産経WEST 2015.6.26 10:17更新
神戸事件、「社会で生きようとしている」と「絶歌」読んだ元付添人弁護士 「遺族の気持ち分かっていない」とも
神戸市の連続児童殺傷事件の少年審判で加害男性の付添人を務めた野口善国弁護士(兵庫県弁護士会)が26日までに共同通信の取材に応じ、男性が出版した手記「絶歌」の内容について「事件当時に比べ、彼は百八十度近く変わっている。社会の中で生きようとしている」と印象を語った。
社会で生きていく上での常識や相手への理解力に関し「100点満点とするなら今は50点ぐらい。でも事件当時は5~10点ぐらいだった」と振り返った。「医療少年院で職員が親身になり、サポーターが支援したからここまで回復できた」と更生を疑問視する意見を否定した。
事件当時、加害男性は生きる意欲がなく、自分の命の価値も分かっていなかったという。「今は社会の中で生きようとしている。自分の命の大事さに気付いたなら人の命も大事になる。大きな進歩だ」と評価した。
一方、遺族に無断で手記を出版した点は「まだ遺族の気持ちが分かっていない。分かっていたら出版しなかっただろう。だから50点と考えた」と述べた。
野口弁護士は「事件当時のままの彼がいるわけではない。反省していない、0点のままだ、という見方で少年法や処分の在り方を考えるのは間違っている」と指摘した。
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