【インタビュー】「みこし」経営哲学で日本航空を再建した=稲盛名誉会長

2012-08-01 | 社会

【インタビュー】「みこし」経営哲学で日本航空を再建した=稲盛名誉会長
2012/7/30 19:07 WSJ Japan Real Time
 日本航空の稲盛和夫名誉会長(80)が2010年1月に日航の再建を指揮する立場に就いたとき、稲盛氏は航空事業の経験をまったく持ち合わせていなかった。
 しかし日本の多くの古い世代同様、ベテラン起業家の稲盛氏は外野から日航を十分に知り尽くしていた。それは決して常に好意的な意味ではなかったが、最初に日航機に搭乗した1950年代以降、一搭乗客として多くの時間を日航機のなかで過ごしてきたためだ。
 遠くに羽田空港が見える東京湾を望む本社ビルの24階でインタビューは行われた。地味なスーツに身を包んだ細身で白髪の稲盛氏は、日航の会長に就任した際の挨拶で、どんなメッセージを社員に伝えたかについて語った。メッセージはこうだ。なぜ同氏の一体化経営スタイルがどの企業でも通用するのか、なぜ西側諸国の経営システムがより「専制的」なのか――。
 以下はインタビューの抜粋。
Japan Real Time(JRT):会長に就任する前の日航への印象は。常連客だったのか。
稲盛氏:一般客がカウンターでまず会う人、それからキャビンアテンダントも全てがマニュアル通りといおうか、心がこもっていない。(顧客を)大事にしようとするものがなかった。日航に着任して第一声、私は日航が嫌いで最近は全く乗っていませんという声明を幹部社員にした。
JRT:まったく経験のない業種の経営にどうアプローチしたのか。
稲盛氏:全く業界のこと知らなかったため、ベーシックな考え方や哲学といったものを社員と一緒に共有しようと、京セラで作ってきたフィロソフィーを皆に伝えていった。これで見事に(日航は)復活した。
 私のスタイルというのは、全従業員が経営者と同じ気持ちになって、みんなで経営していくという生き方だ。日本のほかの企業でも非常に有効にこれは使えると思う。
 私は京セラという会社を27歳のときに始め、今日まで京セラは1兆2000億円の売り上げと、やはり1千数百億円の経常利益を上げられる会社で、53年間ただの一度も赤字決算をしたことがない会社として今でも続けられている。同時に今から二十数年前に作った第二電電という会社は現在はKDDIとなり、日本で2番目の通信会社として、これも大変立派な業績をあげている。
JRT:稲盛氏の経営哲学は他の産業や企業でも適応できるということだが、航空も含まれているか。
稲盛氏:これには条件がある。日航に着任し、最初にフィロソフィーを皆に伝えていく前提として、経営理念というものを作らねばならないと、幹部たちに話した。また、その経営理念は多くを書く必要はない、と。1つだけ、会社経営の目的というのは全従業員の物心両面の幸せを追求することにある、と。その一点に尽きる。株主のためでもなく、経営陣のためでもない。これは全従業員のためだ。(だからこれを経営理念の)冒頭に置いた。「皆さんが幸せになるための皆さんの会社です」と。
 全従業員を幸せにすることが会社の目的だ、という前提がなければ、フィロソフィーは有効に採用しないと思う。
JRT:西側諸国の経営方針と自身のマネジメントスタイルをどう比較するか。
稲盛氏:米国などの場合、会社経営の目的は株主価値を最大にすることだ。また、トップマネジメントも高いサラリーで契約し優秀な人を採用する。うまくいけばボーナスも出る。これだけの成果をあげてくれたら、(報酬を払う)という成果主義だ。だから従業員は経営の道具としてトップが考えることになる。
 私のスタイルはそういうものではない。全従業員が経営者と同じ気持ちになり、皆で経営していくという生き方だ。経営スタイルが全く違う。そういうスタイルに同調し、そのスタイルで経営されるなら、日本のほかの企業でも非常に有効に使えると思う。
 欧米のマネジメントシステムは、一部の人による専制主義のようだと思う。私のスタイルは民衆全体が関与してみんなで担ぐという「みこし」みたいなものだ。それは非常に幼稚な方法に見えるが、それで民衆がひとつになってくる。その代わり、1つの思想、1つのフィロソフィーで結集しなければならない。
 日本語では「一将功成りて万骨枯る」と言う。1人のトップだけが偉くなり、下のみんなが疲弊するという(意味だ)。
JRT:来年の退任に伴い、植木義晴氏を社長に起用したが、植木氏はパイロットとして35年間の経験はあるが、経営の経験はほとんどない。植木氏を選んだ理由は。
稲盛氏:植木社長を指名したのは、彼の人柄に焦点を置いてのことだ。彼はすばらしい人間性を持っている。トップになる人間というのはもちろん、業務に対する知識や経験が優れていないといけないが、同時になんといっても人物、人格というのが大事だ。そういうすばらしい人間性を秘めて持っているとみたわけだ。
 経営の舵取りについては心配はいらないと思っている。毎日、毎日の数字を見ていって企業経営の舵取りをして行くのだと十分今勉強している。
 問題は大所高所からいろんな判断をしなければならない局面だ。彼が判断に迷うときがあれば私に相談してくれるだろう、やめても相談してくれるのではないかと思っている。
記者:Kenneth Maxwell
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稲盛氏「民主には落胆」
日本経済新聞2011/2/8 21:22
 日本航空の稲盛和夫会長は8日、日本記者クラブでの記者会見で、民主党に対して「現在の体たらくには大変落胆している。こういうことのために支援してきたのではなかった」と苦言を呈した。「これでいろいろ起こって、再度、新しい政治(体制)になるのだと思う」とも述べ、政界再編の可能性に言及した。
 稲盛氏は野党時代から民主党を支援し、小沢一郎元代表の後ろ盾になった。小沢氏の処分問題などに愛想をつかしたとみられ「私ももう年なので、後は静観して見ていこうと思う」と語った。
 新日本製鉄と住友金属工業の合併方針についても触れ、「産業界は今こそ勇気を持って合従連衡に乗り出すべきだ」と強調。「経営者はぜひ小異を捨てて大同を採ってほしい」と説いていた。
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鳩山前総理・小沢民主元代表・稲盛京セラ名誉会長、会談2010-11-11 | 政治/検察/メディア/小沢一郎
 〈来栖の独白2010/11/11〉
 本日(2010/11/11)、中日新聞朝刊に以下の記事。小さい記事だが、日本の政治を誰が司る(掌る)べきなのか、自ずと明らかだ。稲盛氏のように、分かる人には、分かっている。
 “鳩山前総理大臣と小沢一郎元代表が京セラの稲盛名誉会長が10日夕、京都市内で会談した。
 稲盛氏は民主党を支援する代表的な財界人で、内閣の特別顧問も務める。鳩山、小沢両氏は4月にも稲盛氏の呼び掛けで会談している。”
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小沢政治待望輿論の広がり/マスメディアが意図的に編集した小沢像とは明らかに違う小沢がそこにいた  2010-11-08 | 政治/検察/メディア/小沢一郎


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