沢元代表)それも大きな理由の一つです。
(指定弁護士)本件の土地の売買で、4億円を用立てると言ったのは、石川さん、大久保さんの証言から見ると平成19年9月のこと。実際に渡したのが10月11日ころ?日数が空いていますが?
(小沢元代表)私はが9月に言ったかどうか記憶にありませんが、用立てるという趣旨のことは言いました。現実、用立てた。いつ必要かどうかは担当の者が連絡するという話だと思いますけど、今言うことが事実だとしても、別におかしいことではないんじゃないでしょうか。
(指定弁護士)10月5日に売買契約の連絡があって、4億円を交付したのではないですか?(小沢元代表)いいえ。売買契約の報告は受けていないし、彼らも必要ないと思って自分の裁量でやっていたと思います。
(指定弁護士)10月11日ごろに4億円が必要になると担当者から連絡があったということですか?
(小沢元代表)そう申し上げていないつもりです。先生が言うのが、そのとおりだとしても、期日が空いても必要になれば、ごくごく当たり前のことです。
小沢氏裁判(23)土地について
1月11日 19時55分
(弁護士)書生というのは、現在の政治家にあっては珍しいことなのですか?
(小沢元代表)現在では珍しいことです。
(弁護士)書生というのは、多くを語らなくてもよいものなのでしょうか?
(小沢元代表)長年一緒にいるので、互いのかたぎ、気質も分かるので、いわゆることばでいう必要がない。一言で言えば、そんたくできる家族というか、僕から見れば子どもみたいなものだが、そういう気持ち。
(弁護士)秘書が毎朝、深沢に来て、ミーティングをしていたんですか?
(小沢元代表)はい。
(弁護士)秘書に任せている事務的な報告というのはミーティングではされるのですか?
(小沢元代表)個別の事務的なことは私の性格も知っているし、「おまえに任せた」と言った以上は余計な口出しはしませんでした。報告はほとんどなかったと思います。
(弁護士)これまでの証言によると、4億円の原資の基本は相続ということで、銀行口座の調査にも手をつけたけれど、はっきりしたのは湯島の土地と銀行の3億円の引き出しということだった。湯島について聞きますが、どのくらいの値で売却したんですか?
(小沢元代表)当時、不動産が上がっていたので、14億円か15億円くらいの値だと思います。
(弁護士)そのときに世田谷の土地も買っているが、こちらの購入価格はいくらでしたか?
(小沢元代表)これは、たまたまラッキーでしたが、当時はまだ価格が上がっていなかったので、坪200万円よりも安かった。少なくとも9億円前後だったと思います。
(弁護士)ということは単純に5億か6億円残ったということですか?
(小沢元代表)はい。
(弁護士)ほかにも不動産を持っていて売った事実はありますか?
(小沢元代表)現金と不動産を含めて親から相続したと言いましたが、湯島のほかにも都内の不動産を相続しています。しばらくして売却しました。
(弁護士)場所は?
(小沢元代表)上野広小路の松坂屋からちょっと上野駅よりの大通りに面した土地でした。
(弁護士)それはどのくらいの値で売れましたか?
(小沢元代表)40年以上も前のことなので、よく覚えていませんが、場所も場所なので当時でも1億円前後で売れたと思います。
(弁護士)3億円を引き出した日にほぼ同額を妻名義の口座に振り込んでいる、と検察官とのやりとりであったことは覚えていますか?
(小沢元代表)はい。
(弁護士)妻の口座の金が、その後どうなったと述べましたか?
(小沢元代表)それは記憶にありません。
(弁護士)妻名義の口座から平成10年7月3日に現金が出金されたとなっていますが?
(小沢元代表)確かその記録はあったかと思います。預金された3億円がまったくその金かどうかは分かりませんが。
(弁護士)銀行口座の金を、ときに現金で出金することはありましたか?
(小沢元代表)はい。
(弁護士)億というのはあまりないかもしれないが、1000万円単位とか100万円単位とかもあったのですか?
(小沢元代表)はい、時々引き出しておりました。
(弁護士)トータルでいくら引き出しましたか?
(小沢元代表)「日本改造計画」だけで8000万円くらいの印税があり、ほかにもいろいろ収入があって、引き出したのはおそらく倍以上、1億7000万円から8000万円くらいあったと記憶しています。
(弁護士)平成16年10月に4億円を用立てた際に小沢さんの各政治団体の手持ち資金が合計いくらあったか聞いたことはありますか?
(小沢元代表)それは聞きませんでした。全部かき集めると土地が買えるが、なくなると活動資金に支障をきたすということでした。
(弁護士)こちらですべて合算すると7億円くらいありますが、それは知らなかった?
(小沢元代表)まったくそのことは知りませんでした。法廷で7億円という数字を聞いてとまどったくらいでした。
(弁護士)石川さんが約束手形と融資申込書を持ってきてサインを求めたと思うが、約束手形はすぐに分かった?
(小沢元代表)はい。
(弁護士)融資申込書はサインする前に検討したか?
(小沢元代表)たぶん見ていなかった。手形はパッと見て分かるが、もう一方は字面を追ってサインしたということはなかった。
(弁護士)石川さんに言われて用向きが分かったのでサインしたということ?
(小沢元代表)そうです。
(弁護士)確認書について平成22年1月23日の検察官調書では確認書の作成を指示していたとなっていて、深沢8丁目の土地の確認書も作成したはずですと言っているが、この発言の趣旨は?
(小沢元代表)もともと不動産の所有について、つまらぬ疑念を持たれてはいけないので、契約をきちんと政治団体で契約すること、そのうえ自主的に個人のものではないと念のために確認する書類を作っておけと前から言っておいたつもりで、その意味で確認書があればそれを提示するものだが、結果的に作っていなかったのでそれで作成した。
(弁護士)週刊文春の回答に「陸山会がためてきた資金」という表現があるが、それがそのことに関係してるんでしょうか?
(小沢元代表)そのために池田はそう解釈したのではないかと思います。
小沢氏裁判(24)調書の内容
1月11日 20時15分
(指定弁護士)確認書について、調書の記載を読んでいくと「作成したはずです」という答えのあと、確認書の写しを示し、調書の末尾に添付することとしたというのが入りました。その後、「この確認書は平成17年1月7日となっていますが、私の記憶では代金を払ってそんなに遠くない時期だったと思います」というのを記憶していませんか?
(小沢元代表)記憶にございません。
(指定弁護士)単に「はずだ」というだけではなく、調書の流れを見ると、あなたは示されたものを実際に見て、確認書の日付けは1月7日になっているけど、土地代金支払いからそう遠くない時期に作成したと思うと供述している。そのような供述の流れだったという記憶はありますか?
(小沢元代表)記憶にありません。私としては確認書は不動産購入の際に作っておけということでスタートしているので、「あった」という頭の中にそういう感覚があったのは事実です。
(指定弁護士)それは代金支払いの期日がいつだったという前提で?
(小沢元代表)分かりません。私が4億円を用立てたのは10月中旬ごろという話が検察官とのやりとりの中でも聞いていたので、金が必要だというのは代金決済のために必要だとの感覚は持っていたと思う。
(指定弁護士)検察官とのやりとりの中で、当時は確認書を作っていなくて、事務所費の公表前にそれがないことが分かって作った確認書だと分かっていましたか?
(小沢元代表)検察官とのやりとりのとき、確認書が深沢の土地については作ってなかったというのは記憶していたと思います。
(指定弁護士)確認書を作成するよう指示したのはいつですか?
(小沢元代表)分かりません。「作っておけ」「作っておこう」という会話だったと思います。
(指定弁護士)平成7年に最初に陸山会が不動産を購入したときではないのですか?
(小沢元代表)記憶にありません。
(指定弁護士)平成7年ごろに最初の不動産購入時に作成されたあとは確認書は作成されていないのですが、作成は事あるごとに指示していた?
(小沢元代表)事あるごとには指示していません。
⇒小沢一郎氏裁判 13回公判 《後》/(25)裁判官の質問~(29)裁判長、弁護士の質問
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〈来栖の独白2012/01/11 Wed.〉
当然のことながら、指定弁護士の努力にもかかわらず、「水谷」の文字は遠く、出てこない。
しかしながら、私は強い不安を禁じ得ない。
>現金を手元に置くのはずっと以前からそうしていました。4、5億円の現金が元赤坂にいつからあったかは分かりませんが、かなり前からあったと思います。
>4億はビニールパックであって、紙袋に詰めて渡したということだが、事務所の金庫には、紙袋に入った状態であったのですか?
>それは記憶しておりません。
>金庫から出してから紙袋に入れたのですか?
>ですから具体的な状況は記憶しておりません。紙袋であったのか、私が詰めたのか、明確な記憶はありません。
>金庫から億単位の金を出したことはないんですよね?それなのに具体的な記憶がないんですか?
>具体的な個別の記憶はありません。
>1億は10キロと重いものだが、紙袋に入れて新聞に見れなくするという作業を、どうして秘書にさせないんですか?
>四百数十万円の金利について・・・それが私個人の口座から・・・、この事件まで知りませんでした。
>平成19年に4億は返された?
>しばらくして返してもらったと思います。
>4億円を借りる書類だということは分かっていましたか?
>書類を正確に見たかどうかは分かりません。サインしろと言うからしたということだと思います。
これらの言葉に幾人の国民が共感するだろう。「国民の生活が第一。」とのフレーズが、私の胸に空疎に響く。4億円といえば巨額であるが、「4億円を借りる書類」について「書類を正確に見たかどうかは分かりません。サインしろと言うからした」と言う。
「私の関心事は天下国家のこと」と云いながら「1億は10キロと重いものだが、紙袋に入れて新聞に見れなくするという作業を、どうして秘書にさせないんですか?あなたは忙しいのに」との指定弁護士の質問に「私のプライベートな資金ですので、それについて秘書に金庫についても秘書にはさせておりませんでした」と答え、然るに、「土地を購入する際の四百数十万円の金利について・・・それが私個人の口座から出ていたというのも、この事件まで知りませんでした」などとも云う。
「疑惑」に関与していないとの主張に走りすぎて、破綻したか。裁判とは恐ろしい生きものだ。このような陥穽が待っている。
元々検察は小沢氏を有罪に持ち込みたかったわけではない。小沢一郎という政治家の政治生命を断てば、目的は達せられる。
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◆小沢一郎元代表の「暗黒人民裁判」は、実は「市民感覚=貧民感覚裁判」だった2012年01月12日
板垣 英憲(いたがき えいけん)「マスコミに出ない政治経済の裏話」
小沢一郎元代表の「暗黒人民裁判」は、1月10日、11日の被告人質問というクライマックスを終えた。
この裁判の最大の特徴は、大多数の下層民(貧乏人)が、富裕層(金持ち)を裁判にかけて糾弾する構図にあった。
それは、フランス革命の最中、ダントン、ロベスピエールなどの革命家が王族や富裕層を人民裁判にかけて糾弾し、どんどん有罪判決を下して断頭台に送った姿を彷彿とさせる。
小沢一郎元代表にとって、「4億円」は、「たかだか4億円」にすぎない。自民党幹事長時代、東京都心の大企業をグルッと回って、20億円~30億円を平気でかき集めてきていた。
当時、政治資金規正法には、いまのように厳しい規制条項はなく、政治資金収支報告書も、限りなく大ざっぱに記載するよう選挙管理委員会が指導していたくらいである。
この意味で、小沢一郎元代表自身が政治資金規正法の改正に関与しているうちに、「大ざっぱ」なことではできなくなったのは事実だ。
政治資金規正法が厳しくなったのは、1993年5月23日、自民党羽田派44人が離党し、新生党(羽田孜、小沢一郎代表幹事)を結成して以降のことである。
小沢一郎元代表は、「お金」に恵まれた人である。言い換えれば、「お金」がどんどん集まる運勢を持っている。親の資産はもとより、和子夫人の実家である「福田組」関係から集まる資金、大中小企業はもとより個人、あるいは多種団体からも勝手に資金が集まってくる。このほかにも、創価学会の池田大作名誉会長とは、英国など海外で資金運用をともにしていた時期もある。
ある時、不動産協会の役員が、私にこう明かしていた。
「役員2人で、小沢一郎さんの部屋に政治資金をもって行ったことがある。すると、秘書や事務所の人たちを全員部屋の外に出した。3000万円を入れた紙袋を手渡すと、中味を見ることなく、ただ一言『オッ』と言った。何かお言葉があると思ったが、それだけだったので、拍子抜けしたことがある」
そのとき私は、
「それは、現金をを受け取ったとか、お礼を言うとか何か会話を交わすと、あとで問題になったとき、お互いに都合悪くなる。不動産協会には、業界団体としての要望をきちんと実現することでお返ししていることだろう」
と解説をしたところ、納得していた。
この種の「お金」が湯水の如く集まってくるので、小沢一郎元代表本人には、「4億円程度のお金」は、決して大金ではなく、政治闘争、選挙活動の「軍資金」でしかない。私服をこやしてはおらず、ましてや、本人にしてみれば「4億円」の出入り内訳の詳細は、わからなくなっているはずである。つまり、いつ、だれからもらったお金であるかの区別はつかなくなっている。
本人にも説明できない「お金」であるから、部外の人にわかろうはずもない。
検事はもとより、今回の「暗黒人民裁判」で検察官役の指定弁護士も、「4億円」の中味について、具体的に不正を証明することも、出入りを証明することもできるわけがない。本人に聞いても、よくわからなくなっているので、説明が二転、三転するのは当然である。
ということは、この裁判は、限りなく疑いは濃厚でありながら、「疑わしきは、被告人の利益に」という大原則を適用せざるを得ない類のものである。