〈来栖の独白 2020.9.10 Thu〉
久坂部羊氏の作品『悪医』を読んでいる。加賀乙彦さんとか、昔から医師であり小説家という人の作品を楽しんできたが、久坂部氏も然り。面白い。久坂部氏を知ったのは、つい最近のALS安楽死事件がきっかけ。久坂部氏が意見を述べておられ、目を引かれた。
* インタビュー連載「安楽死を問う」②安楽死の依頼に応えられなかった医師の思い 患者に「生きろ」、「死ね」より残酷なことも 作家の久坂部羊さん
『悪医』
朝日新聞出版 2013/11/7
●第3回日本医療小説大賞受賞作
「悪い医者とは?」を問いかける感動の医療長編小説。 がん治療の拠点病院で、52歳の胃がん患者の小仲辰郎はがんが再発したあと、外科医の森川良生医師より「これ以上、治療の余地がありません」と告げられた。「私にすれば、死ねと言われたのも同然」と、小仲は衝撃のあまり診察室を飛び出す。患者と医師の間の溝ははたして埋められるのか。がん治療に対する医師の本音と患者の希望は軋轢を生み、物語は運命のラストへと向かう。ひくにひけない命という一線を、患者と医師双方の切迫した事情が迫真のドラマを生み出す問題作。