米山隆一新潟知事 数年前はバリバリの原発再稼働派だった 脱原発は「日本の自殺行為」とも 出馬表明後は突然の翻意

2016-10-22 | 政治

産経ニュース 2016.10.22 12:00更新
【原発最前線】新潟知事のいす勝ち取った米山隆一氏 数年前はバリバリの「原発再稼働派」だった!! 脱原発は「日本の自殺行為」とも
 東京電力柏崎刈羽原発(新潟県)の再稼働が最大の争点となった16日投開票の新潟県知事選。再稼働に慎重な姿勢をみせた無所属新人の医師、米山隆一氏(49)=共産、自由、社民推薦=が接戦を制したが、米山氏の過去の発言やブログなどの記述をたどると、「原則すべての原発を、再稼働すべきだ」などとしており、推進派だったことが伺える。何が米山氏を変えたのか-。
■一時は楽観的な空気漂った東電
 「泉田氏以上に、再稼働に厳しい姿勢で臨む可能性がある」
 選挙結果を受け、ある東電社員は、落胆した様子でそう語った。東電に厳しい姿勢で臨んでいた泉田裕彦知事(24日で任期満了)が、地元紙・新潟日報の報道を理由に出馬を見送ったことで、東電の中には一時、楽観的な空気も漂っていた。
 それだけに、「命と暮らしが守れない現状で原発再稼働を認めることはできない」と明言した米山氏の当選に落胆の色が隠せない。泉田氏ですら「福島第1原発事故を検証しない限り、再稼働については議論しない」と述べるにとどめ、再稼働の是非は明言していない。米山氏は「泉田路線の継承」を掲げて選挙戦を戦ったが、実際は泉田氏よりも一歩踏み込んだ発言をしているのだ。
■「すべて再稼働すべき」と主張も
 しかし、米山氏はもともと、原発を推進する発言を繰り返していた。
 米山氏は新潟県魚沼市出身。高校は名門・灘高校(神戸市)で、東京大医学部卒。医師で弁護士という異色の経歴を持つ。
 米山氏の過去のブログをさかのぼって主張を見ると、いかにも医師や弁護士らしい、論理的で冷静な視点で原発事故を捉え、持論を展開している。
 福島第1原発事故から1年ほど後の平成24年6月。消費増税を8%に引き上げる法案が衆院を通過すると、自身のブログで「次の課題は『原発再稼働』であり、ぜひ、原則すべての原発を、再稼働すべきと考えます」としている。
 その上で、福島第1原発については「あの地震で、津波で、原発は壊れたでしょうか?(中略)答えは『NO』です」と説明し「原発の安全性を高めるために早急に行うべきことは(中略)日本の英知を結集して地震でも津波でも喪失しない副電源を、全原発に設置することであると思われます」と課題を指摘している。
■極めつけは安倍首相への要請
 泉田路線の継承を掲げ、「福島第1原発事故の検証」を公約に掲げたが、4年前に自身で既に事故の総括をしているのだ。
 さらに、24年7月のブログでは、エネルギー問題に触れ「石油を使い続ける限り、石油がこの世から消滅する日は、必ず来ます。その時、資源のない日本で、安定して一定量のエネルギーを供給する手段は、現時点では原子力しかありません」とした上で、原発を手放すことは「日本の自殺行為に他ならない」と警鐘を鳴らしている。
 反原発デモに対しても厳しく、「デモ隊で非常に多く叫ばれていた『子供たちの未来に、原発はいない!』という言葉に、強い違和感を覚えます」(原文ママ)と切り捨てている。
 極めつけは同年12月に行った安倍晋三首相に対する要請だ。
 「僭越ながら私のように、『日本こそが世界で最も安全な原発を作って、世界のエネルギー事情をリードするんだ!』という夢を抱いているのなら、『本当は原発ゼロが望ましいのだが。』などというおためごかしを言わずに、正々堂々その夢を語り、実行の道筋をつけ、実現に邁進していただきたい」
■出馬表明後は突然の翻意
 しかし、今回の知事選への出馬表明後は言動が180度転換する。9月28日のブログでは「全く事故収束の目途がつかない現状を見て、私は意見を変えました」と宣言。出馬会見で意見を変えた理由を問われると「(福島第1原発事故後)たくさんの問題点が次々と出てきた。収束への努力は全力ですべきだが、そうとう技術的にも難しいと明らかになってきた」などとしたが、問題点の具体的な言及などはほとんどなく、考えが変わった時期も「分からない。次々といろんなことが起こってくる中で…」と曖昧な発言に終始した。
 選挙期間中の演説では原発事故の話の中で「この5年間に、福島では175人のお子さんに甲状腺がんが見つかりました」と繰り返し、あたかも全員が原発事故の影響で甲状腺がんになったかのような非科学的な主張を展開した。
 立候補の前後で発言を比べると、とても同一人物とは思えない。変わったのは発言だけではない。
■国政と知事の両選挙に5度挑戦
 米山氏は平成17年から計4回の国政選挙に出馬しているが、1、2回目の衆院選は自民党から、3回目の衆院選と4回目の参院選は日本維新の会からそれぞれ出馬。そして、今回の知事選は共産、自由、社民3党の推薦を受けた。所属・推薦政党も、自身の発言と同様にめまぐるしく変わっているのだ。
 過去の選挙は全て敗れており、国政から地方に戦いの場を移した5度目の挑戦でようやく勝利をつかみ取ったのが今回の選挙だった。「灘高→東大→医師→弁護士」と誰もがうらやむエリート街道を歩んできた米山氏だが、当選を勝ち取るまでは苦労の連続だったのだ。 
 こうした姿を見てきた県民からは「政治家としての信念が感じられない」という声も上がっている。
 新潟大の田村秀(しげる)教授(地方自治)もその一人で、「ああいうタイプは東大に時々いる。頭はいいが競争することが目的で、何をしたいというのがないので、医師や弁護士などの資格を次々と取る。今回も政治家になるのが目的なのだろう。だから、平気で政党をころころ変えたり、発言も180度変えられる」と指摘する。
 原発以外の政策についても、環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)や消費増税にも以前は、積極的な発言が散見される。いずれも、今回の選挙で推薦を受けた共産党や社民党などの政策とは食い違う。
 過去の発言との矛盾や、言葉の軽さは政治家にとって命取りとなる。知事就任後は、その政治信念と手腕が問われることになる。

 ◎上記事は[産経新聞]からの転載・引用です
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新潟知事選で野党候補勝利も変わらないエネ政策 首相の解散戦略に影響もせず
zakzak 2016.10.21 連載:「日本」の解き方
 新潟県知事選では与党候補が敗れ、野党が擁立し、原発再稼働に慎重な立場を取る米山隆一氏が当選した。今後のエネルギー政策や、安倍晋三首相の解散戦略にどのような影響が出るのだろうか。
 結論から言えば影響は出ない。ともに国の政策なので、地方選で左右されるものではないからだ。
 まずエネルギー政策であるが、たしかに新潟県知事選では、東京電力柏崎刈羽原発の再稼働問題が争点となり、県民の過半が再稼働に慎重なので、米山氏に風が一気に吹いた。
 もっとも、菅義偉官房長官が記者会見でも明らかにしたように、柏崎刈羽原発の再稼働は「何よりも安全が最優先だ。原子力規制委員会で新規制基準に適合すると認められた場合のみ、地元の理解をいただきながら、再稼働をしていく」との政府方針は変わっていない。
 原子力行政について、与党と野党との政策の差は、実はあまりない。ほとんどの政党は「脱原発」という方向性は同じで、そのスピードに差がある程度だ。
 先の参院選での公約を見ても、自民党は原発依存度を下げ、安全性の確保を前提として原子力規制委員会に認められたものを立地自治体の理解を得て再稼働を進めるという立場だ。
 民進党は「脱原発」だが「原発即ゼロ」とは言わない。
 公明党は原発新設を認めず、原発ゼロを目指すが再稼働については自民と同じ。日本維新の会は「原発フェードアウト」、共産党や生活の党などは「原発即ゼロ」という具合だ。
 米山氏はどういう考え方なのだろうか。米山氏は10年ほど前に政界に入ったが、当初は自民党だった。その後、維新に移り、維新が民進党に吸収され、今回は無所属での出馬だった。維新は脱原発の方向であるが、原発即ゼロという立場ではなく、民進も原発即ゼロでない。
 原発即ゼロでない限り、再稼働は、安全確保の上で原子力規制委員会が認めたものを地元自治体の理解を得て行うという政府方針と大差ない「慎重判断」になるはずだ。
 新潟県の場合、前任の泉田裕彦氏は再稼働に慎重で、県の「技術委員会」もあり、福島第1原発事故を独自に検証している。泉田氏は「福島事故の検証と総括なしには再稼働の議論はしない」という立場で、米山氏もそれを踏襲すると思われる。
 そうした科学的見地からの意見が出てくるのは県民のために望ましいことだ。それらが県の見解となって、政府判断における「地元の理解」を形成するのだろう。
 衆院解散であるが、これは安倍首相の専権事項である。安倍首相自身が国会において「ない」と否定した。そもそも地方固有の話と国政は別物だ。そして繰り返すが、米山氏が原発即ゼロでない限り、再稼働に慎重という意味では与党方針と大差はない。
 新潟県知事選で与党候補は、こうした「慎重判断」の流れを理解しないまま、県民に支持されていた泉田県政を批判したことで、昔ながらの行政をすると見切られて敗北したのだろう。 (元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)

 ◎上記事は[zakzak]からの転載・引用です
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柏崎刈羽原発 再稼働に慎重な米山隆一氏が県知事当選2016/10/16 知事に原発を止める法的権限はないが
新潟県知事選 2016/10/16 初当選 米山隆一氏「柏崎刈羽原発の再稼働、県民の命や暮らしが守れない現状において認められない」 
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