『廃用身』で、止まった。 〈来栖の独白 2020.9.30〉

2020-09-30 | 日録

〈来栖の独白 2020.9.30 Wed〉
  このところ、夢中(?)で日下部羊氏の著書を読んできた。が、『廃用身』で、止まった。ついていけない。生身の体、手足を「廃用身」とは。切り捨てるとは。無惨にすぎる。
 やはり、加賀乙彦氏、帚木蓬生氏といった精神科医とは景色を異にする。小説としても、私には入れない世界だ。

久坂部羊のお仕事

 


  

『廃用身』日下部羊著 幻冬舎文庫

 (抜粋転写)
p11

  まえがき

 「廃用身」という言葉をご存じでしょうか。
 介護の現場で使われる医学用語で、脳梗塞などの麻痺で回復の見込みがない手足のことです。
 わたしがはじめてこの言葉を聞いたのは、クリニックの理学療法室でした。ある患者のリハビリについて、理学療法士からこんな相談を受けたのです。
「先生、Kさんのリハビリをちょっと減らすように、本人に言ってもらえませんか」
 その患者Rさん(76歳)は、脊髄出血で下半身が完全に麻痺していました。それでもなんとか自分の足で歩きたくて、人いちばい熱心にリハビリに取り組んでいたのです。ところが、理学療法士から見れば、麻痺の回復は絶望的で、リハビリはほとんど気休めにしか過ぎませんでした。
 熱心な理学療法士の中には、見込みのないリハビリに時間を割くより、将来性のある患者に時間を使いたいと思う人が少なくありません。


久坂部羊著『神の手』(上)(下)、読了 2020.9.27
久坂部羊『悪医』読了 『神の手』(下)・『芥川症』注文 2020.9.14
「安楽死を問う」②安楽死の依頼に応えられなかった医師の思い 患者に「生きろ」、「死ね」より残酷なことも 作家の久坂部羊さん
.......


コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。