「元気な信徒の皆さんはミサに与らなくていい。ミサに与れない病人の所へ、司祭を連れて行きなさい」

2016-06-14 | 日録

〈来栖の独白〉
 私の所属する教会の信徒さんHさんが、ALSを患っておられるそうだ。Hさん一族は長崎の出身とか、昔聞いた記憶がある。Hさんは今、特養のデイサービスを週3回利用しておられるそうだ。大型の車椅子。Hさんのために介護職員1人の専従だそうだ。信仰に生かされておられるのだろうが、総てに周囲の手を借りる、周囲に気兼ねする生活。どんなに辛く苦しいだろう。
 神さまは、なんでこんな苛酷な人生をHさんに与えたか。可哀そうでならない。幼い頃より欠かしたことのない主日のミサも、おそらく家族は与ってもHさんは行けないことだろう。
 司祭や信徒の皆に云いたい。「神父さん、貴方は聖体をもって、Hさんの所へ行くべきだ。イエスは、そうされたではないか。イエスは、御自分を最も必要とする“小さくされた人々”の所へ、御自分から行かれたではないか」「主日に教会へ行ける元気な信徒の皆さん。あなたたちはミサに与らなくていい。小さく弱い人のところへ、司祭を連れて行きなさい」。

〈来栖の独白〉追記
 Hさんのご主人(旦那さん)は、Hさんの声で夜も、あまり眠れないそうだ。主日といっても、おそらくミサに与るどころではないのだろう。過酷な明け暮れだ。なんで神様は・・・。

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ALS岡部副会長、きょう参院委出席 障害者の声が届く国会に
 中日新聞 2016年5月23日 朝刊

   

   本紙のインタビューに対し、ヘルパーが持つ文字盤に視線を送って言葉を選ぶ日本ALS協会の岡部宏生副会長=東京都江東区で(中西祥子撮影)
  今月初旬の衆院厚生労働委員会に参考人として招かれながら、障害を理由に一転して出席を拒まれた筋萎縮性側索硬化症(ALS)患者の岡部宏生(ひろき)さん(58)が本紙のインタビューに応じ、「障害者の意見を広く聞く国会、ひいては社会になってほしい」と訴えた。発言の機会が一方的に奪われたことに憤ると同時に、今回の一件が障害者への差別撤廃に向けた契機になることに期待感も示した。岡部さんは二十三日午後、参院厚労委員会に参考人として出席する。
 岡部さんは、患者らでつくる日本ALS協会の副会長。人工呼吸器を付けており、会話にはヘルパーの介助がいる。衆院厚労委員会から障害者総合支援法改正案に関する今月十日の審議で意見を表明するよう要請されたが、与野党の調整が折り合わず、健常者の協会幹部が代わりに出席した。
 岡部さんは「私のコミュニケーション方法も含めて(参考人招致で)見てもらうことを望んだが、取り消しになった時はショックだった」と振り返った。与野党から出席拒否の理由として「質疑に時間がかかる」「体調が悪化する」などとする声が出たことに対しては「工夫があれば発言できるし、会議のために札幌の会議に日帰りで行くこともある」と反論。障害に関する与野党の認識不足を批判し、「驚きや怒り、悲しみを感じた」と述べた。
 さらに「世界に誇れる福祉制度を持つ日本の衆院厚労委に出席がかなわなかったことはALS患者だけではなく、障害者全体にかかわる問題だ」と指摘。四月に施行された障害者差別解消法が障害者への差別を禁じ、合理的な配慮を周囲に求めていることに触れ「差別解消法の精神を具体的な方法論に表すような国会、ひいては社会になってほしい」と望んだ。
 出席拒否を巡っては、岡部さんを参考人に推薦していた民進党は、与党が招致を認める条件として児童福祉法改正案の審議入りを求め、岡部さんを政治的な駆け引きの材料にしたと非難。自民党はこれを認めず、民進党が招致を取り下げたと反論していた。
 患者や支援団体などから批判が相次ぎ、渡辺博道・衆院厚労委員長(自民)は岡部さんと面会して謝罪。衆参両院議長も岡部さんと面談して要望を聞き、参院厚労委の参考人招致決定につながった。
<取材を終えて>1字ずつ文字盤で応答 所要2時間余り
 難病のALSを患う日本ALS協会副会長の岡部宏生さんへのインタビューは通訳となるヘルパーを介して行った。記者の質問を聞いた岡部さんは、目や口の微妙な動きで言葉をヘルパーに一文字ずつ伝える。ヘルパーが文章にし、回答を代読した。一問のやりとりに最長で十分程度の時間がかかることもあったが、本人と向き合ってこそ、伝わってくる意思を感じた。
 今回の取材は、岡部さんが神戸出張から東京に帰った二十日夜に行った。事前に質問内容を伝えた方がいいか確認したが、「必要ない」と返事があり、特別な準備はせずに臨んだ。岡部さんには「予断を持たずに来てほしい」との思いがあったのかもしれない。
 岡部さんは十年ほど前にALSを発症し、現在はベッドで寝たままの状態。会話する際には、五十音が書かれた文字盤の文字を目の動きで示し、ヘルパーが一文字ずつメモして文章に仕上げる。岡部さんが口の形で母音を指定し、「あ段」ならヘルパーが「あ、か、さ、た、な…」と順に読み上げ、岡部さんが目を閉じて文字を選ぶ方法もある。
 取材の冒頭では、カメラ撮影でフラッシュがまぶしすぎて、岡部さんが文字盤を読めなくなる失敗があり、不明を恥じた。やりとりに時間を要することに加え、岡部さんが途中で何回かたんの吸引を挟んだりするため、一時間ほどだと見込んだ取材時間は結局、二時間余りに及んだ。
 限られた時間でALS患者の真意を探る難しさも感じながら、岡部さんの考えに迫ろうと顔を注視した。岡部さんもヘルパーを見る時以外は、視線を向けてくれた。憤りを訴える時は目に力が入り、冗談にはほおを緩めた。こうした姿を多くの人が知り、病気や障害に対する理解が広がればいいと願う。 (我那覇圭)
 <筋萎縮性側索硬化症(ALS)> 全身の運動神経が侵されて筋肉が縮み、次第に動かなくなる難病。進行すると呼吸も難しくなる。脳の機能や目を動かす筋肉、視覚や聴覚に異常は生じにくい。原因不明で、今のところ根本的な治療法はない。10万人に1~2人の割合で発症する。2014年末の国内の患者数は約9900人。
 <障害者差別解消法> 2013年6月に成立し、今年4月に施行された。国の機関、地方自治体、民間事業者に対し、不当な差別的対応を禁止した上で、合理的な配慮(その場で可能な配慮)を義務づけている。行政機関には法的に義務付ける一方、民間は一律に対応できないとして努力義務にしている。

 ◎上記事は[中日新聞]からの転載・引用です
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妻(ALSだった長男の殺人罪で執行猶予中)を嘱託殺人 夫を起訴 殺人罪適用見送る 2009/11/02 
 妻(難病長男の殺人罪で執行猶予中)を嘱託殺人 夫・菅野幸信被告に執行猶予判決 2010/3/5 横浜地裁 
◇ 愛する者の苦しみを取り除くために、その命を絶つ行為は罪か--妻は「これでやっと楽になれる」と遺書


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