目黒女児〈船戸結愛ちゃん〉虐待死事件 父親 雄大 被告人質問詳報 2019/10/4(8完)

2019-10-05 | 身体・生命犯 社会

目黒女児虐待死、父親被告人質問詳報(8完)元妻に涙声で「私のせいで本当に申し訳ない」 結愛ちゃんには「私が親になろうとしてごめんなさい」

2019/10/4(金) 19:54配信  産経新聞

  《東京都目黒区で昨年3月、船戸結愛(ゆあ)ちゃん=当時(5)=を虐待して死なせたとして、保護責任者遺棄致死などの罪に問われた父親の雄大被告(34)の裁判員裁判の第4回公判。雄大被告の父親が出廷し、事件について語った》
 父親「結愛ちゃんに大変申し訳なかったです。結愛ちゃんを助けられず、ごめんなさいという気持ちでいっぱいです」
 《雄大被告の実家は北海道にあるという。雄大被告の父親と結愛ちゃんは2度しか会ったことがなく、父親は結愛ちゃんが香川県の児童相談所に保護されていたことも事件の後に知ったという》
 父親「かかわりが薄かったと今、痛烈に感じています」
 《逮捕後、父親と雄大被告は約20回、手紙をやりとりした。全身全霊で反省するよう伝えると「申し訳ない」と返事があったという》
 弁護人「今後、雄大さんとどうかかわりますか」
 父親「刑務所に入ったら面会に行き、手紙をやりとりして、悩みを聞き、助言をします。やれることをやっていきたいです」
 弁護人「お話を聞いていると雄大さんとの関係が濃いものとは思えないが?」
 父親「血がつながった人間ですから、私がフォローしないと誰もフォローできないと思っています。刑期後も一緒に住むことを考えています」
 弁護人「雄大被告にはどうなってほしいですか」
 父親「反省し、今までと真逆の人になってほしいです。人を思いやり、迷惑をかけない、分かっているだろうということでなくて、何が必要か会話を通じてやっていきたいです」
 《公判は20分間の休廷を挟んで再開した。雄大被告は指を組んだ姿勢で入廷。弁護人と短く言葉を交わし、刑務官に挟まれて席に着いた》
 裁判長「ここからは一般情状に関する事件の質問をしていきます」
 雄大被告「はい」
 《弁護人が質問を始める》
 弁護人「自身では、なんで事件を起こしたと考えていますか」
 雄大被告「自分の中で明確にできていません。自分1人の責任ということしか分からないです」
 弁護人「どんなところに責任がありますか」
 雄大被告「エゴが強すぎて、それを誰かに押しつけてしまうというところです」
 弁護人「裁判でもエゴという言葉が繰り返し出ていますが、かみ砕いて教えてください」
 雄大被告「自分の理想に対して、そうしたいと思ったら、そうしてしまうことです」
 弁護人「理想と現実の乖離(かいり)があったということですが、それは香川でも東京でもありましたか」
 雄大被告「ありました」
 弁護人「それをどう考えていましたか」
 雄大被告「あきらめずに何かしら頑張っていこう、という感じです」
 弁護人「虐待は理想から遠ざかる行為ではなかったのですか」
 雄大被告「はい」
 弁護人「今は『はい』と答えていますが、当時はどうしてそう思えなかったのですか」
 雄大被告「遠ざかっていると思いつつ、どうしたらいいか分からなかったです」
 弁護人「外から虐待を止めるチャンスもあったと思います。児相や警察、家族などから」
 雄大被告「私が周囲のアドバイスを素直に受け入れる気持ちがなかったです」
 弁護人「どうしてそう思ったのですか」
 雄大被告「自分の気持ちを分かってくれない、心を開けなかったということです」
 弁護人「(元妻の)優里さんとも昨日、話しましたよね?」
 雄大被告「はい」
 弁護人「(優里さんが)証人として連れてこられてどう思いましたか」
 《再開後、よどみなく質問に答えていた雄大被告だったが、優里被告の話になると、涙声に変わった》
 雄大被告「私のせいで本当に申し訳ないと思います」
 弁護人「彼女が罪に問われていることはどう思いますか」
 雄大被告「私のせいなので、申し訳ないと思っています」
 弁護人「(優里さんから)『かかわらないでほしい』という発言もありました。どういう思いで聞いていましたか」
 雄大被告「心苦しいですが、それに従うべきだと思います」
 弁護人「今日はお父さんも話しました。どんな気持ちですか」
 雄大被告「私みたいな人間の父親で申し訳ないと思います」
 弁護人「法廷に来てくれたことに対しては?」
 雄大被告「体調が悪いと思いますが、父が来てくれてよかったなと思います」
 《弁護人の質問が結愛さんに及ぶと、雄大被告がはなをすする音がさらに頻繁に法廷に響く》
 弁護人「これから残りの時間で結愛さんのことを聞いていきます」
 雄大被告「はい」
 弁護人「どんな子か紹介してください」
 雄大被告「確かに事件においては悪い感情もありましたが、いいところもいっぱいありました。裁判で語られていないので、関係ないとは思いますが、話をさせていただきたい」
 弁護人「どんなところがいいところですか」
 雄大被告「私と出会ってすぐ、教えていないのに1人でトイレ掃除をしていました。誰かに言われてやっているのかと思ったら、1人でやっていて、3歳なのにすごいと。『何してるの?』と聞いたら、実家にいるときにママかおばあちゃんのまねをしてやったと。すばらしい子だと思いました。洗濯物をたたむのも誰かのを見てまねして、ひょうきんで明るくて、いっぱい、いいところがありました。私に対し、仲直りのきっかけをいくつも与えてくれたのに、私が気づかなかった。見過ごしてしまって申し訳ないです」
 弁護人「自分の娘さんになったときにプレッシャーは感じましたか」
 雄大被告「なくはなかったと思います」
 弁護人「怒りや悲しみはたくさん法廷に出てきましたが、結愛さんを褒めたことはありましたか」
 雄大被告「全くなくはないですが、照れくさかったのもあります。自分があれをしろ、これをしろと言うことが多くて、それを褒めるというのも違うなと。積極的に褒められませんでした」
 弁護人「午前中に検察官にも聞かれましたが、東京で結愛さんはどんな気持ちだったと思いますか」
 雄大被告「私が言葉で言い表わせられない悲しみの中にいたと思います」
 弁護人「結愛さんはあなたの行為で命を落としました。今後できることは?」
 雄大被告「今すぐに何かできるか、今日に至るまで考えましたが、はっきりこれだとは言い難いです」
 弁護人「警察の聴取では、どんなアドバイスがありましたか」
 雄大被告「『お前の残りの人生でできることは少ないから、食事の時に1日3回は心を込めて手を合わせろ』とアドバイスがありました。実践します」
 弁護人「どういうことに悩んでいますか」
 雄大被告「具体的に結愛に対して私が何ができるかが一番大きいです。今回の事件で人生が変わってしまった人がいっぱいいます。考えていかなきゃいけない」
 弁護人「最後の質問です。結愛さんに対してどういう気持ちですか」
 《雄大被告は即答できず、何度もはなをすすりあげる》
 雄大被告「私が親になろうとして、ごめんなさいという気持ちです」
 弁護人「他にはよろしいですか」
 雄大被告「はい」
 弁護人「質問を終わります」
 《雄大被告はポケットから白いタオルハンカチを取り出し、目と鼻を押さえ続ける。続いて検察官の質問が始まった》
 検察官「まだなんで事件を起こしたのか、分からないということですか」
 雄大被告「分からないというより、言葉でうまく説明できません。アドバイスを理解できつつありますが、吸収できたかは分かりません」
 《雄大被告のはなをすする音がやまず、裁判長がティッシュではなをかむよう促す》
 検察官「(結愛ちゃんが書いた)手紙やメモ、体重13・3キロと書かれた紙は、事件当時読んだ記憶がありますか」
 雄大被告「見た記憶が定かではありません」
 検察官「証拠調べで読む機会はあったでしょう」
 雄大被告「あったと思います」
 検察官「どう思いますか」
 雄大被告「あの子の悲しみ、心の痛みはあれでは語り尽くせていないと思います。私の意向に沿うように、無理やり書かせてしまって申し訳ないです」
 検察官「あの文章のどこに悲しみを感じたのですか」
 雄大被告「私の機嫌を取るために無理やりに書かされた印象を受けました。悲しい、情けないという感情です」
 検察官「特にどの部分ですか」
 雄大被告「基本的に全部といった方が分かりやすいと思います」
 《検察官は質問を終えた。続いて逮捕当日に作成された雄大被告の供述調書の証拠採用をめぐるやり取りが行われた。20分間の休廷を挟み、雄大被告に対する裁判員からの質問が始まった。裁判員は東京へ引っ越すまでの経緯を質問。雄大被告は、香川県では冷凍食品会社の社内SEの仕事をしていたこと、東京では別の業界に移りたいと思っていたことなどを答えていく》
 裁判員「東京に出ようとしたとした動機は?」
 雄大被告「2度ほどそういう話が持ち上がりました。優里さんが『香川から出てみたい』と言ったが、動機が納得できないものだったので、いったん却下しました。自分が東京に長く住んでいたので、当時住んでいた地域は全体的に住みよく、住めたらいいなという思いがありました。優里さんや子供たちのサポートを東京の方ができるのではと思いました」
 《時々言葉を言い直す場面もあったが、雄大被告は落ち着いた様子で質問に答えていた。裁判員の質問が終わり、閉廷。雄大被告はゆっくり立ち上がり一礼して退廷した。次回公判は7日、論告求刑が行われる予定だ》

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 最終更新:10/4(金) 20:44 産経新聞 

 ◎上記事は[Yahoo!JAPAN ニュース]からの転載・引用です


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