国が原発周辺住民に電気料金を一部肩代わりする「電源地域振興センター」 職員の半数、電力会社から出向

2011-09-08 | 政治

職員の半数、電力会社から出向 原発立地振興の財団法人
中日新聞2011年9月8日 09時02分
 原発が立地する周辺地域に電気代の一部を給付する業務を財団法人「電源地域振興センター」(東京都)が独占してきた問題で、同センターの職員の約半数は、電力会社からの出向者で占められていることが分かった。出向者の給与も電力各社が負担していた。公益法人でありながら、電力業界寄りともいえるセンターの体質が浮かび上がった。
 電源地域振興センターは、本紙の取材に対し、37人の職員(2011年3月現在)のうち、18人が東京電力や中部電力など電力会社11社からの出向者ということを明らかにした。
 直接雇用されているのは全職員の半分以下の16人で、残る3人は立地自治体からの出向者。センターは「どこの自治体から出向しているかは答えられない」と話した。
 3人いる常勤役員のうち一人は、関西電力からの出向者で、報酬は同社が負担。他の2人はともに経済産業省OBで、理事長は元中小企業庁長官の新(あたらし)欣樹(きんじゅ)氏、理事は元中部経済産業局電力・ガス事業北陸支局長の笠原彰氏。年間報酬の規定上限は、理事長が1900万円、理事が1550万円となっている。
 人件費のほか、電力各社はセンターに年会費も納めている。東芝や日立など原子炉メーカーなども支払っており、年会費の合計は1億1478万円(10年度)とセンターの重要な収入源になっている。
 本紙の取材に、東電は「出向目的は立地対策や地域振興のノウハウを得るためで、給与の契約はコメントできない」と話している。
 職員も収入も電力会社頼みの状況にセンターは「人件費をかけない分、立地自治体に提供するサービスを充実できる。電力業界寄りの仕事は一切していない」と強調している。
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国が原発周辺住民や企業に給付金を支払い、電気料金を一部肩代わりする「原子力立地給付金交付事業」2011-09-07 | 地震/原発 

  

 天下り団体が独占受注 原発立地の電気料金割引業務
中日新聞2011年9月7日 08時50分
 原発が立地する地域への電気料金の割引事業をめぐり、経済産業省OBが4代続けて理事長を務める財団法人が、割引分の現金を各世帯などに給付する業務を事実上、独占的に受注していることが分かった。経産省などが通達や給付金の運用規則で財団に半ばお墨付きを与えていた。地域振興を名目に国から交付された原発マネーが、特定の天下り団体に流れ込んでいる。
 この財団法人は電源地域振興センター(東京都)。自治体から業務を受注した後、実際の業務は電力会社に丸投げし、2010年度には、計約3800万円(決算額)を得ていた。
 割引制度は、国が地方自治体に給付金を交付した後、自治体がセンターに補助金として支出する。10年度は、北海道や福井、静岡、滋賀など原発が立地したり隣接する15道県に計約210億円が交付され、センターが住民への支払い業務のすべてを受注。給付金の計算や住民らへの現金振り込みなどの実務は、電力会社が行っていた。
 経産省などは04年に定めた運用規則で、給付業務の主体を原発設置の円滑化に資する事業を行う公益法人などに限定。それ以前も、センター設立直後の1990年から、原則としてセンターを活用するよう各自治体に通達を出していた。通達は2005年に廃止されたが、同様の業務を行う公益法人は他になく、事実上の独占が続いている。
 経産省資源エネルギー庁電源地域整備室は「今はどの団体を選ぶかは各自治体の裁量に任せている」と説明する。しかし、原発立地県の担当者からは「慣例としてお願いせざるをえない」との声が出ている。
 センター理事長で、元中小企業庁長官の新(あたらし)欣樹(きんじゅ)氏は「電力会社がちゃんとやっているかどうかをみたりしている。(業務の)丸投げじゃない」と説明している。
 ■電気料金の割引制度 正式名称は「原子力立地給付金交付事業」で、地域振興を名目に自治体に対して行う立地対策の一つ。国が原発の設備能力などに応じて、周辺地域の住民や企業に給付金を支払い、電気料金の一部を肩代わりする。2010年度は105万世帯の家庭と企業が割引対象となった。東京電力柏崎刈羽原発が立地する新潟県では、原発周辺の住民に年間約9500~1万9000円が給付される。
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「原子力」天下り 結ぶ 「原子力村」霞が関一帯に密集2011-07-16 | 地震/原発


 
 中日新聞 特報 2011/05/18 Wed.
 連休の谷間に当たる今月2日、経済産業省は幹部OBの電力会社への再就職状況を公表した。過去50年に68人。これはこれで驚くべき数字だが、調べてみると、電力会社のほかにも、原子力関連の公益法人や独立行政法人への「天下り」の実態が分かった。電力会社に中央省庁、そして関連の公的な法人。一覧にすると、都心に根付いた「原子力村」の存在が浮かび上がってくる。(篠ケ瀬祐司)

関係17団体に36人 経産・文科省出身者目立つ
 本紙が、原子力行政に携わる経産省と文部科学省が受け持つ公益法人を中心に、原子力や放射線に関連する29の公益法人や独立行政法人をピックアップし、これらの団体の監事以上の役員について経歴を調べたところ、官僚のOBは17団体に36人(うち非常勤15人)いた。
 目立つのは、両省の出身者。東京電力福島第1原発の事故以来、有名になった原子力安全・保安院の元幹部や、原子力安全委員会の事務局を経験した人もいる。
 こうした団体の業務内容をチェックした。財団法人「日本立地センター」(東京)は原発や核燃料サイクル施設などの建設のため、地域住民らに広報する団体。同じく「原子力安全技術センター」(同)は、試算結果の公表遅れが問題となった放射性物質の拡散予測システム「SPEEDI」を運用する。
 いつものことだが、こうした法人に再就職した官僚OBはどの程度の報酬を手にしているのか。
 発展途上国の原子力導入に関する技術協力を行う社団法人「海外電力調査会」(東京)の専務理事の報酬年額は、上限で約2千90万円まで認められている。
 この団体の2009年度の事業収入約14億4千万円の8割ほどは、東京電力など全国の電力10社と、電源開発、日本原子力発電の会費・分担金が占めている。
*高給の原資に電気料や税金
 電力会社を支えているのは市民らの電気料金。その1部が官僚OBの高給の原資にも使われていることになる。
 原子力施設での核燃料物質の分析などを担う財団法人「核物質管理センター」(東京)の専務理事の報酬年額は約千5百万円。09年度事業収入のうち、9割以上は国からの事業だ。官僚OB役員の報酬を市民の税金が支える仕組みだ。
 原子力施設の検査や原発設計などの安全性を評価するという独立行政法人「原子力安全基盤機構」(東京)。公開されている09年度の理事長の報酬は年額で約千9百万円。原発など発電施設のある地域の振興を事業内容とする財団法人「電源地域振興センター」(同)の理事長報酬も年額千9百万円(上限)だ。
 こうした実態に対し、政界からも厳しい目が向けられている。
 衆院で経産省OBの電力会社への再就職を追及した塩川鉄也衆院議員(共産)は「電力業界本位の原発政策推進の見返りに、経産省官僚が電力会社に天下っている。この構造は電力会社を頂点に広範な関係団体への天下りで成り立っている。関係団体への天下りも禁止し、産官の癒着構造を断ち切るべきだ」と指摘する。
 ナトリウム漏れ事故などトラブル続きで休止中の高速増殖原型炉もんじゅ(福井県敦賀市)を設置した独立行政法人「日本原子力研究開発機構」(茨城県東海村)では、3人の官僚OBが役員を務める。機構側は「3人はいずれも専門家としての知見を期待され、公募で選ばれた」と説明する。
 同機構にはもう1人、文科省から現役出向中の役員がいる。こうした現役出向や公募をどう考えるか。
 公務員制度改革を掲げるみんなの党の山内康一衆院議員は「若手官僚の現役出向は現場経験を積ませる意義があるが、50代以降の官僚では事実上の勧奨退職(肩たたき)による天下りだ。公募でも、募集要件が官僚出身に有利になったり、募集側、応募者双方が行政を介して知り合いなら“原子力村”的ななれ合いが生じたりする可能性がある」と語る。
 「こうした『偽装現役出向』や『やらせ公募』がないか、チェックする必要がある」

  
霞が関一帯に密集
 「原子力村」とは、産・官・学が一体となって原子力行政を推進してきた体制を指すが、官僚OBの再就職を調べる過程で、中央省庁がある東京・霞が関近くに原子力関連団体が多く集まっていることに気付いた。
 原発事故での避難区域同様、経産省総合庁舎を中心に半径5百㍍の円を描いてみた。すると、官僚OBの役員がいない団体を含め、原子力関連の財団法人など3か所、電力会社の東京支社2か所がこの範囲に収まった。同省別館にある原子力安全・保安院はもちろん、文科省、原子力安全委員会もこの圏内だ。
 半径1㌔まで拡大すると、さらに3つの財団法人などがエリア内に入る。東京電力本店や、電力2社の東京支社、首相官邸や国会議事堂もこの「1㌔圏内」だ。
 中央省庁と関係団体の距離について、前述の山内氏は「原子力に携わってきた人たちは出身校が同じだったり、長年仕事での付き合いがあったりして、気心が知れていることが多い。そうした人たちが物理的に近接した『原子力村』にいると、癒着を生みやすい」と警鐘を鳴らす。
*物理的近さも癒着の一因に
 官僚OBが役員を務める場合は、特に注意が必要だとみる。山内氏は「“スープの冷めない距離”に事務所を置くと、簡単に現役官僚を呼び付けることができるし、自分も役所に乗り込みやすい。現役時代と同じ地域に勤め、同じようなメンバーと慣れ親しんだ店で飲食する。原子力村のやすらぎを覚える分、まだ権限があると錯覚しやすい」と、市民との距離を案じた

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原発問題の裏にある経産省・東電「天下り・利権の構図」/退職勧奨を受けた古賀茂明キャリア官僚VOL.1~3 2011-07-25 | 地震/原発


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