今市女児殺害 第7回公判2016/3/9 検察側証人検事、勝又拓哉被告に「8年間も自首せず、隠し続けただろう」

2016-03-11 | 死刑/重刑/生命犯

 産経ニュース 2016.3.10 11:39更新
【栃木女児殺害公判】被告と検事が、殺人自白した取り調べの主張で食い違う
 平成17年に起きた今市市(現日光市)の小1女児殺害事件で、殺人罪に問われた勝又拓哉被告(33)は9日、宇都宮地裁(松原里美裁判長)で開かれた第7回公判の被告人質問で、初めて殺害を自白したとされる取り調べについて「殺していないと話すと、検事に怒鳴られ、否認できなくなった」と述べた。
 争点となっている自白の任意性をめぐり被告人質問が行われ、弁護側は、被害者、吉田有希ちゃん=当時(7)=の殺害を勝又被告が自白したとされる26年2月18日の取り調べについて尋ねた。被告は否認したが、「(検事が)書類を机にたたきつけ、怒鳴っていた。怖くて頭が真っ白になった」と証言。パニックになり、自白を認める供述調書にサインしたとした。
 午後に検察側証人として出廷した男性検事も26年2月18日の取り調べについて証言。「殺人について聞くと、被告はガタガタ震え始めて動揺した」と説明し、「人を殺したことあるよね」と問うと、勝又被告は呼吸を荒らげ、むせび泣いたと振り返り、「もし殺していないのなら、あんな態度は取らないと思った」と述べた。さらに、供述調書の署名を強要したり、書類を机にたたきつけたりするなどの威圧的な取り調べはなかったとし、当事者同士の説明は大きく食い違った。
 ただ、男性検事は弁護人の質問に、被告に「8年間も自首せず、隠し続けただろう」「自分のことがかわいくてしようがないのか。すごいやつだな、お前は」と述べたことは認めた。
 また、同年3月、額に傷を負ったことについて勝又被告は「殺していませんと言ったら刑事にビンタされ、頭から壁にぶつかった」と証言。抗議したら取り調べが厳しくなると思い、検事に言わなかったとしたのに対し、男性検事は「その日午前、警察の調べ中に自傷行為に及んだと報告を受けていた」と述べ、被告の主張を否定した。
 10日の公判では、取り調べの録音・録画が再生される。
 《自白に関する被告人質問で、平成26年2月18日の取り調べなどについての弁護人と勝又拓哉被告の主なやり取りは次の通り》
--2月18日午前、検事に「人を殺したこと、あるでしょ」や「君にしか考えられない事件がある」と言われて、どうした
 「『殺してません』と答えた。『殺したこと、あるでしょ』『ないです』と2、3回繰り返すと、検事は怒り始めた。『いいかげんにしないと家族に迷惑がかかるぞ。大変なことになるぞ』と言われた。声は大きく、怒鳴られた。机の上の書類をバンと音を立てて勢いよくたたきつけた」
--被告はどうなった
 「怖くて縮み上がった。事件が何のことか分からなかったけれど、何の事件なのか考え始めた。頭が混乱してパニックになった。けれど、『していない』というと怒られるから、それも言えなくなった」
--考えて、「事件」とは何か分かったか
 「以前、家に刑事が来た今市事件のことかなと」
--2月18日の夕方の取り調べは録音・録画がされていたのを知ってるか
 「あ、はい」
--午前と夕方で検事の態度は変わったか
 「優しくなった」
 《一方、証人として出廷した男性検事は、検察官の尋問に、威圧的な取り調べはなかったと証言した》
--黙秘権は告知したか
 「毎回した」
--2月18日の取り調べは?
 「この日も『言いたくないことは言わなくていい。黙秘権があるから』と告知したら、うなずいていた。(商標法違反事件の取り調べ中は)落ち着いた様子」
--今市事件を想定していたか
 「はい。どういう反応をするか勘を取ろうと『人、殺したことある?』と聴くと、『えっ』と言って目を宙に泳がせた。質問を続けると、ガタガタと震え始め、動揺していた。商標法違反事件とは違う反応で、『何でそんなに動揺しているの』と聴くと、『やってない』みたいなことを言った。『殺してないなら何でそんなふうになったの』と聴くと、『あーっ』と声を上げ、むせび泣いた」
--その後は
 「なぜ事件を起こしたのか聴いた。『大沢小近くで誘拐したのか』と聴いたが、なかなか答えなかったり黙ったりしていた。遺体に殴られた痕があったので『殴って拉致したのか』と聴くと、首を振って『それはしていない』と。『凶器を捨てた』というのは被告から。『刃物で刺して殺したのか』は私の方で誘導したが、うなずいていた。聴いた内容をまとめ、事務官がパソコンに打ち込んだ。2枚くらいになったものを被告の机に置いて示した」
--被告は調書を読んでいたか
 「ゆっくり読んでいた。間違いないか確認すると、うなずいていた。署名するまでにひと呼吸あった」
--早く署名しろと迫ったことは
 「ないです」
--ファイルをたたく、怒鳴ることは
 「ないです」

 ◎上記事は[産経新聞]からの転載・引用です *強調(太字・着色)は来栖
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